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《櫻井ジャーナル》

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2015.09.18
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 2003年3月、アメリカ軍はイギリス軍などを引き連れ、イラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒した。攻撃の口実にされたのは大量破壊兵器。イギリスのトニー・ブレア政権は2002年9月に「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルの報告書、いわゆる「9月文書」を作成、その中でイラクは45分でそうした兵器を使用できると主張、03年1月にアメリカのコンドリーサ・ライス国家安全保障問題担当補佐官は、キノコ雲という決定的な証拠を望まないと語っている。今にもフセインが核攻撃するかのような発言。安倍晋三政権流に言うなら「存立危機事態」だ。

 しかし、イラクに大量破壊兵器は存在しなかった。そうした事実をイギリス政府もアメリカ政府も承知していたが、イラクを攻撃してフセインを排除するため、嘘をついたのである。日本の政府もマスコミも大量破壊兵器話を事実であるかのように主張していたが、本気で信じていたわけではないだろう。この件について、政府もマスコミも「説明責任」を果たしていない。

 フセインの排除は1980年代からイスラエルやネオコンが主張していた。1991年1月にアメリカ軍はイラクに侵攻したが、ジョージ・H・W・ブッシュ政権はサダム・フセインを排除しないまま湾岸戦争を終わらせている。これに怒ったポール・ウォルフォウィッツ国防次官はイラク、シリア、イランを5年から10年で殲滅すると口にしていたという。

 1992年に作成されたDPGの草稿、いわるゆ「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」は世界制覇計画と言える代物。前年12月にソ連が消滅、アメリカの支配層はロシアを属国化することに成功、中国のエリートも手なずけ、アメリカは「唯一の超大国」になったと考え、潜在的ライバルを潰すことにした。旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアだが、それだけでなく、ライバルを生む出すのに十分な資源を抱える西南アジアも支配しようとする。

 1999年にアメリカはNATO軍を使ってユーゴスラビアを攻撃、その際にスロボダン・ミロシェビッチの自宅や中国大使館も爆撃している。中国大使館を爆撃したのはB2ステルス爆撃機で、目標を設定したのはCIA。3基のミサイルが別々の方向から大使館の主要部分に直撃している。

 ウォルフォウィッツがイラク、シリア、イランを殲滅すると発言してから10年後、つまり2001年、アメリカにはネオコンが担ぐジョージ・W・ブッシュが大統領に就任した。ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのは、その年の9月11日だった。

 調査もしない段階でブッシュ政権は「アル・カイダ」が実行したと宣伝、アル・カイダ系武装集団とは敵対関係にあったフセインを攻撃する口実に使う。論理は破綻しているのだが、2003年にイラクは攻撃された。2011年にNATO軍はアル・カイダ系のLIFGと手を組んでリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を破壊、カダフィを惨殺した。

 同時にシリアでも傭兵を投入して体制転覆を図る。DIA(アメリカ軍の情報機関)が2012年8月に作成した文書によると、シリアにおける反乱の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けている。アル・カイダ系武装集団にはサラフ主義者やムスリム同胞団が多く、シリアの反政府軍はアル・カイダ系だということだ。

 細かくは書かないが、アメリカは侵略戦争を続け、ロシアや中国を恫喝してきたが、そうした脅しに屈する相手ではない。当初は世界制覇を目指す戦争だったが、その過程でロシアと中国の関係が緊密化、両国を中心とする国々が同調してアメリカは存亡の危機に直面している。今では自らの生き残りをかけた「世界大戦」だ。

 アメリカの支配層があくまでも世界制覇を目指すなら、ロシアや中国と軍事衝突、つまり核戦争に発展しても不思議ではない。「存立危機事態」かどうかを判断するのは日本政府でなくアメリカ政府だろうが、そうなると1983年1月に中曽根康弘が言ったように、日本はアメリカの「巨大空母」として、原発を抱えながら戦うことになる。戦争は動き始めたら止めることが困難。

 週刊現代のサイトによると、6月1日に開かれた官邸記者クラブのキャップとの懇親会で安倍晋三首相は「安保関連法制」は「南シナ海の中国が相手」だと口にしたという。この情報が正しいなら、安倍首相は事態を理解した上で、戦争の準備を進めていることになる。






最終更新日  2015.09.19 14:03:05



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