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《櫻井ジャーナル》

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2015.04.09
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 安倍晋三政権が目指している方向を知りたいなら、言うまでもなく、アメリカ支配層の動きを見る必要がある。日米両政府は今月末、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)を改定するというが、これについても同じことが言える。現在、アメリカは軍事力で世界を制圧しようと躍起になっているわけで、このことから目を背けてはならない。

 かつて、アメリカ海兵隊のスメドリー・バトラー少将は戦争を「違法な手段を用いたカネ儲け」、要するに押し込み強盗に準えた。耕作地の拡大、資源の獲得、財宝の略奪、賠償金の獲得など富を奪うことが目的だ。戦争ビジネスが肥大化した現在、国から巨大企業へ多額のカネが移動する戦争、それ自体が目的になっている。アメリカが戦争を続けている理由もそこにあり、安倍政権はそうした強盗に協力しようとしているわけだ。

 アルゼンチン大統領だったネストル・キルシュネルによると、大統領時代のジョージ・W・ブッシュは「経済を復活させる最善の方法は戦争」だと力説、「アメリカの経済成長は全て戦争によって促進された」と話していたという。この証言はオリバー・ストーンが制作したドキュメンタリー、「国境の南」に収められている。軍事力を増強する目的もそこにあるということ。ただ、戦争で儲かるのは戦争ビジネスだけ。勝利して敗戦国から富を奪えなければ、国は疲弊し、庶民は貧困化するだけだ。戦争で国が経済成長することはない。

 アメリカの場合、ヨーロッパから移住した人びとは先住民を虐殺し、その土地を奪ってきた。「建国」はそうした押し込み強盗から始まっている。1492年にクリストファー・コロンブスがカリブ海に到達した当時、北アメリカには100万人とも1800万人とも言われる先住民が住んでいたのだが、ウーンデッド・ニー・クリークでの虐殺があった1890年には約25万人にすぎなかったという。

 1620年にメイフラワー号でアメリカへ渡ったピューリタン(ピルグリム・ファーザーズ)の場合、北アメリカで「新イスラエル」を建設するつもりだったという。つまり、北アメリカは神が自分たちに与えた土地であり、先住民を皆殺しにする権利を持っているという理屈だったようだ。イスラエル建国のときのシオニストと同じということ。

 そのピューリタンは1640年から60年にかけてイギリスで革命を成功させるが、このときに議会軍を指揮したのがオリバー・クロムウェル。「正直でまじめなクリスチャン」で軍隊を編成、敵からは「鉄騎隊」と呼ばれた。王党派を倒した後、小農民や職人層に支持されていた水平派を弾圧したクロムウェルはアイルランドを侵略、殺戮と略奪を繰り広げた。クロムウェルは宗教的な信念からユダヤ教徒をイングランドへ連れて来るが、その先、パレスチナへ移住させることを想定していたようだ。

 魂の救済は神によって定められているので「善行」は意味がないと考えるジャン・カルバン派にピューリタンは属し、クロムウェルもそう信じていた。巨万の富を手にすることも、極貧生活を強いられることも神が定めたことで、そうした状況を悪いとは考えない。

 カルバン派も含め、福音主義者と呼ばれる人びとがパレスチナにイスラエルを建国させたがった理由は、最終戦争(全面核戦争)を起こし、キリストが再臨して自分たちが救われる前段階として必要だと考えたからで、彼らにとって破壊と殺戮は必要なこと。ウィスコンシン大学のポール・ボイヤー教授によると、アメリカ人の40%以上は聖書に書かれた最終戦争の予言を信じているという。

 こうした歴史の中でも現在のアメリカは特に好戦的。何度も書いてきたが、1991年12月にソ連が消滅したことを受け、アメリカでは自分たちが「唯一の超大国」になったと思い込み、世界制覇は目前に迫ったと考えた一団がいる。ソ連消滅より前、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官はシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していたという。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官の話だ。そうした好戦派が1992年に作成したのが「DPGの草案」(通称ウォルフォウィッツ・ドクトリン)の草案

