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《櫻井ジャーナル》

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2015.09.17
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 日本の支配層は自国をアメリカの戦争マシーンへ組み込もうとしている。「安全保障関連法案」もそのために成立させようとしているわけで、「日本は平和」で「侵略された場合に備える」ための法案だとする説明は根本的に間違っている。日本の同盟国だというアメリカが1992年に始めた世界規模の戦争に参加することになる。

 アメリカはユーゴスラビア、アフガニスタン、イラクを先制攻撃、リビアやシリアはアル・カイダ系戦闘集団やIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISISやダーイシュなどとも表記)、ウクライナはネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を利用して体制転覆を図ってきた。ラテン・アメリカやアフリカでも秘密工作は続いている。

 週刊現代によると、安倍晋三首相は6月1日、官邸記者クラブのキャップとの懇親会で安保法案は「南シナ海の中国が相手」だと語ったという。オフレコという約束を守って懇親会に出席したマスコミのキャップたちは報道しなかったようだが、週刊誌が伝えた。これまでの流れを見て、安保法案が中国との戦争を想定していると考えている人は少なくないはずで、矛盾はない。

 アメリカのネオコン/シオニストは1991年12月にソ連が消滅すると、自国は「唯一の超大国」になったと信じ、潜在的なライバルを潰すと同時に新たなライバルを生み出すエネルギー資源が眠る西南アジアを制圧しようと考えた。そうした発想が国防総省で作成されたDPGの草稿に反映されている。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だが、支配層の内部にも危険だと考えた人がいるようで、有力メディアにリークして広く知られるようになった。

 問題になったことでこの時は書き換えられたようだが、考え方は消えず、2000年にはネオコン系シンクタンクのPNACがDPGに基づく報告書「米国防の再構築」を発表している。DPGはリチャード・チェイニー国防長官の下、ポール・ウォルフォウィッツ次官、I・ルイス・リビー、ザルマイ・ハリルザドらが書いたというが、PNACの報告書の執筆陣の中にウォルフォウィッツ、リビーは含まれている。そのほか、ウクライナのクーデターを現場で指揮していたビクトリア・ヌランド国務次官補の結婚相手であるロバート・ケイガン、イラクへ軍事侵攻する前に偽情報を流していたOSPの室長だったエイブラム・シュルスキー、さらにステファン・カムボーン、ウィリアム・クリストルといったネオコンの大物たちが名を連ねていた。

 2001年に発足したジョージ・W・ブッシュ政権は、その報告書に基づく政策を推進することになるが、それを可能にした出来事がある。2001年9月11日に引き起こされたニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃だ。

 この攻撃を口実にしてブッシュ・ジュニア政権は2003年にイラクへ軍事侵攻するのだが、サダム・フセイン政権は「9-11攻撃」と無関係だった。攻撃の直後、アメリカ政府は調査もせずに「オサマ・ビン・ラディンが率いるアル・カイダ」が実行したと宣言するが、そもそもアル・カイダは戦闘員の登録リストであり、戦闘集団ではない。イラクが「大量破壊兵器」を保有、あるいは製造しているとする話も嘘だった。日本の政府やマスコミもアメリカ政府の主張が嘘だということぐらいわかっていただろう。

 本ブログでは何度も書いているように、ロビン・クック元英外相によると、「アル・カイダ」とはCIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイルで、アラビア語で「ベース」を意味、「データベース」の訳語としても使われる。

 このオサマ・ビン・ラディンはサウジアラビアの富豪一族に属し、ズビグネフ・ブレジンスキーの秘密工作でソ連軍をアフガニスタンへ引き込んだ際、ソ連軍と戦う戦闘員を集める仕事をしていたとされている。彼を工作の世界へ誘ったアブドゥラ・アッザムはサウジアラビアのアブデル・アジズ国王大学で教えていたことがあるのだが、そこでの教え子のひとりがオサマ・ビン・ラディンだった。その教え子は戦闘集団を指揮した事実もないようだ。

 アメリカ軍はイギリス軍などを引き連れてイラクを先制攻撃したのだが、戦闘は泥沼化してアメリカ国内でも反発が強まる。それ以降、体制転覆をアル・カイダ系の武装集団が仕掛けることになる。

 リビアへの軍事侵攻ではアル・カイダ系の戦闘集団LIFGとNATOとの同盟関係が明白になり、ムアンマル・アル・カダフィが2011年10月に惨殺された直後、ベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられた(その1その2)のは象徴的だ。

 リビアでカダフィ体制が崩壊した後、アル・カイダ系の戦闘員はシリアなどへ移動、武器も運ばれた。DIA(アメリカ軍の情報機関)が2012年8月に作成した文書によると、シリアにおける反乱の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタールといった国々は「テロ支援国」だと指摘されているが、DIAも基本的に同じ見方をしている。

 シリアではアル・ヌスラというアル・カイダ系の武装集団が活動していることになっているが、この名称はAQIがシリアで活動するときに使っていたとDIAは説明、そのAQIは2004年に組織され、06年にAQIが中心になって編成されたのがISI。今ではISと呼ばれている。本ブログでは何度も書いているように、このISは現在、トルコ政府に操られている。

 キール・リーバーとダリル・プレスがロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できるとフォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)に書いた2006年当時、アメリカの好戦派はまだ自らの軍事力を過信していたのだろうが、08年にその鼻っ柱をへし折られる。

 この年の7月10日にアメリカのコンドリーサ・ライス国務長官がジョージア(グルジア)を訪問、8月7日に同国のミヘイル・サーカシビリ大統領は南オセチアを奇襲攻撃するのだが、ロシア軍の反撃で惨敗する。何年にもわたってイスラエルやアメリカから兵器を供給され、将兵の訓練を受けていたジョージアだが、ロシア軍の敵ではなかった。作戦はイスラエルが立てたとも推測されている。この段階でアメリカの好戦派はロシア軍に正規戦を挑むことは得策でないと判断しただろう。

 アメリカはすでに生産能力がなく、富の集中で大多数の国民は疲弊、ロシアと中国を中心とする国々はドル離れを明確にし、ロシアにダメージを与えるはずだった石油価格の急落はアメリカのシェール・ガス/オイル業界を崩壊させようとしている。軒並み倒産しても不思議ではない状況なのだが、ゼロ金利政策で経営破綻が表面化していないだけだという。そこで、連邦準備制度理事会が9月に金利をどうするかが注目されてきた。こうした問題を伏せ、中国経済の先行きは暗いというプロパガンダをマスコミは繰り返しているが、救いがたい連中だ。

 基軸通貨のドルを発行できるという特権で生きながらえてきたアメリカ。その特権をアメリカは失おうとしている。あらゆる手段を使い、ロシアと中国を屈服させなければアメリカは破綻国家になるということでもある。アメリカの覇権戦争は自らの生き残りをかけた「世界大戦」へ変質している。その大戦へ日本も参戦しようとしているわけだ。






最終更新日  2015.09.18 04:19:22



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