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《櫻井ジャーナル》

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2014.10.30
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 石油価格が大きく値下がりしているが、ざっと見たところ、日本のマスコミは大きく取り上げていないようだ。表面的な立ち場はともかく、「原発再稼働」を後押ししている彼らとしては都合の悪い話なのかもしれない。

 最近のアメリカ政府が行っていることを眺めているとデジャビュを感じることが少なくないのだが、石油価格の引き下げもそうした類いの話。例えば1980年代、ロナルド・レーガン政権になって相場は下がり始めるのだが、1986年に大きく値下がりしている。

 この値下げはイラクやソ連の経済にダメージを与えることが目的だったと言われ、実際、ソ連は消滅へ向かう。この「成功体験」が今回の石油相場引き下げの背景にあるとする見方がある。

 ソ連が消滅した直後、アメリカが「唯一の超大国」になったと浮かれる人びとが現れ、好き勝手なことができると思い込んだようだが、そのひとつの現れが1992年に作成されたDPG(国防計画指針)の草案。国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツを中心に作成されたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。

 このドクトリンを作成した当時、ロシアで実権を握っていたのは西側巨大資本に操られていたボリス・エリツィン。この時代、政府高官と裏で手を組み、不正な手段で国有財産を手に入れ、巨万の富を築いた人たちがいる。いわゆる「オリガルヒ」だ。

 彼らはクレムリンを動かす存在になるのだが、エリツィンが失脚した後に登場したウラジミル・プーチンはオリガルヒを押さえ込んでしまう。この政策に反発し、少なからぬオリガルヒがイギリスやイスラエルへ逃げた。ロシアの「独立」はネオコンにとって「想定外」だったのだろう。

 最近では中国も「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を警戒するようになり、今年5月21日にはロシアから天然ガスの供給を受ける契約を結んだ。今後30年間にロシアは中国へ毎年380億立方メートルを供給するという内容で、総額は約4000億ドルになる。

 アメリカは中国が影響力を拡大している地域、例えば東南アジア、アフリカ西部、イラクなどでその権益を壊そうとしているが、その一方でアメリカの「同盟国」であるサウジアラビアは最近、1バーレルあたり50ドルから60ドルという低価格で石油を販売、ロシアとの関係にくさびを打ち込もうとしている。ただ、中国はロシアの後を追い、ドル離れを進める兆候があり、こうした安売りで中国の姿勢が大きく変わる可能性は小さいだろう。

 1980年代、アメリカは石油相場を下げるだけでなく、NGOを使ってソ連に対する圧力を強め始めている。その軸になったのが「プロジェクト・デモクラシー」。その中枢機関としてNSC(国家安全保障会議)の内部に作られたのがSPG。偽情報を流して混乱させ、文化的な弱点を利用して心理戦を仕掛けようとした。このプロジェクトをウォール・ストリート・ジャーナル紙は「思想の戦争」と表現している。

 工作資金を流すパイプとして1983年、「民主主義のための国家基金法」に基づいて創設された組織がNED。そこから資金はNDI(国家民主国際問題研究所)、IRI(国際共和研究所)、CIPE(国際私企業センター)、国際労働連帯アメリカン・センターへ流れていく。この資金は実際のところ、CIAの秘密工作に使われている。

 香港で「活躍」したNEDはロシアでもネットワークを張り巡らせ、プーチン政権を揺さぶってきた。体制転覆も視野に入れているはずだが、思い通りには進んでいないようだ。プーチンが使っている最強の武器は「事実」。ソ連時代の「失敗体験」に学んだようだ。報道管制を強めている西側では「怒濤のようなプロパガンダ」で庶民の心理を操作、マスコミの中にも本心からそのプロパガンダを信じている人もいるように見える。

 今回の値下がりは9月の終わりから始まるが、その前にジョン・ケリー国務長官がサウジアラビアのアブドゥラ国王とあのバンダル・ビン・スルタンと会っていた。この会談で決定されたかどうかは不明だが、今回の値下げもアメリカ政府のプランにサウジアラビアが協力しているという構図。勿論、目的はロシア、中国、イランといった国々を屈服させ、ネオコンが描いた「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」の実現、つまり世界制覇にある。






最終更新日  2014.10.30 21:54:26

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