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《櫻井ジャーナル》

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2016.07.22
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 中東やヨーロッパにおける支配力をアメリカは高めようとしてきたが、逆に影響力が低下している。アル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)、あるいはネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を使って「レジーム・チェンジ」を目論んできたのだが、破壊と殺戮をもたらしただけだった。そうした中、東アジアへ「転進」を図っているように見えるが、冷戦後、中国脅威論が盛んに言われた時期があった。

 ジョージ・W・ブッシュがアメリカ大統領に就任した2001年1月当時、アメリカ政府は中国脅威論を叫び、東アジアの軍事的な緊張を高めようとしていたが、その後、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、ウクライナなどの制圧に力を入れるようになって東アジアは静かになった。しかも2009年9月に総理大臣となった鳩山由紀夫は東シナ海を「友愛の海」にしようと提案している。それに対して胡錦濤主席はその海域を平和、友好、協力の海にしようと応じたと言われ、軍事的な緊張は低下しそうだった。

 しかし、日本と中国が友好的な関係を築くことはアメリカの支配層にとって悪夢だ。マスコミは激しく鳩山を攻撃、2010年6月に首相の座から引きずり下ろすことに成功した。

 その前から日本と中国との間に軍事的な緊張を高めようとしていたアメリカの好戦派は鳩山の発言を許せなかっただろう。2009年から11年までNSC(国家安全保障会議)のアジア上級部長を務めたジェフリー・ベーダーは講演会で鳩山の東アジア共同体構想を罵倒し、日米関係の最大の懸念だったとも語っている。

 その一方、鳩山の盟友だった小沢一郎を日本のマスコミと検察は攻撃している。小沢は2008年9月に行われた民主党代表選で3選されたが、翌年5月に政治資金規正法違反の容疑で公設秘書が逮捕されて代表を辞任している。

 しかし、その年の9月に小沢は幹事長に就任、2010年1月に秘書が逮捕されるが、検察は2月に小沢を不起訴にする。ところが4月に検察審査会が起訴相当だと議決、10月にも再度、検察審査会は起訴議決し、翌年の1月に強制起訴された。

 結局、検察が「事実に反する内容の捜査報告書を作成」するなど不適切な取り調べがあったことが判明、この告発は事実上の冤罪だということが明確になったが、小沢のイメージを悪化させることには成功した。

 鳩山が首相を辞めた後、2010年9月に尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を海上保安庁が「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、漁船の船長を逮捕した。この逮捕劇の責任者は国土交通大臣だった前原誠司。この後、日中友好の流れは断ち切られ、軍事的な緊張が高まっていく。

 2011年3月11日に東北の太平洋側で巨大地震が起こった後、日本と中国の対立は緩和されたかに見えたが、その年の12月に石原慎太郎都知事(当時)の息子、石原伸晃が「ハドソン研究所で講演、尖閣諸島を公的な管理下に置いて自衛隊を常駐させ、軍事予算を大きく増やすと発言、今年4月には石原知事が「ヘリテージ財団」主催のシンポジウムで尖閣諸島の魚釣島、北小島、南児島を東京都が買い取る意向を示した。石原慎太郎の発言が中国で広がった反日運動の直接的な原因だ。

 ところで、中国脅威論の発信源は国防総省内部のシンクタンクONA(ネット評価室)のアンドリュー・マーシャル室長だとされている。マーシャルの師、バーナード・ルイスはイギリス軍の情報機関に所属したことがある親イスラエル派。

 サミュエル・ハンチントンと同じようにルイスは「文明の衝突」を主張、その一方でイスラエルと同じようにサウジアラビアや湾岸の産油国をはじめとする独裁国家も支援していた。(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005)

 冷戦時代、マーシャルはソ連脅威論の発信源だった。そのマーシャルが脅威を中国へ切り替えた理由は、勿論、1991年12月のソ連消滅にある。それ以降、ネオコン/シオニストをはじめとするアメリカの好戦派は自らを「唯一の超大国」と位置づけ、世界制覇の方針、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」をスタートさせた。こうしたことは本ブログで何度も指摘してきた。

 ソ連に止めを刺したアメリカ支配層の傀儡、ボリス・エリツィンが大統領を務めていた1991年7月から99年12月までロシアはウォール街の属国。アメリカは次の獲物に狙いを定めたわけだ。

 尖閣諸島だけでなく、南シナ海でも中国はフィリピンやベトナムと領海問題で揉めているが、その背後にいるのはアメリカ。ベトナムと中国との関係を悪化させる一因はアメリカの巨大石油企業、エクソン・モービルの存在にある。問題の海域で同社は中国の警告を無視して掘削を強行していたのだ。それに対し、中国は5月2日に石油掘削装置「海洋石油981」を南シナ海のパラセル諸島に持ち込んだ。

 また、シーレーン防衛の問題もある。これが言われ始めたのは1970年代の終わり頃。例えば、中東から石油や天然ガスを運ぶルートを守ろうと言うことだろうが、これだけの距離を守ることは事実上、不可能だ。日本やアメリカの支配層も当然、そうしたことを理解している。それにもかかわらず主張するのは、別に目的があるからだろう。その目的として、他国のエネルギー源輸送を断つことが考えられる。

 当然、中国はアメリカの動きを警戒する。そこで、マラッカ海峡を避けるため、ミャンマーやパキスタンにパイプラインを建設しようと計画した。それに対し、アメリカはミャンマーとの関係改善を図り、事実上、アウン・サン・スー・チーが支配する体制を作り上げている。

 よく知られているようにスー・チーの父親は「独立の父」と呼ばれるアウン・サン。その父は1947年7月、彼女が2歳の時に暗殺された。その後、インド駐在大使になった母親についてインドへ行き、そこで教育を受けた後、イギリスのオックスフォード大学を卒業してニューヨークへわたっている。将来の夫でイギリス人歴史学者であるマイケル・アリスト会うのはそこにおいてだ。

 ミャンマーの新体制は中国との関係を弱める政策を推進、石油/天然ガスのパイプライン建設や銅山開発が問題になり、2011年9月には工事の中断が発表されている。

 燃料の輸送だけでなく、シーレーンは中国の戦略で重要な位置を占めている。「一帯一路(シルク・ロード経済ベルトと21世紀海のシルク・ロード)」のうち、海のシルク・ロードだ。その海上ルートが始まる場所が南シナ海。そこをアメリカは潰そうと計画、日本はその計画に参加している。アメリカが言うところの「東アジア版NATO」の中核として日本、ベトナム、フィリピンを考え、そこへ韓国、インド、オーストラリアを結びつけようとしている。7月8日には韓国へTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムを配備することが決まったという。このシステムは攻撃用へすぐに変更できる。

 6月1日に開かれた官邸記者クラブのキャップとの懇親会で安倍晋三首相は「安全保障法制」について「南シナ海の中国が相手」だと口にしたというが、その背景にはアメリカの戦略があるということだ。安倍政権はアメリカ側から戦争準備を急ぐように急かされているのかもしれない。





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最終更新日  2016.07.23 12:25:29
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