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《櫻井ジャーナル》

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2016.07.21
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 トルコのクーデター未遂について、背後に外国勢力が存在し、武装蜂起の数時間前にロシアの情報機関からトルコ政府へ警告があったという話がイスラム世界では流れている。イランも軍事蜂起が始まった2時間後にはクーデターを批判していた。ロシアもイランもクーデターが中東をさらに不安定化させると考えたようだ。エルドアン政権はこのクーデター未遂を利用、反対勢力を一掃し、支配体制を強化しようとしている。

 クーデター計画の情報を最初につかんだのはシリアの北部に駐留しているロシア軍の通信傍受部隊で、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が滞在しているホテルへ数機のヘリコプターを派遣、大統領を拉致、あるいは殺害しようとしていることもトルコ側へ伝えたようだ。

 サウジアラビアから流れてきた情報によると、同国の副皇太子で国防相でもあるモハンマド・ビン・サルマンがクーデターに関与している。この副皇太子と連携しているひとりがアラブ首長国連邦のモハンマド・アル-ナヒャン皇太子で、この人物はアメリカへ亡命しているフェトフッラー・ギュレンと関係があり、クーデターを始めるために2億ドルを提供したと主張する人がいる。エルドアン政権はクーデターの首謀者だとしてギュレンの名を挙げている。

 ギュレンはCIAの手先としても知られ、この人物が主導する運動に支えられてエルドアンも実権を握ることができた。ところが2013年にふたりは仲違いし、今はCIAがギュレンを保護している。こうした背景もあり、今回のクーデターを仕組んだのはアメリカの支配層だと見る人は少なくない。アメリカの好戦派のプロジェクトにサウジアラビアを含むペルシャ湾岸諸国がカネを出すというパターンは1979年から続いている。

 クーデターを企てた理由として、エルドアンがロシアに接近したことが考えられる。まず6月下旬にエルドアン大統領はロシアのウラジミル・プーチン大統領に対してロシア軍機撃墜を謝罪、武装蜂起の直前、7月13日にトルコの首相はシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆していた。トルコ政府がロシア政府に謝罪する前、6月19日にサウジアラビアのモハンマド・ビン・サルマン国防相はロシアを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会っている。

 ロシア軍のSu-24をトルコ軍のF-16が待ち伏せ攻撃したのは昨年11月24日だが、撃墜の当日から翌日にかけてポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問し、トルコ軍の幹部と会談していた。内部告発支援グループのWikiLeaksによると、この撃墜は10月10日にエルドアンが計画しているが、アメリカ政府の許可を受けずにトルコ軍がロシア軍機を撃墜することはできないだろう。クーデターが鎮圧された後、ロシア軍機を撃墜したパイロットふたりがトルコで拘束されたという情報も伝わっている。

 権力欲や金銭欲が原因だろうが、これまでエルドアンはアメリカの戦略に従って動いてきた。その結果、盗掘石油を売りさばくという個人的なビジネスで大儲けしたが、それもロシア軍の介入でうまくいかなくなり、シリアやロシアとの関係悪化のため、両国との取り引きが大きな比重を占めていたトルコ経済は破綻寸前だ。ロシアに接近しても不思議ではない。地獄へ突き落とされようとアメリカの好戦派に従属するというどこかの国が異常なのだ。

 トルコの離反はアメリカにとって大きな打撃になる。シリア国民に選ばれたバシャール・アル・アサド政権を倒すためにアメリカ、サウジアラビア、イスラエルを中心とする勢力はアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を送り込み、破壊と殺戮を繰り広げてきた。

 その拠点はトルコとヨルダンだが、特にトルコは重要。そこからシリアの侵略軍まで兵站線が伸びている。この拠点が使えなくなり、兵站線が断たれたなら、シリア侵略は不可能に近い。NATOの直接的な軍事侵攻はロシア軍との前面衝突に発展するだろうが、通常戦でNATOは勝てないというのが大方の見方だ。つまり、核戦争へ発展することになる。

 ロシアの天然ガスを運ぶパイプラインの建設計画が復活した場合、ギリシャでも新たな動きが出てくる可能性が高く、ヨーロッパとロシアは接近する可能性が高まる。アメリカ支配層にとって悪夢だ。アメリカの巨大資本がヨーロッパを支配するためのTTIP(環大西洋貿易投資協定)が成立していればアメリカは利権を守り、拡大することができるだろうが、イギリスで実施されたEU離脱を問う国民投票、いわゆるBrexitでEUからの離脱を支持する人が多数を占め、TTIPは実現しない可能性が強まっている。

 中東でロシアへの接近を図っている国はトルコ以外にもある。イスラエルだ。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は盛んにモスクワを訪問、6月7日にプーチン大統領と会談している。その一方で国防大臣にアビグドル・リーバーマンを据えた。狂信的なユダヤ至上主義者として知られているが、ロシア政府にパイプを持っている人物でもある。ロシア側からはパレスチナとの和平プロセスを進めるべきだと言われているようだが、それでもイスラエルはロシアとの関係を強めようとしている。

 最近もアメリカが主導する連合軍の空爆で市民数十人が殺され、地上では子どもの首が切り落とされるという出来事があった。アサド体制の打倒に執着、そのためにアル・カイダ系武装勢力やダーイッシュのような戦闘集団を使ってきたが、そのひとつの結果だ。今後、こうした戦闘集団に日本が攻撃されるかどうかは、アメリカ支配層の判断次第。彼らがそうした集団の雇い主だからだ。






最終更新日  2016.07.22 13:59:46
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