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《櫻井ジャーナル》

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2014.09.17
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 アメリカ上院の軍事委員会で行った証言の中で、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長はIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)へ資金を提供しているアラブの同盟国が存在すると認めた。この関係自体は有名な話だが、アメリカ軍のトップが議会で証言した意味は重い。

 アラブの同盟国とはサウジアラビア、カタール、クウェート、ヨルダン、トルコなどを指しているのだろうが、サウジアラビアとカタールがISを含むアル・カイダの戦闘員を雇い、武器を提供してきたことは広く知られている話。

 勿論、アメリカ/NATOもISを支援してきた。例えば、ISの主要メンバーが2012年、ヨルダン北部に設置された秘密基地でアメリカのCIAや特殊部隊から訓練を受けたとも伝えられている。シリアで体制転覆プロジェクトの黒幕はアメリカ/NATOなのであり、この件でもペルシャ湾岸産油国と手を組んでいるのだ。

 シリアで体制転覆プロジェクトが始動した2011年春、トルコにある米空軍インシルリク基地でアメリカの情報機関員や特殊部隊員、あるいはイギリスとフランスの特殊部隊員らがFSA(自由シリア軍)の戦闘員を訓練、そのFSAはトルコを重要な拠点としてシリアへ侵攻してきた。

 トルコはISとも密接な関係があり、シリアへ入る主要ルートにしている。例えば、イラクで拘束されたISの戦闘員、ハマド・アル・タミミはサウジアラビアからクウェート経由でトルコへ渡り、そこからシリアへ入ったという。

 勿論、1970年代から80年代にかけてアメリカ/NATOはイスラム武装勢力を編成するために戦闘員を雇い、訓練していた。その時代にCIAはサウジアラビアに資金を出させているが、その窓口が富豪一族の一員で同国の王室とも関係が深いオサマ・ビン・ラディンだったと言われている。

 そのビン・ラディンを象徴とするアル・カイダを、CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイルだと表現したのはロビン・クック元英外相。アル・カイダとはアラビア語で「基地(ベース)」や「データベース」を意味している。アル・カイダという軍事組織が存在するわけではない。

 アメリカ/NATOがアル・カイダを地上軍として使っていることが明らかになったのはリビアの体制転覆プロジェクト。1995年に創設されたLIFG(リビア・イスラム戦闘団)の指導部はアフガニスタンでソ連との戦争に参加、つまりアメリカの情報機関や軍の訓練や支援を受けている。この段階でアル・カイダに登録されたということだろう。リビアでムアンマル・アル・カダフィ政権と戦っている最中、LIFGの幹部は自分たちとアル・カイダとの関係を認めている。2004年2月にはCIA長官だったジョージ・テネットもLIFGをアル・カイダにつながる危険な存在だと上院情報委員会で証言している。

 LIFGはイギリスとも関係が深いと見られている。1996年にカダフィ暗殺を試みているが、その際にMI6(イギリスの対外情報機関)は総額で16万ドルをLIFGに提供したとMI5(イギリスの治安機関)の元オフィサー、デイビッド・セイラーは語っているのだ。

 2011年10月にカダフィが惨殺され、リビアの体制転覆プロジェクトは成功するが、その直後にベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられた。その映像がすぐにYouTubeにアップロードされ、「西側」のメディアもその事実を伝えている仕事を終えたアル・カイダの戦闘員は武器と一緒にシリアなどへ移動した。

 武器の供給基地になっていたと言われているのがベンガジのアメリカ領事館。2012年9月に襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使を含むアメリカ人4名が殺された場所だ。そこから流れ出た武器の一部がISへ渡ったことをアメリカ空軍のトーマス・マキナニー中将も認めている。

 アメリカが手先として使ってきたのは、中東/北アフリカではアル・カイダ、ウクライナではネオ・ナチ。チェチェンではアル・カイダもネオ・ナチも存在している。勿論、こうした勢力がアメリカに反旗を翻すことはありえる。特にアル・カイダは「登録された傭兵」のようなもので、「派遣切り」されなくても「起業」することはあるだろう。が、今のところISとアメリカ/NATO/ペルシャ湾岸産油国の関係に変化はないように見える。






最終更新日  2014.09.18 03:58:30



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