 こうした好戦派が日本に対する締め付けを厳しくしはじめたのは1994年。国防大学のスタッフだったマイケル・グリーンとパトリック・クローニンがカート・キャンベル国防次官補を介してジョセフ・ナイ国防次官補やエズラ・ボーゲルに会ったのが始まりだとされている。

 そして1995年に発表されたのが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」。10万人規模の駐留アメリカ軍を維持、在日米軍基地の機能は強化、そして使用制限は緩和/撤廃されることになった。

 1997年に「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」が作成され、「日本周辺地域における事態」で補給、輸送、警備、あるいは民間空港や港湾の米軍使用などを日本は担うことになり、1999年には「周辺事態法」が成立する。

 2000年にナイとリチャード・アーミテージを中心とするグループが作成した「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」では武力行使を伴った軍事的支援が求められ、「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している」と主張、「この禁止を解除すれば、より緊密かつ効果的な安保協力が見込まれる」としている。

 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてアメリカは国外で戦争を開始、国内では憲法の機能を停止させてファシズム化が進んだ。

 その翌年、2002年に小泉純一郎政権は「武力攻撃事態法案」を国会に提出、03年にはイラク特別措置法案が国会に提出され、04年にアーミテージは自民党の中川秀直らに対して「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」と言明、05年には「日米同盟:未来のための変革と再編」が署名されて対象は世界へ拡大、安保条約で言及されていた「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念」は放棄された。

 そして今月末、ガイドラインが改定され、日本はアメリカの戦争マシーンとの一体化が進む。ホルムズ海峡での機雷除去などは些細な話。アメリカの好戦派は中国とロシアとの戦争を想定している。

 こうした好戦派は中東や南北アフリカでアル・カイダ/IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)、ウクライナではネオ・ナチを使って戦乱を拡大させている。

 こうしたプロジェクトでアメリカの好戦派はイスラエルやサウジアラビアと同盟を組んでいる。1980年代のアフガニスタンでの戦争でこうした結びつきは指摘されていたが、新たな動きをシーモア・ハーシュはニューヨーカー誌の2007年3月5日号で指摘した。アメリカ、イスラエル、サウジアラビアはシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を始めたというのだ。その後の展開を見ると、このレポートは正しかった。

 この三国同盟が中東やアフリカで使っているのがアル・カイダ/IS。現在、シリアで激しい戦いが続いているが、イスラエルはアル・カイダ/ISとの関係を隠そうとしていない。2013年9月、退任間近だった駐米イスラエル大使のマイケル・オーレンは、イスラエルの希望はシリアのバシャール・アル・アサド体制を倒すことであり、アサド体制よりアル・カイダの方がましだとエルサレム・ポスト紙のインタビューで語っている。

 イスラエルはこれまで何度かシリアを空爆、今年1月18日にはISを追い詰めていたシリア政府軍とヒズボラの部隊を攻撃し、イラン革命防衛隊のモハメド・アラーダディ将軍を含む幹部を殺した。このほかにもイスラエル軍はシリアを空爆している。イスラエルが負傷した反シリア政府軍の兵士を治療しているとも伝えられていた。

 アメリカを中心とする「有志連合」が行っている空爆にも疑惑の目が向けられている。昨年9月に最初の空爆が実施されたが、そのときに破壊されたビルは15から20日前の段階で蛻の殻だったとCNNのアーワ・デイモンは翌朝の放送で伝えている。

 その後、アメリカは高性能の兵器を「ミス」でISへ渡していると伝えられていた。ISとアメリカ軍が定期的に連絡を取り合い、物資の投下地点を相談していることをイラクのアリ・アクバル大隊の司令官は通信傍受で確認したとイランのFNAは伝えている。

 その一方、ウクライナでは傭兵の派遣だけでなく、アメリカは武器を提供、戦闘員に対する軍事訓練も始めようとしている。ドイツやフランスなどEUの国々はアメリカの好戦的な姿勢を懸念し始めているが、アンゲラ・メルケル独首相の言動を見ると、まだアメリカの命令には逆らえないでいる。アメリカは経済的に追い詰められているだけに、中国やロシアを破壊したいという欲望を好戦派が強めている可能性は高い。安倍政権はその好戦派に同調している。






最終更新日  2015.04.10 04:47:02
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