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《櫻井ジャーナル》

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2016.02.14
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 2011年3月以来、シリアのバシャール・アル・アサド体制を倒そうとしているアル・カイダ系武装勢力やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)は外国勢力の傭兵だということは本ブログで何度も指摘してきた。アメリカ/NATO、サウジアラビア/ペルシャ湾岸産油国、イスラエルが編成、軍事訓練、武器や兵器を含む兵站を供給、盗掘石油を売りさばいてきた。

 この武装勢力についてアメリカ軍の内部に批判的な見方をする人たちがいた。例えばマイケル・フリン中将が局長だった2012年8月、DIA(国防情報局)はシリア政府軍と戦っているのはサラフ主義者(ワッハーブ派)、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとし、シリア東部にサラフ主義の支配地ができると警告していた。

 アメリカを含む西側の政府やメディアはアサド政権を倒すために「穏健派」を支援しているかのように宣伝してきたが、そうした集団は事実上、存在しないと指摘していたわけである。つまり、「穏健派」への支援とはアル・カイダ系武装勢力やダーイッシュへの支援にほかならないということであり、バラク・オバマ政権はそれを承知でそうした政策を続けてきたということである。フリン中将もダーイッシュの勢力が拡大したのはオバマ政権の決定によるとしている。

 アル・カイダ系武装勢力が体制転覆プロジェクトの傭兵として機能していることはリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が倒されたとき、明確になった。それから間もなくして新たなタグとしてダーイッシュが登場したわけだ。

 2014年10月2日、ジョー・バイデン米副大統領はハーバード大学で、シリアにおける「戦いは長くかつ困難なものとなる。この問題を作り出したのは中東におけるアメリカの同盟国、すなわちトルコ、サウジアラビア、UAEだ」と述べ、あまりにも多くの戦闘員に国境通過を許してしまい、いたずらにダーイッシュを増強させてしまったことをトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は後悔していたとも語っている。

 日論、エルドアンが後悔しているはずはないが、トルコ、サウジアラビア、UAEに責任があるとする指摘に間違いはない。ただ、抜けている事実がある。例えば、2015年10月にイスラエル軍のユシ・オウレン・シャハク大佐がダーイッシュと行動を共にしているところをイラク軍に拘束されている。また、シリアでは、反政府軍の幹部と会っていたイスラエルの准将が殺されたという。負傷した反シリア政府軍/ダーイッシュの兵士をイスラエルは救出、病院へ運んだうえで治療しているとも伝えられている。

 イスラエルもダーイッシュと深く関係しているのだが、この事実をイスラエルは隠していない。2013年9月、駐米イスラエル大使だったマイケル・オーレンはシリアのアサド体制よりアル・カイダの方がましだと語っているのだ。オーレンはベンヤミン・ネタニヤフ首相の側近であり、ネタニヤフ政権の考え方だと言えるだろう。

 そして勿論、最も関係が深いのはアメリカ。何度も書いているように、1970年代にズビグネフ・ブレジンスキーがソ連軍と戦わせる戦闘集団として編成、訓練、支援したサラフ主義者を中心とする武装集団が出発点だ。

 アメリカはダーイッシュと戦うためと称して連合軍を編成、軍事侵略を始めつつあったが、茶番にすぎないことは明白。2014年9月23日にアメリカ主導の部隊が攻撃を始めるが、その様子を取材したCNNのアーワ・デイモンは翌朝、最初の攻撃で破壊されたビルはその15から20日前から蛻の殻だったと伝えている。

 昨年12月28日にイラク政府はラマディの奪還を宣言したが、攻撃の数日前には存在していた約2000名の戦闘員が制圧したときには消えていた。市内には死体がいくつかあるだけで、やはり蛻の殻だった。アンバール県ではラマディやファルージャへの攻撃をアメリカ軍は遅らせ、ダーイッシュの幹部をヘリコプターで救出したと疑う人もいる。

 アル・カイダ系武装集団やダーイッシュを手先として使ってきたのはCIAや特殊部隊だと見られている。2001年9月11日以降、正規軍の上層部もネオコン/シオニストや戦争ビジネスに近い人物に入れ替えられてきたが、完全に粛清されたわけではない。

 粛清されずに残った軍人のひとりがマーチン・デンプシー陸軍大将で、2011年10月から15年9月まで統合参謀本部の議長を務めた。フリン中将がDIA局長だったのもこの時期だ。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、アル・カイダ系武装勢力やダーイッシュの勢力拡大を懸念した軍の幹部はホワイトハウスの許可を得ず、2013年秋からそうした武装集団に関する情報をシリア政府へ伝え始めたという。

 そのデンプシーが昨年9月に議長を辞め、好戦派のジョセフ・ダンフォードが後任に決まる。この月の終わりにロシア軍が空爆を始めたことは興味深い。この議長交代でロシア側はアメリカに見切りをつけた可能性がある。

 ロシア軍は本当にアル・カイダ系武装集団やダーイッシュを攻撃、戦況は一変してネオコン、トルコ、サウジアラビア、イスラエルなどは動揺する。内部告発を支援しているWikiLeaksによると、10月10日にトルコのエルドアン大統領はロシア軍機の撃墜を決め、11月24日にトルコ軍のF-16戦闘機がロシア軍のSu-24爆撃機を待ち伏せ攻撃で撃墜した。なお、11月24日から25日にかけてポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問、トルコ軍幹部と会談している。

 ロシア軍機の撃墜を決める直前、10月7日から8日までエルドアン大統領は日本に滞在していた。「シリアの難民危機」はトルコ政府が演出、EUへの脅しに使っているが、この「危機」で日本はトルコを支援すると確約したらしい。日本でアメリカ側の誰かと接触していた可能性もあるだろう。11月13日にはトルコのイスタンブールで安倍晋三首相はエルドアン大統領と首脳会談、その11日後にロシア軍機を撃墜した。トルコで両首脳は日本とトルコが共同で制作した映画「海難1890」を見たらしい。

Abe/Erdogan

 安倍首相と仲が良いらしいエルドアン大統領はオスマン帝国の再興を妄想する人物で、正気ではないと言われている。シリア北部の制空権はロシアが握っているわけで、論理的に考えればシリアへの軍事侵攻はありえないのだが、妄想に憑かれている彼ならやりかねないと警戒されている。前回も触れたが、トルコに保管されている核爆弾を使う気かもしれない。ちなみに、日本には中国と戦争しても自分たちは無傷で勝てると妄想している人がいるようだ。






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最終更新日  2016.02.15 04:15:54



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