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《櫻井ジャーナル》

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2015.02.03
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 ウクライナの東/南部でキエフ政権が始めた民族浄化作戦は思惑通りに進んでいない。そこでアメリカ政府は対戦車ミサイル、小火器、弾丸などのキエフ軍に対する供給を検討しているという。

 昨年2月にネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)が中心になってクーデターを成功させた直後、アメリカの傭兵会社、アカデミ(旧社名はブラックウォーター)系列のグレイストーンから数百名の戦闘員が派遣され、ポーランドからも傭兵が雇い入れられていると伝えられている。イスラエル、グルジア、ルーマニア、スウェーデン、ドイツなどからも戦闘員としてウクライナ入りし、グルジア出身者はブーク防空システムを操作する訓練を受けているとも言われている。

 それだけでなく、アメリカ政府はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、さらに国防総省は戦略と政策の専門家チーム、つまり軍事顧問団をキエフへ派遣していると言われているのだが、それでもキエフ側は劣勢のようだ。

 こうした状況に陥った最大の理由はキエフ軍の兵士の士気が低く、住民から支持されていないことにあるのだが、そうしたことを口にできないペトロ・ポロシェンコ政権は根拠を示すことなく、数千名規模のロシア軍がウクライナに侵入したと宣伝してきた。

 言うまでもなく、この宣伝を請け負っているのは西側の有力メディアなのだが、ロシア軍の影を見つけることもできず、「ロシア軍部隊が消えた」と報道するメディアも出てきた。それが何を意味しているかは明白なのだが、それでも「ロシア軍の侵略」という幻影にしがみついているロシア嫌いがいる。

 昨年9月上旬、キエフ政権はナバロシエ(ルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国)と停戦で合意したのだが、その理由はキエフ軍が壊滅的な敗北を喫したことにあったと言われている。ジャーナリストのウィリアム・エングダールによると、ルガンスクの北部を除く地域で大隊の司令官たちは政権に無断で前線から撤退するように命令している。その際、壊滅したのは第1機甲旅団、第24機械化旅団、第30機械化旅団、第51機械化旅団、第72機械化旅団、第79航空旅団、第92機械化旅団で、大きな損害を受けたのは第25航空旅団、第95航空旅団、第17戦車旅団、第128機械化旅団だという。

 つまり、態勢を立て直して新たな攻勢の準備をするため、キエフ政権は停戦に応じたわけで、当初から戦闘の再開は時間の問題だと見られていた。その予想通りに戦闘は始まり、1月24日にはドネツク州マリウポリ市が攻撃されて市民に死傷者が出た。ロケット弾が作ったクレーターの状態から発射地点は着弾点の北北東から北西、キエフ側の軍隊が展開している場所を示していることが判明、「アゾフ大隊」が発射した可能性が高まった。これは本ブログでもすでに指摘した。

 この攻撃をナバロシエ側が行ったと主張するのは滑稽なのだが、それを平然と主張している人たちがいる。ジョン・ブレナンCIA長官が昨年4月12日、秘密裏にキエフを訪問して以降、ウクライナの東部ではアメリカ/NATOを後ろ盾とするキエフ政権が民族浄化作戦を開始、100万人近い住民がロシアへ避難したのだが、こうした現実にも目を向けていない。どうやら、西側メディアの描く幻影の中に浸かり、事実を直視しようという意思がないようだ。

 アゾフ大隊は昨年4月、ドニエプロペトロフスクのイゴール・コロモイスキー知事が組織した戦闘集団で、200名ほどのメンバーは右派セクターの中から流れてきたという。要するにネオ・ナチを中心に編成された「親衛隊」の一部で、その約半数は犯罪歴があるとされていた。6月14日にキエフのロシア大使館を襲撃したグループの中心だったとも言われている。

 コロモイスキーはウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍を持つシオニストで、アゾフのほか、アイダル、ドンバス、ドニエプルといった戦闘集団を組織してきた。このうちアイダルは、誘拐、違法な拘束、虐待、窃盗、強奪を実行、処刑の疑いもあると「人権擁護団体」のアムネスティ・インターナショナルにまで批判されている。ジョージ・ソロスの資金も入っているHRW(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)は、キエフ軍が白リン弾やクラスター爆弾で東/南部の住民を攻撃していると指摘している。

 アメリカ/NATOがウクライナの制圧に必死な理由は鉱物資源や穀倉地帯を支配することだけでなく、ロシアとEUを分断することにある。また、アメリカやEUの支配層は財政破綻しているウクライナを借金漬けにし、甘い汁を吸おうとしている。ギリシャで問題になっているIMF、欧州委員会、欧州中央銀行がその手先だが、良い条件を出してきたロシアと交渉をはじめ、このシナリオを狂わせようとしたのがビクトル・ヤヌコビッチ大統領だった。そこで昨年2月23日、憲法の規定を全く無視した形で解任されたのである。

 現在の大統領はペトロ・ポロシェンコ、首相はクーデター前からアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補に高く評価されていたアルセニー・ヤツェニュク、金融大臣はシカゴ生まれでアメリカの外交官だったナタリー・ヤレスコ、経済大臣はリトアニアの投資銀行家だったアイバラス・アブロマビチュス、保健相はグルジアで労働社会保護相を務めたことのあるアレキサンドル・クビタシビリ。経済面はジョージ・ソロスも大きな影響力を持っている。治安や軍事はネオ・ナチが押さえた。

 こうしたキエフ政権と日本政府は日本の投資を拡大し、保護するための取り決めに合意したという。キエフ軍が劣勢でアメリカの巨大資本はウクライナへ資金を追加投入したがらなくなっているはず。リスクが高まっているからだ。その穴埋めを日本が押しつけられたということだろう。それほどウクライナ情勢はアメリカ/NATOにとって厳しい。






最終更新日  2015.02.04 03:55:32

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