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《櫻井ジャーナル》

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2015.07.22
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 アメリカとキューバの国交回復を受け、バラク・オバマ政権は「キューバの人権問題の改善が大きな課題だ」と考えていると書いた新聞があった。本当にそう思っているのだろうか?選択肢のない選挙が行われ、特定の勢力が流す偽情報を広めるだけのメディアが存在しているからといって、民主主義国家だとも人権国家だとも言えない。

 1898年に占拠、キューバを支配下においたアメリカは、1934年の「5月条約」をたてに今でもキューバのグアンタナモに海軍の基地をおいたままだ。そこでは捕虜として、あるいは容疑者としての権利を奪われた「敵戦闘員」が拘束され、拷問を受けてきた。殺された人間もいる。アメリカの情報機関、CIAは28カ国に約50の秘密刑務所を設置、船を利用した施設もあると言われている。キューバよりアメリカの人権問題は遥かに深刻だ。

 そもそもアメリカは先住民を殲滅して作り上げられた国。クリストファー・コロンブスがカリブ海に現れた1492年当時、北アメリカには100万人とも1800万人とも言われる先住民が住んでいたと推測されているが、1890年にウーンデット・ニー・クリークで先住民の女性や子供が騎兵隊に虐殺された時には約25万人に減少していた。生き残った先住民は「強制移住法」によって「保留地」と名づけらた荒野へ押し込められた。先住民を殲滅した後、ラテン・アメリカを侵略したわけである。いわゆる「棍棒外交」だ。棍棒外交の手先になったのが海兵隊。

 戦後は情報機関が秘密工作で民主的に成立した政権を軍事クーデターなどで倒し、アメリカの巨大資本にとって都合の良い体制を作り上げてきた。クーデターを起こしたり、民主化運動を押さえ込むため、アメリカは1951年にパナマでSOAという軍事訓練施設を創設した。そこでは反乱を鎮圧する技術のほか、狙撃訓練、ゲリラ戦や心理戦、軍事情報活動、そして拷問法などを教えていた。軍事クーデターの首謀者や「死の部隊」の指揮官は多くがSOAの出身者だ。

 キューバもアメリカ資本の支配下にあった国のひとつだったが、それを1959年にフィデル・カストロを中心とする革命軍が倒している。マイケル・ムーアが監督したドキュメンタリー映画『SiCKO(シッコ)』ではアメリカの貧困な医療制度が批判され、その中でキューバに助けを求めている。

 アメリカの情報機関は秘密工作と麻薬密輸をセットにしている。例えば、ベトナム戦争では東南アジアの山岳地帯(黄金の三角地帯)でケシを栽培、ヘロインを製造し、犯罪組織を使って売りさばいていた。ニカラグアの革命政権を倒そうとしたときはコカイン、アフガニスタンやコソボでの秘密工作はパキスタンやアフガニスタンの山岳地帯でケシを栽培して資金を調達していた。そうした麻薬資金は「CIAの銀行」で処理される。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)

 ソ連消滅後は軍隊を使う傾向が強い。例えば、ユーゴスラビアを先制攻撃したほか、アフガニスタン、イラクも先制攻撃、リビアはアル・カイダ系の武装集団とNATO、シリアはNATOの投入に失敗してアル・カイダ系、そしてタグを変えて今はIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ダーイシュなどとも表記)と呼ばれている戦闘集団を使っている。ウクライナの場合はネオ・ナチだ。

 アメリカ軍を使おうと、アル・カイダ系武装集団、IS、ネオ・ナチといった傭兵を使おうと、ターゲットになった国では破壊と殺戮が繰り広げられる。勿論、そこには民主主義も人権もない。

 1980年代の前半にアメリカでは「プロジェクト・デモクラシー」を始めている。勿論、本来の民主主義とは関係ない。アメリカ資本にとって都合の悪い国家、体制を破壊することが目的だ。侵略の口実として「デモクラシー」という用語を使い、人びとを操ろうというわけである。

 ユーゴスラビアを攻撃した頃から「人権」とか「人道」という言葉が使われる傾向が強まる。人びとに攻撃を受け入れさせるため、西側の有力メディアは偽情報を盛んに流したが、その一端は拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』でも触れた。ボスニアでは「死の収容所」が宣伝された。その発端になったイギリスの放送局の取材チームは鉄条網で囲まれた貯蔵所の敷地へ入り、そこから外にいる難民を撮影して「死の収容所」が存在しているかのような印象を作り出し、ほかの有力メディアも広めている。(その1その2その3

 リビア、シリア、ウクライナなどでも西側のメディアが偽情報を流し続けていることは本ブログで何度も指摘してきた通りだ。2001年にアメリカで成立した愛国者法が民主主義と人権を否定していることを知らないマスコミの人間はいないだろう。アメリカは民主的でも人道的でもない。






最終更新日  2015.07.23 11:36:17



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