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《櫻井ジャーナル》

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2016.07.14
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 ロシア軍は7月12日、6機の超音速長距離爆撃機Tu-22M3を使い、パルミラなどにいるダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)やアル・カイダ系武装集団を攻撃、その駐屯地や武器庫、戦車など戦闘車両を破壊した。これとは別にダマスカス近郊でも空爆を実施している。Tu-22M3はイランやイラクの領空を通過してシリアへ入ったという。ロシア海軍は重航空巡洋艦(空母)クズネツォフ提督を10月に地中海へ派遣、シリアでの軍事行動に参加すると言われているのだが、その前に動き始めたわけだ。

 本ブログでも何度か書いたことだが、昨年9月30日にロシア軍がシリアで空爆を始めて以来、侵略勢力は劣勢になった。あくまでもバシャール・アル・アサド体制を倒そうとしているアメリカ、サウジアラビア、イスラエル、トルコなどは停戦で時間稼ぎをしつつ、戦闘態勢を立て直そうとしている。(ロシアとの対立で苦境に陥っているトルコだが、侵略軍を支える兵站線は維持している。)

 例えば、サウジアラビア外務大臣はシリアの戦況を変えるために携帯型の防空システムMANPADを供給しはじめたと発言した。これは2月19日付けシュピーゲル誌に掲載されている。対戦車ミサイルTOWも大量にシリアへ持ち込まれているようだ。アメリカやフランスは特殊部隊を送り込み、シリア政府によると、ドイツも特殊部隊を侵入させたという。トルコ軍はシリア領内へ侵攻している。

 アメリカは例によってタグの付け替えで相手を翻弄しようとしている。アル・カイダ系武装勢力やダーイッシュなど「過激派」をロシア軍が攻撃することは認めたものの、「穏健派」は攻撃するなと主張している。ところが、「過激派」と「穏健派」は行動を共にしていて、両者を分けることは困難なのだという。

 この「過激派」を作り上げたのはアメリカなどの国々。戦闘員を雇い、訓練、兵器/武器を含む物資を供給してきた。アメリカの政府や軍の幹部、あるいは元幹部がアメリカがそうしたことを認めるわけにはいかないだろうが、「友好国」や「同盟国」がそうしたことを行ってきたとは語っている。

 例えば、ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官(SACEUR)は2007年、アメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと語り、14年10月2日にジョー・バイデン米副大統領はハーバード大学で、シリアでの「戦いは長くかつ困難なものとなる。この問題を作り出したのは中東におけるアメリカの同盟国、すなわちトルコ、サウジアラビア、UAEだ」と述べ、あまりにも多くの戦闘員に国境通過を許してしまい、いたずらにISを増強させてしまったことをトルコのエルドアン大統領は後悔していた」と語っていた。勿論、レジェップ・タイイップ・エルドアンは反省していなかったが。

 それだけでなく、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者(ワッハーブ派)、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとホワイトハウスへDIAが報告した際に局長だったマイケル・フリン中将は2015年、アル・ジャジーラの取材に対し、ダーイッシュの勢力が拡大したのはオバマ政権が決めた政策によると語っている。

 アメリカからでさえ、こうした証言が出ている。歴史を振り返れば、アメリカの支配層がサラフ主義者(ワッハーブ派)やムスリム同胞団を中心とする武装勢力を編成、自分たちの侵略軍として使ってきたことは明らか。彼らはこの仕組みを壊すつもりもない。

 それでも、全面核戦争の回避を優先したのか、ロシア側は侵略軍に対する攻撃の手を緩めた。そのひとつの結果として、シリア軍のヘリコプターMi-25が7月8日にパルミラで撃墜され、乗っていたロシア軍のパイロットふたりが殺されている。TOWが使われたようだ。

 シリア政府軍や支援しているイラン軍の内部でロシア政府の姿勢に不満が高まっているようだ。すでにロシア軍はアメリカ側の要請を無視してアル・カイダ系武装集団に対する空爆を実施したと言われているが、イランの革命防衛隊で司令官を務めているコスロ・オロウジ准将はロシア政府に対し、防空システムのS-400を使うように要求している。イスラエル軍は現在でもシリアを戦闘機で攻撃して侵略軍を支援、その戦闘機を撃墜すべきだというわけだ。シリアへ持ち込みながら実際に使わないとなると、核戦争で脅せばロシアは屈するとネオコンは判断し、状況は悪くなる可能性が高い。はやくアメリカの支配層に見切りをつけないと、世界は取り返しのつかないことになると懸念する声は西側で高まっている。

 アメリカの支配システムを揺るがしている大本は経済の破綻。投機市場を使って誤魔化してきたが、それにも限りがある。投機市場も安倍晋三政権/日銀だけでは支えきれない。アメリカの経済状況がさらに厳しくなり、ドルが基軸通貨から陥落した場合、世界的な大混乱になるのは必至。アメリカで警察の軍隊化が進められているのは、経済の崩壊に伴って暴動が起こることを想定しているという見方もあるが、そうなると国外でも自暴自棄になる可能性がある。アメリカ国内の様子を見ていると、良い雰囲気ではない。





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最終更新日  2016.07.14 14:35:56
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