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《櫻井ジャーナル》

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2014.08.29
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 ソ連が消滅した直後、1992年の初めにアメリカの国防総省ではDPG(国防計画指針)の草案という形で世界を制覇するためのプランが練り上げられた。作業の中心は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツだったこともあり、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。

 ウォルフォウィッツはネオコン(親イスラエル派)の中心的な存在。そのネオコンはソ連の消滅によってアメリカが「唯一の超大国」になり、それまで世界の国々を拘束していたルールを超越した存在になったと認識、そのうえで新たなライバルが育つことを防ぎ、石油利権を維持するために軍事力の増強するという方針を打ち出している。

 その前年、ジョージ・H・W・ブッシュ政権はイラクを攻撃したが、サダム・フセインを排除しないまま停戦、その決定をウォルフォウィッツなどネオコンは怒っていた。そうした怒りもあり、ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、ウォルフォウィッツはシリア、イラン、イラクを殲滅すると語っていたという。

 アメリカの中東制圧作戦で鍵を握る存在がアル・カイダ(アラビア語で基地とかベースを意味)。これはロビン・クック元英外相が指摘しているように、CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ戦闘員のコンピュータ・ファイル(データベース)にすぎない。何らかのプロジェクトがあれば派遣される戦闘員のリストだ。

 現在、シリアやイラクで残虐さをアピールしているIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)もアル・カイダで、雇用主はサウジアラビア。アル・カイダはサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタンが指揮していたが、ISはアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子の下で動いていると言われている。バンダル・ビン・スルタンは2001年9月11日当時のアメリカ駐在大使で、バンダル・ブッシュと呼ばれるほどブッシュ家、つまりアメリカの金融、石油、そして情報機関と緊密な関係にある。

 ISの活動資金はペルシャ湾岸の産油国から出ているわけだが、軍事訓練はアメリカが受け持っている。ISの主要メンバーは2012年、ヨルダン北部に設置された秘密基地でCIAや特殊部隊から訓練を受けたと伝えられているのだ。

 ソ連が消滅した後、ロシアでは西側の傀儡、ボリス・エリツィンが首相に就任して新自由主義を導入、国民の資産を不公正な手段で一部の利権集団が略奪し、ボリス・ベレゾフスキーのようなオリガルヒが登場した。この時点でアメリカの巨大資本はロシアを植民地化したと思っただろうが、1999年にウラジミル・プーチンが大統領に就任するとオリガルヒを整理して自立への道を歩き始める。こうした行為を西側は「裏切り」と考えただろうが、ロシア人にしてみれば侵略者を追い出しただけの話だ。

 その後、アメリカはNATOを東へ拡大し、2001年9月11日の出来事を利用して中東/北アフリカを制圧していく。1990年に東西のドイツが統一された際、アメリカのジェームズ・ベイカー国務長官はソ連のエドゥアルド・シュワルナゼ外相に対して東へNATOを拡大することはないと約束、これを条件にしてソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領はドイツ統一に関して譲歩していた。言うまでもなく、この約束は守られていない。

 この過程でズビグネフ・ブレジンスキーがまとめた戦略が「拡大版NATO」によるロシア、中国、シリア、イランの包囲。さらに、ロシアの命運はウクライナが握っていると考え、ウクライナを制圧してロシアと分離させようとした。現在、その戦略に従ってアメリカは動いている。

 この時点でもロシアをアメリカはライバルと考えていなかった。あくまでも潜在的ライバル。2006年にフォーリン・アフェアーズ誌が掲載したキール・リーバーとダリル・プレスの論文は、アメリカはロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できるとしている。ネオコンは今でもこの認識に基づいて動いている可能性が高い。

 現在、アメリカはISを空爆しているが、ロシアを直接的には攻撃していない。が、ISの背後には湾岸の産油国やアメリカ/NATOが存在、その意向に沿って動いている。「弱けりゃ攻撃」というわけではない。ロシアの場合、挑発してロシアが軍隊を動かすのを待っている。「強けりゃ黙殺」というわけでもない。ISへの攻撃は演出だが、ロシアとの戦争は本気である。






最終更新日  2014.08.30 02:29:26



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