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《櫻井ジャーナル》

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2015.03.22
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 アメリカの空挺部隊が4月からウクライナで現地軍を訓練するという。ドイツ、フランス、ウクライナ、そしてロシアの首脳がベラルーシの首都ミンスクに集まり、停戦で合意したが、これに反発しているのがアメリカの好戦派、そしてキエフ政権を支える柱のひとつでアメリカ/NATOを後ろ盾とするネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)だ。

 ウクライナで戦争の火を燃え上がらせようと必死なアメリカ国防総省は新しい司令部をブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニアに設置、ロシアとの国境近く、エストニア、ラトビア、リトアニアなどで軍事演習を行ってロシアを威嚇している。

 中東/北アフリカやウクライナでの体制転覆プロジェクトはネオコン/シオニストの影響力が強いCIAや国務省を中心に実行され、その手口はプロパガンダ、反政府行動、非正規戦。ウクライナのクーデターを指揮したひとり、アメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補は2月17日にグルジアへ乗り込んでキエフ政権へ協力しろと圧力、そこからアゼルバイジャンやアルメニアへ足を伸ばしたと伝えられている。

 ヌランドとウクライナとの関係は古く、2004年から05年にかけて「オレンジ革命」が実行された際にも彼女はキエフにいた。この「革命」でウクライナの東部や南部を支持基盤にするビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除、アメリカ資本の傀儡であるビクトル・ユシチェンコを大統領に据え、ウクライナ国民の富を奪っている。昨年2月のクーデターもヤヌコビッチを排除し、再びアメリカの傀儡政権を樹立させることが目的だった。

 現在、キエフ政権の金融大臣はシカゴ生まれでアメリカの外交官だったナタリー・ヤレスコ、経済大臣はリトアニアの投資銀行家だったアイバラス・アブロマビチュス、保健相はグルジアで労働社会保護相を務めたことのあるアレキサンドル・クビタシビリ、大統領の顧問にはミヘイル・サーカシビリ元グルジア大統領が就任している。ロスチャイルド家のファンドであるフランクリン・テンプルトンやIMFとタッグを組んでウクライナの富を奪うことが可能な態勢だ。

 サーカシビリは破壊活動のキーマンになるという見方もある。グルジアのパンキシ渓谷はチェチェンの反ロシア武装勢力が拠点としている場所で、難民の中からCIAは戦闘員候補をリクルート、訓練している。そこからシリアへも戦闘員は送り込まれてIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)に参加、その人数は200名から1000名と言われている。今後、そうした戦闘員がウクライナなどロシア周辺へ派遣され、中国の新疆ウイグル自治区で破壊活動を始めることも予想されるということだ。

 サーカシビリは2003年の「バラ革命」で実権を握ったが、その背後で「革命」を指揮していたのがグルジア駐在アメリカ大使だったリチャード・マイルズ。ユーゴスラビアでアメリカ大使館の最高責任者を1996年から99年まで務めているが、このときにアメリカはユーゴスラビアを先制攻撃、建造物を破壊して住民を殺傷した。1999年から2002年まではブルガリア駐在大使、そして02年から05年まではグルジア駐在大使を務めた。このマイルズが2月にキルギスタンへ入り、注目されている

 プロパガンダ、反政府行動、非正規戦という手口はCIAの常套手段。例えば、1953年にイランのムハマド・モサデク政権を倒したクーデター、54年にグアテマラのアルベンス・グスマン政権を倒したクーデター、65年にインドネシアのアハマド・スカルノ政権を倒したクーデター(9月30日事件)、73年にチリのサルバドール・アジェンデ政権を倒したクーデター、いずれもこのパターン。1975年にオーストラリアのゴフ・ウィットラム政権を倒した解任劇も似た手法が取り入れられている。

 中東/北アフリカではサウジアラビアなどペルシャ湾岸の産油国、ウクライナではIMFからの借金(いわばレバレッジド・バイアウト)でアメリカは体制転覆工作、つまり戦争を展開しているが、この仕組みが続けば戦乱はロシア周辺や中国へ拡がる。リビアやチュニジアでISを名乗る戦闘集団が活動し始めたようだが、これはEUへの脅しにも見える。






最終更新日  2015.03.23 05:53:55



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