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《櫻井ジャーナル》

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2015.01.13
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 編集部が襲撃されたフランスの週刊紙、シャルリー・エブドは次号に預言者ムハンマドの風刺画を掲載すると同紙の顧問弁護士が発表したようだ。「私はシャルリー」なる標語も流行る中、ビジネスとしては適切な判断なのだろう。

 今回の襲撃を受け、これまで中東/北アフリカやウクライナなどで殺戮と破壊を推進してきた西側のリーダーたち、そうした支配層にとって都合の良い偽情報を垂れ流してきた有力メディアが「テロに抗議」という名目のデモを演出、そのイベントに約400万人が参加したという。

 デモにはフランスのフランソワ・オランド大統領、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、イギリスのデービッド・キャメロン首相、イタリアのマッテオ・レンツィ首相、スペインのマリアノ・ラホイ首相、ベルギーのシャルル・ミシェル首相というNATO加盟国の首脳も顔を見せたが、NATOはユーゴスラビアへの先制攻撃以降、アメリカはNATOの軍隊を侵略と占領のために使ってきた。

 ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領も加わっていたようだが、この国では昨年2月にネオ・ナチを使ったクーデターがあり、その蜂起に反対する人びとは暴力の対象。そしてオデッサで虐殺があり、ウクライナの東部や南部でもキエフ政権は住民を虐殺している。こうした残虐行為を西側の政府や有力メディアは容認どころか後押し、大規模な抗議デモが行われることもなかった。

 そうした破壊と虐殺のベースには1992年に国防総省で作成されたのがDPG(国防計画指針)の草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」がある。ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアなどが新たなライバルとして育つのを阻止することを鮮明にした内容で、問題にはなったものの、その後もネオコン/シオニストは放棄せず、生き続けてアメリカ/NATOの軍事侵略につながる。

 このドクトリンに従ってイラクやリビアの体制は倒され、シリアで戦闘が続き、ウクライナでクーデターが実行された。ウクライナをめぐってアメリカはEUとロシアの関係を断ち、双方を疲弊させようとしているが、これは潜在的ライバルを潰すというドクトリンの目的にかなっている。

 ところがロシアは中国との関係を強め、「脱ドル」を進めることで対応する。アメリカが世界を支配できる理由のひとつは基軸通貨を自己の判断で発行できることにあり、この特権を失えば支配力は大幅に低下するわけで、アメリカにとって深刻な事態。アメリカの政策によって経済的にダメージを受け、軍事的な緊張が高まっていることを危惧する人がEUの支配層でも増えていた。

 襲撃事件の舞台になったフランスの動きを見ると、昨年7月、石油取引をドルで決済する必要はないと言い切っていたフランスの大手石油会社、トタルのクリストフ・ド・マルジェリ会長兼CEOは、その3カ月後にモスクワの飛行場で事故のために死亡、12月にはフランソワ・オランド仏大統領がカザフスタンからの帰路、ロシアを突然訪問してプーチン大統領とモスクワの空港ビルで会談、年明け後には西側のロシアに対する「制裁」を辞めるべきだと語っている。仏大統領がモスクワを訪問した頃、アメリカが「偽旗作戦」を計画しているという噂が流れ始めていた。ロシア嫌いで有名なアンゲラ・メルケルが首相を務めるドイツでも、外務大臣や副首相がロシアを不安定化させる政策に反対すると表明している。

 シャルリー・エブドへの襲撃には不可解な点が少なくないことは本ブログでも指摘した通り。似たようなことを感じている人は少なくないようだが、有力メディアはそうした疑惑を見て見ぬ振りだ。そうした中、同紙は次号で預言者ムハンマドの風刺画を掲載するということは、襲撃とイスラム教をイメージ的に結びつけることになるだろう。

 2011年にノルウェーで与党労働党の青年部が企画したサマーキャンプが襲撃されて69名が殺された事件、アフリカ系アメリカ人を惨殺してきたKKKの行為、コミュニストや少数派などを虐殺したナチスなどをキリスト教と結びつけて批判する人が西側にどの程度いるのか知らないが、イスラム教徒を名乗る人物の行為の責任は全て全イスラム教徒が負わなければならないという雰囲気が西側では感じられる。

 キリスト教世界でイスラムの預言者を愚弄、挑発すれは結果として「文明の衝突」のように見える現象も起こりえる。言うまでもなく、「文明の衝突」はサミュエル・ハンチントンが主張して有名になったが、この人物はシオニストを支持し、反イスラム派として知られている。シオニスト国家(イスラエル)を支持し、サウジアラビアや湾岸の産油国をはじめとする独裁国家を支援していたともいう。(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game,” Henry Holt, 2005)

 シオニストにとって中東/北アフリカの混乱はイスラム諸国の弱体化を招くもので、悪くない事態。イスラエルはアル・カイダを支持し、IS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)の負傷した戦闘員を治療している。ロシア制圧を目指す彼らにとってウクライナでの虐殺は当然のことに違いない。彼らのほか、戦乱が利益に結びつく戦争ビジネスは勿論、エネルギー利権を狙う石油産業、こうした企業に投資している巨大金融資本、最終戦争を望むキリスト教系カルトなども世界の混乱は望むところだろうが、彼らの行動はアメリカの支配体制を揺るがすことになる。今回の襲撃でそうした流れが変化する可能性は小さそうだ。






最終更新日  2015.01.13 18:43:31



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