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《櫻井ジャーナル》

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2016.05.22
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 広島訪問をネタにして、あたかもバラク・オバマ米大統領が「平和の伝道師」であるかのような宣伝が展開されているようだが、この人物は今後30年間に9000億ドルから1兆ドルを投入するという計画を打ち出している。このオバマ大統領を含むアメリカ支配層によって、現在、世界は破滅の危機に直面しているのだ。

 オバマが初めて大統領に選ばれた2008年の大統領選挙で、共和党の候補者はジョン・マケインだった。マケインはロシアとの核戦争へ突入しようという人物だったが、オバマも決して平和的な大統領ではない。マケインよりはマシという程度だ。オバマ政権で何が行われてきたかを簡単に振り返ってみよう。

 2011年にはリビアやシリアへの軍事侵攻を開始、その手先がアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)だった。詳しい話は割愛するが、これは否定できない事実だ。(アメリカに逆らうと「テロ」が始まるということでもある。)

 2013年11月にはウクライナでクーデターを始める。キエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でカーニバル的な抗議活動を始めて人を集め、年明け後にネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を前面に出した暴力的活動に切り替える。年明け後の2月18日頃から反大統領派は棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にしながら石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルで銃撃を始め、反大統領派だけでなく治安部隊も狙った狙撃も行われた。その指揮者はネオ・ナチの幹部、アンドレイ・パルビー。

 こうした状況をEUは2月26日の時点で知っていた。エストニアのウルマス・パエト外相がEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ報告しているのだ。それに対し、アシュトンはクーデターを成功させることを優先するべきだという意思を示している。

 このクーデターを指揮していたのはアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補で、キエフに乗り込んで扇動していた。ジョン・マケイン上院議員も同じように蜂起を煽っていた。

 2014年2月4日にインターネット上で公開された音声によると、ヌランド次官補はジェオフリー・パイアット米大使はウクライナの「次期政権」の人事について話し合い、アルセニー・ヤツェニュクを高く評価している。実際、クーデター後にヤツェニュクは首相になった。

 ふたりの会話にはジェフリー・フェルトマン国連事務次長も登場する。1991年から93年にかけてローレンス・イーグルバーガー国務副長官の下で東/中央ヨーロッパを担当、ユーゴスラビア解体に関与し、04年から08年にかけてレバノン駐在大使を務めた。

 大使時代の2005年2月にレバノンではラフィク・ハリリ元首相が殺害され、アメリカ、サウジアラビア、フランス、イギリス、レバノンが運営資金を出して「法廷」を設置、西側メディアは「シリア黒幕説」を流していた。本ブログではすでに書いたことなので詳細は割愛するが、法廷を設置した国々は、とにかくシリアが怪しいという主張だった。証拠はなく、偽証したという証言もあったが、無視された。

 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年3月5日付けのニューヨーカー誌に書いたレポートによると、その時点でアメリカはサウジアラビアやイスラエルと共同でシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始していた。

 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官の話によると、1991年にポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)は、5年以内にイラク、イラン、シリアを殲滅すると口にしていた。2003年3月にアメリカ軍はイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を破壊し、その以降、殺戮と破壊を続けている。

 ウクライナでは2014年2月22日にビクトル・ヤヌコビッチ大統領が暴力的に排除され、ヤツェニュクが27日に首相代理となったが、東部や南部の住民はクーデターを拒否、その過程でオデッサの虐殺が引き起こされ、東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)を攻撃する。

 クーデターに反発する人は軍や治安機関の中にもいて、戦況は反クーデター軍に有利な形で展開してきた。西側はCIAやFBIの要員、軍事顧問団をアメリカ政府はキエフへ派遣し、傭兵も投入されたが、「停戦」で時間稼ぎすることになった。キエフ側は停戦も無視した攻撃を繰り返しているようだが、大規模な作戦はできていない。そうした中、2014年にネオコンのジョン・マケイン上院議員はディック・ダービン上院議員と共同でオバマ大統領に対し、武器をキエフ政権側に送るように求めていた

