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《櫻井ジャーナル》

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2015.12.25
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【関電高浜原発】
 日本政府は原発を再稼働させつつある。その方針を遂行する上で障害になっていたのが今年4月に出された高浜原発の再稼働差し止め仮処分決定。その仮処分決定を福井地裁の林潤裁判長は12月24日に取り消した。裁判所は支配層の利権を守るシステムに組み込まれているわけで、福井地裁民事部の林潤はその責務を果たしたことになる。

 警察や検察についても同じことが言える。原発事故の原因を追及しようとしていないだけでなく、原発推進の障害になる人物や団体を攻撃してきた。例えば、事故前には原発に慎重な姿勢を見せていた福島県の佐藤栄佐久知事(当時)を事実上の冤罪で排除している。

 原子力発電所を稼働させること自体が危険なことはスリーマイル島原発、チェルノブイリ原発、そして東電福島第一原発の事故を見るだけでも明らか。放射性廃棄物の処理方法も確立していないわけで、正気なら原発を推進できるはずがない。原発推進派を狂わせている大きな理由はおそらく巨大利権と核兵器だ。利権はカネそのものだが、核兵器も脅してカネを巻き上げるための道具であり、強欲が原発推進派を狂わせているとも言えるだろう。福井地裁の林もそうした狂気に絡め取られている。

【東電福島第一原発】
 そうした流れの中、事故が起こるのは時間の問題だった。2011年3月11日に福島第一原発は事故を起こしてメルトダウン、「チャイナシンドローム」の状態である可能性はきわめて高く、環境中に大量の放射性物質を今でも放出し続けている。原発を再稼働させれば、次の事故が起こるのも時間の問題だ。

 事故を起こした福島第一原発は40年で廃炉できることになっているようだが、この予定を実現するのはかなり難しい。福島第一原発の小野明所長も飛躍的な技術の進歩がない限り、不可能かもしれないと語っているほどだ。イギリスのタイムズ紙は廃炉までに200年という数字を出しているが、数百年はかかると見るのが常識的。その間のコストは膨大で、リスクは高い。今後、健康、環境への影響も顕在化し、「種」としての存続が問題になることも考えられる。

 原発の元技術者であるアーニー・ガンダーセンによると、福島のケースでは圧力容器が破損、燃料棒を溶かすほどの高温になっていたわけで、99%の放射性物質を除去することになっている圧力抑制室(トーラス)の水は沸騰状態。ほとんどの放射性物質が外へ放出されたはずだと指摘する。(アーニー・ガンダーセン著『福島第一原発』集英社新書)

 事故から間もなく、日本では福島第一原発が放出した放射性物質はチェルノブイリ原発事故の1割程度、後に約17%に相当すると発表されたが、算出の前提が間違っているということだ。ガンダーセンは福島第一原発が放出した放射性物質の量を少なくともチェルノブイリ原発事故における漏洩量の2〜5倍だと推測している。(前掲書)

 放射線の影響は20年から30年後に本格化するともいわれているが、チェルノブイリ原発事故から23年後の2009年に詳細な報告書『チェルノブイリ:大災害の人や環境に対する重大な影響』がニューヨーク科学アカデミーから発表されている。まとめたのはロシア科学アカデミー評議員のアレクセイ・V・ヤブロコフたちのグループ。1986年から2004年の期間に、事故が原因で死亡、あるいは生まれられなかった胎児は98万5000人に達し、癌や先天異常だけでなく、心臓病の急増や免疫力の低下が報告されている。

【放射線の健康被害】
 日本政府や東電は否定しているものの、チェルノブイリ原発事故より速いペースで日本では症状が現れている可能性がきわめて高く、20年から30年後には、秘密保護法でも隠しきれないほどの被害が顕在化してくるだろう。

 実は、すでに作業員や住民が被曝が原因で死んでいるという情報が流れている。国や東電は認めていないが、福島県で働く医療関係者の間で囁かれてきた話で、例えば2011年4月17日に徳田毅衆議院議員は「オフィシャルブログ」(現在は削除されている)で次のように書いている:

 「3月12日の1度目の水素爆発の際、2km離れた双葉町まで破片や小石が飛んできたという。そしてその爆発直後、原発の周辺から病院へ逃れてきた人々の放射線量を調べたところ、十数人の人が10万cpmを超えガイガーカウンターが振り切れていたという。それは衣服や乗用車に付着した放射性物質により二次被曝するほどの高い数値だ。」

 12日に爆発したのは1号機で、14日には3号機も爆発している。政府や東電はいずれも水素爆発だとしているが、3号機の場合は1号機と明らかに爆発の様子が違い、別の原因だと考える方が自然。15日には2号機で「異音」、また4号機の建屋で大きな爆発音があったという。

