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《櫻井ジャーナル》

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2016.07.15
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 バーニー・サンダースは7月12日、ヒラリー・クリントンを次期大統領にすることを支援すると表明した。民主党の目標として、最低時給15ドルの実現、社会保障制度の拡充、死刑制度の廃止、炭素税の導入、マリファナの合法化、大規模な刑事裁判改革、包括的な移民制度改革、アメリカ先住民の人権擁護などのほか、大きすぎて潰せないという銀行の解体、21世紀版のグラス・スティーガル法(銀行業務と証券業務の分離)を成立させることなどで合意したという。

 巨大企業が租税回避に使っているタックス・ヘイブンへ通じる抜け穴を塞ぐともしているのだが、本ブログでは何度か指摘したように、アメリカが世界最大のタックス・ヘイブンになっている。サンダースが言うところの抜け穴から先にあるタックス・ヘイブンはスイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコ、あるいはロンドン(シティ)を中心とするネットワークだ。

 TPP(環太平洋連携協定)そのものにも反対していないようだが、ヒラリー・クリントンが抱えている最大の問題は戦争。彼女は戦争ビジネスや巨大金融資本と緊密な関係にあるだけでなく、東ヨーロッパ系の嫌露派、ネオコン/シオニスト、ムスリム同胞団ともつながり、世界に破壊と殺戮を広める上で重要な役割を果たしてきた。

 これまでネオコンは内政面に対してほとんど口出しせず、資金提供の代償として国際関係の政策を自由にしてきたようだ。その結果が武力を使った中東/北アフリカにおけるイスラエルのライバル体制破壊であり、ロシアや中国への軍事的な圧力、挑発だ。サンダースはこの領域に足を踏み入れていない。

 ヒラリーの夫、ビル・クリントンは1993年から2001年にかけてアメリカ大統領を務めているが、就任当初は戦争に消極的。政権内におけるネオコンの影響力は前政権に比べて大幅に低下していた。

 ただ、選挙キャンペーンのころからビルはスキャンダル攻勢で苦しめられている。攻勢の中心にいた人物はメロン財閥のリチャード・メロン・スケイフ。情報機関と緊密な関係にあることで知られ、ネオコンとも結びつき、ヘリテージ財団やCSISなどへ多額の資金を提供していた。

 スケイフが1993年から97年にかけて展開した反クリントン工作は「アーカンソー・プロジェクト」と呼ばれ、ネオコンのニュート・ギングリッジ下院議長(当時)を資金面から支えていたシカゴの大富豪、ピーター・スミスもこの反クリントン工作に資金を提供していた。

 ネオコンとの相性が良くなかったビル・クリントンだが、例外も存在した。副国務長官の首席補佐官だったビクトリア・ヌランドだ。筋金入りのネオコンで、1987年にロバート・ケーガンと結婚している。ビル・クリントン政権と相性が良いとは思えない。その人物を政権へ引き込んだのはヒラリーだと言われている。

 クリントンに対するスキャンダル攻勢は大統領に就任してから激しくなり、手足を縛られた状態になる。経済的にも追い詰められ、破産寸前だったともいう。そうした中、アメリカの支配層はユーゴスラビアへの軍事侵略を目論み、有力メディアや「人権擁護団体」は反ユーゴスラビア宣伝を展開、つまりユーゴスラビア政権を悪魔化するために偽情報を流布していた。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)

 クリントン政権が戦争へ向かって舵を切ったのは1997年1月。国務長官が開戦に消極的だったクリストファー・ウォーレンから好戦的なマデリン・オルブライトへ交代したのである。オルブライトはヒラリーと親しい間柄にあった。

 オルブライトはチェコスロバキアで生まれ、父親は外交官。1948年に国外へ脱出してアメリカへ亡命、デンバー大学で教鞭を執る。その時の教え子の中にコンドリーサ・ライスがいた。マデリーンはコロンビア大学でポーランド出身のブレジンスキーから学んでいる。友人のひとりがブルッキングス研究所で研究員をしていたロイス・ライスで、その娘がスーザン・ライス。

 現在、ヒラリーの側近としてぴったり寄り添っているたヒューマ・アベディンの母親、サレハはムスリム同胞団の女性部門を指導、父親のシードはアル・カイダと関係していると主張する人もいる。ヒューマ自身、サウジアラビアがホワイトハウスへ送り込んだスパイだという噂も囁かれてきた。

 アベディンは1996年、ジョージ・ワシントン大学の学生だった時にインターンとしてヒラリーの下で働き始め、それから20年にわたってヒラリーの国際認識に大きな影響を及ぼしてきた。このアベディンはヒラリーと親しいウィーナーと結婚しているが、この人物は筋金入りの親イスラエル派、つまりシオニストだ。

 ヒラリーは2009年1月から13年2月まで国務長官を務めた。2009年6月にはホンジュラスでクーデターがあり、マヌエル・セラヤ政権が倒されたが、その背後にはアメリカ政府が存在していた。

 2011年春にはリビアやシリアへの軍事侵略が始められている。イランへの攻撃にも前向きだった。リビアのムアンマル・アル・カダフィ政権は2011年10月にNATO軍の空爆とアル・カイダ系武装集団LIFGを主力とする地上部隊の連係攻撃で倒され、カダフィは惨殺されたが、それをインタビュー中に知らされたヒラリーは「来た、見た、死んだ」と口にし、喜んでいる。

 その後、リビアから戦闘員や武器/兵器がトルコ経由でシリアへ運ばれているが、その拠点になっていたのがベンガジ。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、輸送の拠点になったのはベンガジにあるCIAの施設。つまりこうした輸送の黒幕はCIAだった。

 そうした事実をアメリカ国務省は黙認、輸送にはマークを消したNATOの輸送機が使われたとも伝えられている。運び出された武器/兵器の中に化学兵器も含まれ、これをシリアで使い、政府軍に責任をなすりつけてNATO軍が直接、介入する口実にしようとしたと言われている。

 2012年9月11日にベンガジのアメリカ領事館が襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使も殺された。領事館が襲撃される前日、大使は武器輸送の責任者だったCIAの人間と会談、襲撃当日には武器を輸送する海運会社の人間と会っている。CIAの工作をスティーブンは熟知、彼の上司だったヒラリー・クリントン国務長官も報告を受けていたはず。

 2012年11月にCIA長官を辞めたデイビッド・ペトレイアスはクリントンと緊密な関係にあることで有名で、スティーブン大使から報告されるまでもなく、ベンガジでの工作をクリントンは知っていた可能性も高い。

 さまざまな好戦派のネットワークが交差した場所にヒラリーは存在している。この人物が失脚した場合、さまざまな好戦派に激震が走るはず。それだけに彼女の守りは堅固だが、何らかの事情で潰れた場合、好戦派は大きなダメージを受けるだろう。そうした意味で、サンダースの躍進は好戦派を震撼させていた可能性がある。

 そのサンダースも屈服したが、彼が躍進したのは彼に希望を見いだした少なからぬ有権者が存在していたからで、そうした人びとは今も消えていない。それだけに、サンダースのクリントン支持表明は慎重に行う必要があった。表明が早すぎると人々が民主党から離れると予想されるからだ。今回のタイミングがヒラリー陣営のとって良かったのかどうかは7月25日までにわかる。

 ヒラリーに良いということは人類にとって最悪の事態だということを意味するのだが、ドナルド・トランプが大統領になっても良いとは言えない。アメリカ帝国の終焉は近そうだが、その時に人類も終焉を迎える可能性がある。そうした流れを支援しているのが安倍晋三政権だ。






最終更新日  2016.07.15 19:04:34


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