《櫻井ジャーナル》

2014/08/28(木)00:46

ウクライナでは大統領が露大統領らと会議を開く一方、首相が頼みにするNATOは東欧へ軍隊駐留へ

 キエフのペトロ・ポロシェンコ大統領は8月26日にベラルーシのミンスクを訪問した。ロシアのウラジミル・プーチン大統領、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領、EUのキャサリン・アシュトン(外交担当)、カレル・デ・ヒュフト(貿易担当)、ギュンター・エッティンガー(エネルギー担当)と協議するためだ。  アメリカ政府の政策により、ウクライナだけでなくEUも経済的な破綻に直面、そうした状況を打開するためにロシアと話し合わなければならなくなったのだろう。イギリス人のアシュトンはアメリカに近いと見られているが、外交担当として乗り込んでいる。  2004年から05年にかけてウクライナでは「オレンジ革命」があり、西側に支援されたビクトル・ユシチェンコが大統領に就任、新自由主義が導入される。当然のことながら、国民の資産を一部のグループが不公正な手段で盗み、貧富の差が拡大して反発を招いてしまう。その結果、西側の思惑通りには進まなくなった。今年2月、アメリカ/NATOがネオ・ナチを使って行ったクーデターは「オレンジ革命」の第2幕である。  ユシチェンコ時代、2007年から10年まで首相だったのがユリア・ティモシェンコであり、アルセニー・ヤツェニュク首相や大統領代行を務めたアレクサンドル・トゥルチノフも彼女の配下。ティモシェンコは投機家のジョージ・ソロスから大きな影響を受け、ヤツェニュクはネオコン(アメリカの親イスラエル派)のビクトリア・ヌランド国務次官補から高く評価されていた。  ヤツェニュクはミンスクでの協議について、成果は期待できないと発言しているが、彼の背景を考えれば当然。ネオコン、アメリカの巨大資本、そしてNATOの傀儡として生きるためには、そのように言うしかない。西側資本/IMFによってウクライナが借金漬けにされ、国民が身ぐるみ剥がれる事態になることなど、彼には大した問題ではないだろう。  彼が気にしているのはロンドンを中心に張り巡らされたオフショア市場のネットワークに沈められているのであろう個人的な資産だけに違いない。おそらく、資産隠しには信託が利用されているのだろうが、この仕組みだと西側の支配層に背いた瞬間、資産を取り上げられてしまう可能性がある。  ウクライナの混乱をロシアが話し合いで解決しようとしているのに対し、あくまで軍事力で制圧するプランを推進しようとしているのがアメリカ/NATO。ヤツェニュクは9月4日と5日にNATOの首脳会談に大統領が出席すると発言、NATOとの連携を強調している。ポロシェンコ大統領とヤツェニュク首相との間にすきま風が吹き込んでいるということだ。  ヤツェニュクが後ろ盾にしているNATO。そのアナス・フォー・ラスムセン事務総長は東ヨーロッパへ新たにNATO軍を配備すると発言、ロシアと対決するために軍事力を前面に出している。アメリカの巡洋艦ロスとフランスのフリゲート艦コマンダン・ビロが新たに黒海へ入るようだ。この間、一貫してアメリカ/NATOはロシアに対し、自分たちに屈服するか核戦争だと脅している。  この西側を日本のマスコミも支援しているが、それだけでなく「リベラル派」や「革新勢力」の中にもそうした人が少なくないように見える。彼らはアメリカが主導する戦争に賛成しているわけだ。集団的自衛権に反対だと言っているのは、アメリカの戦争には賛成だが、自分たちは参加したくないということなのだろうか?

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