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《櫻井ジャーナル》

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2014.08.25
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 ドイツのアンゲラ・メルケル首相が8月23日にウクライナを訪問し、キエフ政権のペトロ・ポロシェンコ大統領やアルセニー・ヤツェニュク首相と会談した。その際、メルケル首相は連邦制の導入を提案したというが、この制度をキエフ政権は拒否して東部や南部での民族浄化を始めているわけで、アメリカの支配層とその手先であるネオ・ナチは納得しないだろう。

 現在、メルケルのようなEUの支配層は困難な状況に陥っている。こうしたエリートたちは「飴と鞭」でアメリカの支配層に服従しているのだが、アメリカが進めているプロジェクトはEUを破滅に導くからだ。ロシアに対する「制裁」で最もダメージを受けているのはEUだが、そうした次元の話に止まらず、アメリカ/NATOがロシアと戦争を始めれば核兵器が使われる可能性はきわめて高く、EUも消滅することになる。

 勿論、戦乱は東アジアへも波及すると見なければならず、そうなれば日本にもEUと似たような運命が待ち受けている。が、日本ではそうした危機感が感じられない。沖縄のアメリカ軍にしても、日本防衛には役に立たないが、先制攻撃には利用できる。こうした状況を理解、懸念して動いているだけドイツの方が日本よりマシだとは言えそうだ。

 尖閣列島(釣魚台群島)の領有権問題を使って日本と中国との関係をアメリカがこじれさせたのも、こうした戦略に基づいている。東アジアの軍事的な緊張が高まったひとつの節目は朝鮮が韓国の艦船による領海侵犯を非難を始めた2009年10月。11月には韓国と朝鮮の艦船が交戦、翌年の3月には両国の紛争海域で韓国の哨戒艦「天安」が爆発、沈没している。

 哨戒艦の沈没は米艦合同軍事演習「フォール・イーグル」の最中に起こった。アメリカ軍と韓国軍は高度の警戒態勢に入っていたはず。その中を朝鮮軍が侵入して爆破したということになっているが、朝鮮軍にそれほどの能力があるのだろうか?

 ロサンゼルス・タイムズ紙も次のような疑問を提示した。

(1)なぜ「朝鮮犯行説」を沈没から2カ月後、選挙の直前に発表したのか
(2)米韓両軍が警戒態勢にある中、朝鮮の潜水艦が侵入して哨戒艦を撃沈させたうえ、姿を見られずに現場から離れることができるのか
(3)犠牲になった兵士の死因は溺死で、死体には爆破の影響が見られないのはなぜか、
(4)爆発があったにもかかわらず近くに死んだ魚を発見できないのはなぜか
(5)調査団の内部で座礁説を唱えていた人物を追放したのはなぜか

 韓国駐在大使を務めた経験を持ち、ジョージ・H・W・ブッシュとも緊密な関係にある元CIA高官のドナルド・グレッグも疑問の声を上げている。6月に調査団を派遣したロシアからの情報という形で、天安号が沈没した原因は魚雷でなく、機雷が原因だった可能性が高いと語っているのだ。

 そして2010年9月、尖閣諸島の付近で操業していた中国の漁船を海上保安庁が「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、その際に漁船が巡視船に衝突してきたとして船長を逮捕したのだ。漁業協定に従うなら、日本と中国は自国の漁船を取締り、相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行うことになっていた。海上保安庁は国土交通相の外局。事件当時の国土交通大臣は前原誠司だ。

 こうした流れは2011年3月11日に東北地方の太平洋側を襲った大地震で途切れるが、12年4月に石原慎太郎都知事が復活させる。ネオコン系のシンクタンク「ヘリテージ財団」主催のシンポジウムで講演、尖閣諸島の魚釣島、北小島、南児島を東京都が買い取る意向を示したのだ。

 石原は地震の直前、日本の核武装についてインディペンデント紙に語っている。3月8日付の同紙によると、「日本は1年以内に核兵器を開発し、世界に向けて強いメッセージを発信できる」としている。彼は中国、朝鮮、ロシアを敵国と位置づけ、外交力とは核兵器なのであり、核兵器を日本が持っていれば中国は尖閣諸島に手を出さず、ロシアも日本に敬意を払うだろうと語っている。威圧すれば相手を屈服させられるという考え方はネオコン(アメリカの親イスラエル派)に酷似している。

 その後、野田佳彦首相は「尖閣を含む領土・領海で不法行為が発生した場合は、自衛隊を用いることも含め毅然と対応する」と発言、森本敏防衛相は尖閣諸島で「自衛隊が活動することは法的に確保されている」と述べている。

 アメリカは現在、日米安保とANZUS(アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3国同盟)、ふたつの軍事同盟を合体させようとしている。両条約が調印されたのはサンフランシスコにあるプレシディオ。ANZUSの1週間後に日米安保が調印されている。この時点から両条約を一体のものだとアメリカは考えていたのだろう。

 本来なら、イギリス、イギリスが作り上げたイスラエル、イギリスの植民地だったインド、そして日米安保/ANZUSでユーラシア大陸を取り囲む予定だったはず。中東/北アフリカに対するアングロ・サクソン仲間のアメリカが軍事侵略しているのも、この戦略に基づいている。グルジア、ポーランド、ウクライナなど旧ソ連圏の制圧も同じ目的のように見える。

 こうした包囲作戦はズビグネフ・ブレジンスキーが1990年代の後半にまとめ、ロシアがアメリカのライバルになるか衰退するかはウクライナをロシアから引き離せるかどうかにかかっているとしている。ウクライナを乗っ取ろうとしているネオコン。そのネオコンにバラク・オバマ米大統領も同調しているようだが、彼は大学時代にブレジンスキーの弟子だったという。

 ブレジンスキーの考え方の元になったとされているのは、イギリスの地理学者で政治家でもあったハルフォード・マッキンダーが1904年に発表した理論。ウラジミール・プーチン露大統領のブレーンたち(その1その2)によると、ロシアを弱体化するためにウクライナを引き離すべきだとする戦略を考え出した人物はオットー・フォン・ビスマルクである。

 こうした戦略に基づいてアメリカ軍は動いているが、その軍隊を少なからぬアメリカ人は「神の軍隊」と認識していた。ベトナム戦争で敗北した後、イスラエル軍がその代用品として扱われている。

 「神の軍隊」を最初に作り上げたのがピューリタンのオリバー・クロムウェル。彼はこの軍隊を引き連れてアイルランドを侵略、大虐殺を行っている。言うまでもなく、ピューリタンが先住民を殲滅して作り上げた国がアメリカだ。シオニズムの源流をクロムウェルに求める人もいる。

 現在のアメリカはクロムウェルとビスマルクが作り上げた怪物なのかもしれない。





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最終更新日  2014.08.25 16:04:14



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