 こうした爆発が原因で建屋の外で燃料棒の破片が見つかったと報道されているのだが、2011年7月28日に開かれたNRCの会合で、新炉局のゲイリー・ホラハン副局長は、発見された破片が炉心にあった燃料棒のものだと推測している。

 NRCが会議を行った直後、8月1日に東京電力は1、2号機建屋西側の排気筒下部にある配管の付近で1万ミリシーベルト以上(つまり実際の数値は不明)の放射線量を計測したと発表、2日には1号機建屋2階の空調機室で5000ミリシーベル以上を計測したことを明らかにしている。

 また、事故当時に双葉町の町長だった井戸川克隆は、心臓発作で死んだ多くの人を知っていると語っている。福島には急死する人が沢山いて、その中には若い人も含まれているとも主張、東電の従業員も死んでいるとしているのだが、そうした話を報道したのは外国のメディアだった。日本のマスコミは自分たちが所属する体制にとって都合が悪いと「トンデモ話」に分類して無視するようだ。

 この井戸川元町長を作品の中で登場させた週刊ビッグコミックスピリッツ誌の「美味しんぼ」という漫画は、その内容が気に入らないとして環境省、福島県、福島市、双葉町、大阪府、大阪市などが抗議、福島大学も教職員を威圧するような「見解」を出し、発行元の小学館は「編集部の見解」を掲載、この作品は次号から休載すると決めたという。

 福島県の調査でも甲状腺癌の発生率が大きく上昇していると言わざるをえない状況。少なからぬ子どもがリンパ節転移などのために甲状腺の手術を受ける事態になっているのだが、原発事故の影響を否定したい人びとは「過剰診療」を主張している。手術を行っている福島県立医大の鈴木真一教授は「とらなくても良いものはとっていない」と反論しているが、手術しなくても問題ないという「専門家」は、手術しなかった場合の結果に責任を持たなければならない。どのように責任をとるのかを明確にしておく必要がある。

 事故直後、福島の沖にいたアメリカ海軍の空母ロナルド・レーガンに乗船していた乗組員にも甲状腺癌、睾丸癌、白血病、脳腫瘍といった症状が出ているようで、放射線の影響が疑われ、アメリカで訴訟になっている。カリフォルニアで先天性甲状腺機能低下症の子どもが増えているとする研究報告もある。最近ではカリフォルニア沖2500キロメートル付近で放射性物質の濃度が上昇しているとも伝えられている。

【核兵器開発の疑惑】
 福島第一原発事故では日本側の秘密主義が疑念を呼んでいる。核兵器に関係した作業が行われていたのではないかという疑惑だ。日本は1980年代からアメリカ支配層の一部勢力から支援を受け、事故の時点で70トンの兵器級プルトニウムを蓄積していたとジャーナリストのジョセフ・トレントは主張している。

 外国の専門家を受け入れようとしない東電だが、事故の1年前、セキュリティ対策でイスラエルのマグナBSPという会社と契約している。セキュリティ・システムや原子炉を監視する立体映像カメラが設置されていたという。これはエルサレム・ポスト紙ハーレツ紙が伝えている。事故後に残った50名には、事故の約3週間前にイスラエルでシステムに関する訓練を受けた2名も含まれていたという。

 そのイスラエルは現在、世界有数の核兵器保有国。1950年代後半にフランスから原子炉を入手、60年2月にサハラ砂漠で行われたフランスの核実験に参加している。核開発に必要な資金はパリに住むエドモンド・アドルフ・ド・ロスチャイルドやアメリカのアブラハム・フェインバーグが提供していたほか、西ドイツのコンラッド・アデナウアー首相はイスラエルの核兵器開発を支援するため、1961年から10年間に合計5億マルク(後に20億マルク以上)を融資することを決めている1960年代にイギリスは核兵器用のプルトニウムをイスラエルへ秘密裏に供給していた。

 イスラエルの核兵器開発に厳しい姿勢で臨んでいたジョン・F・ケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺され、次に大統領となったリンドン・ジョンソンは上院議員時代から親イスラエル派として有名。1965年にはウェスチングハウスやアメリカ海軍が保有する90キログラム以上の濃縮ウランを核関連会社のNUMECが盗んだ疑いが浮上する。その前年にイスラエルのディモナでは原子炉が本格的な総合を始めていたが、そこへ運び込まれたと見られている。このほかにもイスラエルは核物質に関する不正行為を繰り返してきたが、そのイスラエルと東電(日本の原子力産業)が結びついていることは疑惑を招く一因だ。






最終更新日  2015.12.25 22:40:33



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