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《櫻井ジャーナル》

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2015.12.17
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 2013年8月21日にダマスカス郊外が化学兵器で攻撃され、西側の政府やメディアはシリア政府軍が使ったと宣伝、NATOを軍事介入させようとする。NATOが空爆し、アル・カイダ系武装集団などの傭兵部隊が地上で攻勢をかけるというリビア方式を目論んだと見られている。

 同じ年の3月にはアレッポで化学兵器が使われ、シリア政府派すぐに調査を要求している。西側の政府やメディアは政府軍が使ったことにしようとしたが、イスラエルのハーレツ紙は状況から反政府軍が使ったと分析国連独立調査委員会メンバーのカーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使用した疑いは濃厚だと発言している。ロシア政府も独自に試料を分析、サリンや砲弾は「家内工業的な施設」で製造されたもので、反政府軍が使ったとする推測を公表している。いずれも説得力があった。

 こうした化学兵器の使用について、トルコの国会議員エレン・エルデムらは捜査記録などに基づき、トルコ政府の責任を追及している。化学兵器の材料になる物質はトルコからシリアへ運び込まれ、そこでIS(ISIS、ISIL、ダーイシュなどとも表記)が調合して使ったというのだ。この事実を公表した後、エルデム議員らは起訴の脅しをかけられている。

 この化学物質を供給したのはジョージア(グルジア)のトビリシにあるアメリカの兵器に関する研究施設だとする情報が流れている。この施設を設計したのはベクテルで、問題の物質を製造や輸送にはジョージアの情報機関、ウクライナのネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)、トルコの情報機関、NATO、そしてアル・カイダ系武装集団が関わっているというのだ。

 8月の攻撃に関し、現地を独自に調査したキリスト教の聖職者マザー・アグネス・マリアムはいくつかの疑問を明らかにしている。例えば、攻撃が深夜、つまり午前1時15分から3時頃(現地時間)にあったとされているにもかかわらず犠牲者がパジャマを着ていないのはなぜか、家で寝ていたなら誰かを特定することは容易なはずだが、明確になっていないのはなぜか、家族で寝ていたなら子どもだけが並べられているのは不自然ではないのか、親、特に母親はどこにいるのか、子どもたちの並べ方が不自然ではないか、同じ「遺体」が使い回されているのはなぜか、遺体をどこに埋葬したのか・・・・・また、国連のシリア化学兵器問題真相調査団で団長を務めたアケ・セルストロームは治療状況の調査から被害者数に疑問を持ったと語っている。

 この攻撃が行われる10日ほど前、反シリア政府軍がラタキアを襲撃し、200名とも500名とも言われる住人が殺され、150名以上が拉致されたと言われている。化学兵器の犠牲者を撮影したとされる映像の中に、ラタキアから連れ去られた住民が含まれているとする証言もあった。

 攻撃の直後、ロシアのビタリー・チュルキン国連大使はアメリカ側の主張を否定する情報を国連で示して報告書も提出、その中で反シリア政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルが発射され、ゴータに着弾していることを示す文書や衛星写真が示されたとジャーナリストがフェースブックに書き込んでいる。

 そのほか、化学兵器とサウジアラビアを結びつける記事も書かれ、10月に入ると「ロシア外交筋」からの情報として、ゴータで化学兵器を使ったのはサウジアラビアがヨルダン経由で送り込んだ秘密工作チームだという話が流れた。

 12月になると、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュもこの問題に関する記事を発表、反政府軍はサリンの製造能力を持ち、実際に使った可能性があるとしている。国連の元兵器査察官のリチャード・ロイドとマサチューセッツ工科大学のセオドール・ポストル教授も化学兵器をシリア政府軍が発射したとするアメリカ政府の主張を否定する報告書を公表している。ミサイルの性能を考えると、科学的に成り立たないという。

 シリア政府がサリンで住民を攻撃したとする西側の宣伝を否定する情報が伝えられる一方、NATOのシリア攻撃が近いとする話も流れた。攻撃が噂されていた9月3日、地中海からシリアへ向かって2発のミサイルが発射される。このミサイル発射はロシアの早期警戒システムがすぐに探知、明らかにされるが、ミサイルは途中で海へ落下してしまった。イスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表しているが、ジャミングなど何らかの手段で落とされたのではないかと推測する人もいる。

 サリン攻撃を行った国としてトルコとサウジアラビアの名前が挙がっている。この2カ国はシリアのバシャール・アル・アサド政権と戦っている武装集団を支援することで合意したと今年5月に報道されていたが、トルコとサウジアラビアは2011年春にシリアで戦闘が始まった当初から反アサドで手を組んでいる。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はサウジアラビアから選挙資金を得ているとも言われている。2カ国以外の仲間はアメリカ、イギリス、フランス、カタール、イスラエル。

 WikiLeaksが公表した文書によると、2006年にアメリカ政府はサウジアラビアやエジプトと手を組み、宗派対立を煽ってシリアを不安定化させる工作を始め、2007年3月5日付けニューヨーカー誌に掲載されたシーモア・ハーシュのレポートはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの「三国同盟」がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始したとしている。

 また、ネオコンのポール・ウォルフォウィッツは1991年の段階でイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしていたと、ヨーロッパ連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官だったウェズリー・クラーク大将は証言した。2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された直後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺では攻撃予定国リストが作成され、そこにはイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンの名前が載っていたともいう。

 サウジアラビアがムスリム同胞団とサラフ主義者と緊密な関係にあることは有名だが、2012年8月にDIA(アメリカ軍の情報機関)が作成した文書によると、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI。アル・カイダ系武装集団の戦闘員も多くはサラフ主義者、ムスリム同胞団で、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。

 サラフ主義者はワッハーブ派と考えても良いが、この集団は18世紀にサウジアラビアを支配しているイブン・サウード家と結びつくことで勢力を拡大した。イブン・サウード家は破壊、殺戮、略奪を正当化するのに都合が良い宗派だということで手を組んだようだ。このコンビに目をつけ、利用したのが「大英帝国」。

 ムスリム同胞団は1954年にエジプトのガマール・アブデル・ナセルを暗殺しようとして失敗、非合法化されたが、このときに保護したのがサウジアラビア。その結果、ムスリム同胞団はワッハーブ派の影響を強く受けることになった。なお、その2年後にはイギリスの対外情報機関MI6がナセル暗殺の検討をはじめている。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000)

 ところで、フォーリン・アフェアーズ誌に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文「未来のための変革と再編」でロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できると主張された翌年、ハーシュはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアがシリアやイランをターゲットにした秘密工作を始めたと書いた。

 ハーシュの記事が出た2007年の8月29日から30日にかけてアメリカでは重大な事件が起こっている。核弾頭W80-1を搭載した巡航ミサイルAGM-129が行方不明になったのだ。合計6基。ミスだとされているが、軍の幹部が介在した計画的な不正持ち出しだった可能性が高く、イラン攻撃に使うつもりだったのではないかとも噂されている。ジョージ・W・ブッシュ大統領の動きにも疑惑がある。この事件に関係のある複数の軍人が事件の前後、不審な死に方をしているのだが、そのひとりである空軍将校が関係していた団体はサウジアラビアとつながっていた。





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最終更新日  2015.12.18 11:34:20



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