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《櫻井ジャーナル》

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2014.08.14
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 アメリカはIS(ISIS、ISIL、IEILとも表記されてきた)を攻勢するとしてイラクで空爆を始め、地上では特殊部隊が活動しているが、アメリカとISが敵対関係にあると言うことはできない。サマンサ・パワー国連大使の「R2P(保護する責任)ドクトリン」を満足させるだけの行為だと言う人もいる。

 2006年から首相を務めてきたヌーリ・アル・マリキはアメリカ軍の永続的な駐留やアメリカ兵の不逮捕特権を認めなかったが、フアード・マアスーム大統領は次期首相にハイダル・アル・アバディを指名、マリキの排除に半ば成功、アメリカ軍の存在感は増していくのだろう。

 ISが少なくとも一時期は所属していたアル・カイダ(基地/ベースを意味)とは、ロビン・クック元英外相が指摘しているように、CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ戦闘員のコンピュータ・ファイル(データベース)。アメリカ軍に破壊された中東/北アフリカでは、カネを稼ぐことのできる数少ない手段のひとつが傭兵で、そのデータベースに登録している人の数は増えているだろう。

 アル・カイダはいろいろなプロジェクトに傭兵を派遣しているような存在で、そうしたプロジェクトのひとつがISだとも言えるだろう。その歴史をさかのぼると、AQI(イラクのアル・カイダ)が現れる。

 AQI(イラクのアル・カイダ)を名乗る武装集団を中心にいくつかのグループが集まってISI(イラクのイスラム国)が編成されたのは2006年のこと。その最中、AQIを率いていたアル・ザルカウィは殺され、新たなリーダーとしてアブ・アブドゥラ・アル・ラシド・アル・バグダディとエジプト在住のアブ・アユブ・アルーマスリが登場するのだが、このふたりは2010年にアメリカとイラクの軍事作戦で殺され、アブ・バクル・アル・バグダディが次のリーダーになる。

 2013年4月にISIはシリアでの活動を開始、ISILとかISISと呼ばれるようになる。アメリカ/NATOやペルシャ湾岸の産油国はシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すためにアル・カイダを支援、その中にISILも含まれた。

 シリアとほぼ同時にアメリカ/NATOとペルシャ湾岸産油国はリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を倒すプロジェクトを推進、そこでもアル・カイダ系の武装集団を地上部隊の主力として使っていた。

 2011年10月にカダフィが殺されて体制は崩壊、ベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられた。その映像がすぐにYouTubeにアップロードされ、「西側」のメディアもその事実を伝えている。そして、アル・カイダの兵士は武器と一緒にシリアやイラクなどへ移動していく。

 イラクでISが勢力を拡大できた大きな原因のひとつはアメリカ/NATOやペルシャ湾岸の産油国がISを支援してきたことにある。活動資金や武器/兵器を提供、2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でアメリカのCIAや特殊部隊から軍事訓練を受けたと伝えられている。だからこそ、マリキ首相は今年3月、サウジアラビアやカタールが反政府勢力へ資金を提供しているとして両国を批判しているわけだ。

 アメリカとサウジアラビアはイスラエルとも同盟関係にある。1980年代のアフガニスタンでの戦いで手を組み、「イラン・コントラ事件」でもそうした関係が明るみに出たほか、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作をこの3国が始めたと調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュはニューヨーカー誌の2007年3月5日号に書いている。

 今回のISによる軍事攻勢でもアメリカはスパイ衛星、偵察機、通信傍受、地上の情報網などで動きはつかんでいたはず。ISは油田地帯や水源を中心に制圧しているようだが、そうした地域はアメリカが特に力を入れて守っていた。「寝耳に水」ということは有り得ない。

 アル・カイダが傭兵の登録リストだということは、雇用関係がなくなれば、アメリカ、サウジアラビア、イスラエルの指揮系統から外れるということになり、暴走する可能性はあるのだが、まだそうした事態にはなっていないように見える。

 アフガニスタンでは活動資金を捻出するために麻薬(ヘロイン)の密輸に手を出し、その仕組みをアメリカの情報機関は武装グループにも伝授、その後の活動を支えることになる。ISは銀行で資金を抑え、石油や天然ガスを売って稼いでいるようだが、アメリカと敵対した場合、継続は困難になるだろう。






最終更新日  2014.08.14 19:13:10



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