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《櫻井ジャーナル》

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2015.02.02
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 湯川遥菜(湯川政行)に続き、後藤健二がIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)に殺害されたと伝えられている。ただ、現段階では確定的なことは言えない。本ブログではすでに書いたように、昨年8月にISが公開したジェームズ・フォーリーの首を切り落とす場面という映像はフェイクだった可能性が高いからだ。その映像ではフォーリーの首の前で6回ほどナイフは動いているものの、血は吹き出さず、実際に切っているようには見えない。

 ふたりが拘束されていることを知った上で日本政府はISに対して挑発的な言動を続け、安倍晋三首相は「決してテロに屈することはない」と強調、菅義偉官房長官は、政府として身代金を用意せず、犯人側と交渉するつもりはなかったと語っている。

 そこで浮上してきたのが自衛隊による在外邦人の救出だという。安倍政権が推進してきた「集団的自衛権」とはアメリカによる侵略戦争へ日本も参加する仕組みにほかならないが、今回の人質事件を利用し、国外で日本人が拘束された場合に自衛隊を派遣できないかという話になってきたという。1月29日に安倍首相は衆院予算委員会で、「領域国の受け入れ同意があれば、自衛隊の持てる能力を生かし、救出に対して対応できるようにすることは国の責任だ」と語っていた。

 しかし、軍事的に今回のような問題が解決できるなら、同じようなケースで日本より能力の高い国が実施しているはずだが、そう簡単ではない。本気で拘束された日本人を助ける意思が安倍政権にあったなら、別の対応がありえた。日本政府には「救出」の意思が希薄だったということであり、そうした中での自衛隊派遣は軍事侵略への道筋をつけることが目的だとしか考えられない。

 人質の救出に成功した例として1976年7月4日にイスラエル軍が実行した「サンダーボルト作戦」を引き合いに出す人がいる。テル・アビブ発パリ行きのエアー・フランス139便が6月27日にハイジャックされ、ウガンダのエンテベ空港へ降りたのだが、そこへイスラエル政府は特殊部隊を含むチームを送り込み、人質105名のうち102名を救出、その際に地上部隊を指揮していたヨナタン・ネタニアフが死亡している。この特殊部隊員はベンヤミン・ネタニヤフ首相の兄だ。

 襲撃でハイジャックを実行した7名のほか、33名とも80名とも言われるウガンダ兵が殺されているが、そうした犠牲には関係なく、この作戦は明らかにウガンダの主権を侵犯している。この作戦を成功例として挙げるということは、国の主権を否定しているということにほかならない。

 問題はそれだけにとどまらない。イギリス政府が公開した1976年6月30日付けの文書によると、このハイジャック事件自体に疑惑があるのだ。パリ駐在のイギリス外交官がえた情報として、この事件はイスラエルの治安機関シン・ベトがPFLP(パレスチナ解放人民戦線)と手を組んで実行したものだと記されているのである。

 こうした「偽旗作戦」をイスラエルはしばしば行う。1985年の「アキレ・ラウロ号事件」もそうした一例だ。イスラエルの情報機関ERD(対外関係局)に所属していたアリ・ベン-メナシェによると、イスラエルの情報機関はモハメド・ラディ・アブドゥラというヨルダン軍の元大佐を工作に使っている。

 イスラエルの手駒になっていたラディはイスラエルの命令をアブル・アッバスなる人物に伝える。アッバスはシチリア島のドンから資金を得ていると信じ、自分がイスラエルに操られていることは知らなかった。そして襲撃チームを編成、アキレ・ラウロ号を襲ったわけだ。その際にイスラエル系アメリカ人が殺され、イスラエルに取っては効果的な宣伝になった。

 日本政府がどの程度認識しているのかは不明だが、「サンダーボルト作戦」を引き合いに出すと言うことは、「邦人拉致」を演出して自衛隊を派遣、あるいはアメリカ軍の派兵に協力するという「偽旗作戦」を実行する可能性を示していると言える。

 現在、アメリカ(ネオコン/シオニスト)は1990年代初頭に立てた世界制覇プランが思惑通りに進まず、焦っている。ウクライナではキエフのクーデター政権の東部や南部での民族浄化が思い通りにならず、9000名ほどの部隊が人民共和国軍に包囲されるという事態になっている。アメリカ/NATOを後ろ盾にしたキエフ軍は白リン弾やクラスター爆弾も使って住民を虐殺してきたキエフ軍は単なる侵略軍だと見なされているようで、市民からも敵視されている。シリアではバシャール・アル・アサド体制転覆に成功せず、手駒として使ってきた反政府軍のISはコバニでも敗北したようだ。

 欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官だったウェズリー・クラークによると、ソ連が消滅した1991年にポール・ウォルフォウィッツ国防次官はシリア、イラン、イラクを殲滅すると語っていた。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されて間もなく、ブッシュ・ジュニア政権は攻撃予定国リストを作成、そこにはイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが載っていたともクラークは語っている。

 この7カ国のうち、ウォルフォウィッツが1991年に挙げていた3カ国は最重要国なのだろうが、イラクは2003年の先制攻撃で倒した。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年3月5日にニューヨーカー誌へ書いた記事によると、当時のジョージ・W・ブッシュ政権はサウジアラビアやイスラエルと手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを倒すための秘密工作を始めたとしている。

 ところが、バラク・オバマ政権はシリアに対する直接的な攻撃を途中で断念、イランと話し合う姿勢を見せた。これはネオコン、イスラエル、サウジアラビアにとっては許しがたい行為のはずで、「三国同盟」の内部は揺らいでいる可能性がある。

 旧日本軍の作戦参謀と似た状況に陥っているネオコン、イスラエル、サウジアラビアに同調できないという意見が出てくるのは当然だが、妄想の世界にどっぷり浸かったネオコン、イスラエル、サウジアラビアのグループは西側の有力メディアを使い、「嘘の帝国」を維持しようとしている。その中に安住、つまり西側の有力メディア、例えばニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙といったメディアが描く幻影を事実だと信じ、あるいは信じた振りをし、その外の世界を「嘘の上に築かれた帝国」だと主張している人もいるようだ。騙されても騙されても信じる。こうなるとカルトであるが、こうした人の少なくとも一部は「リベラル派」、あるいは「左翼」と呼ばれている。






最終更新日  2015.02.03 00:40:06

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