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《櫻井ジャーナル》

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2016.06.20
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 シリアでもアメリカは「停戦」を利用して侵略軍をテコ入れし、バシャール・アル・アサド政権を倒すという1991年以来の計画を実現しようとしている。2月19日付けシュピーゲル誌に掲載されたサウジアラビア外務大臣へのインタビューで、シリアの戦況を変えるために携帯型の防空システムMANPADを供給しはじめたと公言、対戦車ミサイルTOWも大量にシリアへ持ち込まれた。最近はアメリカやフランスが特殊部隊を送り込み、トルコ軍がシリア領内へ侵攻したと伝えられている。シリア政府によると、ドイツも特殊部隊を侵入させたという。

 アメリカはダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を悪玉にし、アル・ヌスラのようなアル・カイダ系武装集団を善玉として扱うようにロシア政府へ要求している。停戦で時間稼ぎしている間に戦闘態勢を立て直し、それからシリア政府を倒して傀儡体制を樹立させるか、リビアのように破綻国家にしようと考えていると見られている。

 現在、アメリカが言うところの「穏健派」はアル・ヌスラなどと渾然一体で、恐らくアメリカの特殊部隊も一緒にいる。その分離が終わるまでロシアは空爆しないでくれと言っているようだが、分離する気はないだろう。アレッポでの戦闘で、この渾然一体となった武装勢力は一緒に戦っている。その渾然一体となった武装集団をロシア軍は攻撃した。時間稼ぎは許さないという警告だと見られている。

 アメリカが停戦を利用してシリア政府を倒すための準備を進めていることはロシアのような情報機関がなくても明白。本ブログでも「ロシア軍が再び攻撃を強化するという話」を紹介していた。シリア政府に対するアメリカ政府の攻撃が本格化するのを座して待つことはないだろうということだ。実際、その通りになった。今後、ロシア軍は戦闘態勢を戻す可能性が高い。今年6月9日から12日にかけてドイツのドレスデンで開かれ、アメリカ空軍の大将で欧州連合軍最高司令官を務めたフィリップ・ブリードラブも参加したビルダーバーグ・グループで話し合われた内容もロシアの行動に影響したかもしれない。

 現在、アメリカが「穏健派」扱いしているアル・カイダ系武装集団だが、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された(9/11)直後、ジョージ・W・ブッシュ政権は「アル・カイダ」なるものが実行したと断定、「テロリスト」の象徴にした。

 しかし、イギリスのロビン・クック元外相が指摘したように、「アル・カイダ」とはCIAから訓練を受けた「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイルであり、戦闘集団ではない。アル・カイダはアラビア語で「ベース」を意味、「データベース」の訳としても使われている。つまり、傭兵の登録リストだ。そうした意味で、ダーイッシュも実態は同じ。

 リビアで地上軍の主力だったのはアル・カイダ系武装集団のLIFGだったが、シリアの場合はアル・ヌスラが中心。ただ、リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が2011年10月に倒された直後から戦闘員と一緒に武器/兵器をシリアへ運んでいるので、実態は同じ。つけられたタグが違うだけだ。アメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)で2012年8月に作成された報告書によると、アル・ヌスラはAQIがシリアで活動するときに使う名称にすぎない。

 このAQIは2004年10月にイラクで活動を始めた。2003年3月にアメリカ軍がイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒し、殺戮と破壊で国が混乱する中、勢力を拡大していった。このAQIが中心になって2006年10月にISIが編成され、活動範囲をシリアへ拡大した13年4月からISISとかダーイッシュと呼ばれるようになる。この名前が広く知られるようになったのは2014年に入ってから。1月にファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧したのだが、その際、トヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行い、その様子が世界に伝えられてから。当然、アメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで武装集団の動きを知っていたはずだが、何もしていない。

 アメリカはダーイッシュのパレードを傍観しただけでなく、この武装集団を作り上げたのはアメリカの友好国と同盟国だとウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官は、CNNの番組で語っている。2012年から14年までDIA局長を務めたマイケル・フリン中将は退役後、アル・ジャジーラのに対し、ダーイッシュはバラク・オバマ政権が決めた政策によって勢力を拡大したと語っている。2012年8月の報告書でホワイトハウスに対し、そうしたことを警告していた。

 ISIからISIS(ダーイッシュ)へ呼ばれ方が変わり、活動範囲がシリアへ拡大する直前の2012年、アメリカの情報機関や特殊部隊はヨルダン北部に設置された秘密基地で反シリア政府軍の戦闘員を育成するための訓練を始め、その中にダーイッシュのメンバーが含まれていたと言われている。

 アル・カイダ系武装集団がアメリカ支配層の手下だということになると、2001年9月11日の出来事は何だったのかということが問題になる。サウジアラビアの関与が話題になっているが、イスラエルの影も当時から指摘されている。勿論、アメリカ政府の内部に協力者がいなければ不可能だ。

 ここでロシアや中国との戦争を避けようとしたなら、ネオコンをはじめとする好戦派は非常に厳しい状況に陥りそうだ。1933年から34年にかけて計画した反ニューディール派/親ファシズム派のクーデター、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺、9/11など内戦の恐れから曖昧にされたと思われる出来事を含む秘密工作が噴出してくるかもしれない。彼らは必死だろう。






最終更新日  2016.06.21 00:57:26



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