 マケインは2013年にトルコからシリアへ密入国して侵略軍のリーダーと会談している。その中には実態なきFSAの幹部だけでなく、ダーイッシュを率いているとされているアブ・バクル・アル・バグダディも含まれていた。密入国は法律に違反した行為だが、意に介していないらしい。

 オバマ大統領は2015年2月に国防長官を戦争に慎重なチャック・ヘイゲルから好戦的なアシュトン・カーターへ、また9月には統合参謀本部議長を戦争に慎重なマーチン・デンプシーから好戦的なジョセフ・ダンフォードへ交代したが、それに対してロシアは9月30日にシリアで空爆を開始、アメリカ軍とは違い、本当にアル・カイダ系武装集団やダーイッシュを攻撃しはじめた。

 それに対し、マケイン上院議員を中心とするグループはトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に対し、国防総省はバラク・オバマ大統領と対決する用意ができていて、これを知っているロシアはシリアから手を引くと伝えたとする情報がアメリカから流れていた。脅せば相手は屈服するというネオコン思考だ。コンドリーサ・ライス元国務長官はFOXニュースのインタビューで、控えめで穏やかに話すアメリカの言うことを聞く人はいないと語っていた。

 マケインのネオコン仲間であるリンゼイ・グラハム議員は2015年11月12日にロシアの航空機を撃ち落とせと主張、その月の24日にトルコ軍のF-16戦闘機がロシア軍のSu-24爆撃機を待ち伏せ攻撃で撃墜した。それに対し、ロシア軍は最新の地対空ミサイルを配備するなどしてシリア北部の制空権を握り、状況はますます侵略勢力にとって厳しくなっている。

 ロシアの場合、恫喝戦術は裏目に出ているのだが、それでも脅そうとするのが西側の好戦派。ウクライナの場合も、自分たちがネオ・ナチを使ってクーデターを実行してウクライナを殺戮と破壊の国にして経済を破綻させたのだが、イギリスのマイケル・ファロン国防相などは、暴力に屈服せずに抵抗を続ける住民の後ろ盾になっているロシアに責任を押しつけ、ロシアに対する軍事的な圧力を強めるべきだと主張している。

 欧州連合軍副最高司令官だったイギリス陸軍のリチャード・シレフ大将もロシアの周辺国で軍事力を増強してロシアを威圧するべきだとしている。そうしなければ来年、ロシアと核戦争になるのだという。

 1991年にソ連が消滅して以来、ヨーロッパで軍事的な緊張を高めてきたのは西側だった。1990年に東西ドイツが統一される際、アメリカの国務長官だったジェームズ・ベイカーはNATOを東へ拡大することはないとソ連のエドゥアルド・シュワルナゼ外務大臣に約束したのだが、1999年にチェコ、ハンガリー、ポーランド、2004年にエストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、2009年にアルバニア、クロアチアというように拡大している。

 アメリカ支配層の約束を真に受けた方が愚かなのだが、それはともかく、アメリカが約束を破ったことは確かだ。つまり、ヨーロッパの軍事的な緊張を高めているのはNATOを東へ拡大させ、ロシアの喉元へナイフを突きつけている西側支配層。ファロン国防相やシレフ大将、あるいはネオコンなど西側の好戦派は問題の原因を脅しに屈しないロシアや中国に求めている。

 さらに軍事的な緊張を高めれば全面核戦争を恐れてロシアは屈服すると考えているのかもしれないが、ロシアとの戦争は西側にとって自殺行為、状況によっては「無理心中」的な行為だということを好戦派は学んでいないようだ。

 例えば、アメリカで大統領選が行われていた2008年8月、ジョージア(グルジア)は南オセチアを奇襲攻撃した。2001年からイスラエルやアメリカはジョージアの将兵を訓練、武器/兵器を供給し、奇襲攻撃はイスラエル軍が練り上げたと言われているが、軍事侵攻はロシア軍の反撃で失敗した。シリアでもロシア軍は戦闘能力の高さを見せている。それでも西側の好戦派は、自分たちが世界の支配者として君臨する予定を変更できないのだろう。





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最終更新日  2016.05.23 01:15:58



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