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《櫻井ジャーナル》

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2016.07.31
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 トルコにあるインシルリク基地の主な利用者はアメリカ空軍とトルコ空軍で、イギリス空軍やサウジアラビア空軍も使っているという。その基地を約7000名の武装警官隊が取り囲だと伝えられている。トルコとアメリカとの対立が激しくなっていることを受け、7月31日にアメリカのジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長は急遽、トルコを訪問することになったが、その直前の出来事だ。

 アメリカとトルコとの対立が激しくなった原因は7月15日の武装蜂起にある。短時間で鎮圧されたが、トルコ政府はアメリカへ亡命中のフェトフッラー・ギュレンがアメリカ政府と組んで実行したと主張、トルコの検察当局は、武装蜂起した部隊がFBIやCIAの訓練を受けていたと公言している。その一方、レジェップ・タイイップ・エルドアン政権はギュレン派を含む反対勢力の粛清を大々的に展開し、独裁体制の強化を目論んでいるようだ。

 今回のクーデターをCIAが仕組んだとするならば、過去の例から見て、第2弾、第3弾が準備されている可能性がある。トルコ政府もそうしたことを主張、今回の武装警官隊派遣の理由にしている。

 アメリカ支配層の内部でもネオコンをはじめとする好戦派の戦略に対する懸念が広まっている可能性がある。例えば、2月10日にヘンリー・キッシンジャーがロシアを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会談しているのだ。それ以降、雰囲気に変化が見られるようになり、22日には「テロリスト」を除外した停戦に合意したとする発表があった。

 徐々に好戦派は孤立しつつあるように見えるが、その一因は戦争の長期化。リビアではNATOがすぐに軍事介入できたが、シリアで同じことはできなかった。西側のメディアは偽情報を流し、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアを中心とする侵略勢力は偽旗作戦を使って軍事介入を正当化しようとしたが、途中で偽情報の発信が露見、偽旗作戦もロシア政府などによって暴かれてしまった。強引にNATOが攻撃を始めようとした際、ロシア軍によるジャミングで妨害されたという説もある。

 戦争が長引いていることによってトルコ国内でも不満が高まった。トルコがシリアやロシアと経済的に強く結びついていた国であることを考えれば、当然のこと。エルドアン政権はトルコ国内に滞留させていた難民をEUへ向かわせ、トルコに難民を留める代償としてEUは2年間で60億ユーロ(約7500億円)をトルコへ支払うことになった。

 難民の中にはシリアやリビアへの侵略に参加した戦闘員も混じっているが、そうした種類の人びと、いわゆる「テロリスト」がヨーロッパへ渡っているのはトルコ政府の政策の一部だと、今年1月にヨルダンのアブドラ国王はアメリカの議員に説明したという。このときの会談内容を記録したメモをイギリスのガーディアン紙が報道したのだ。ヨルダン政府はこの報道を否定しているが、国王がそのように語っていても不思議ではない。

 難民を使ってEUを脅すことはアメリカ支配層の利益にも叶っていた。アメリカも「テロリスト」を利用できる。

 ところが、状況を一変させる出来事が昨年9月30日に起こった。シリア政府の要請を受け、ロシア軍がシリアでの軍事作戦を開始したのだ。アメリカ軍とは違い、本当にアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を攻撃、司令部、戦闘部隊、兵器庫を空爆するだけでなく、侵攻軍が資金源にしている盗掘石油の精製施設や輸送車両も破壊、エルドアン大統領は個人的にも大きなダメージを受けた。

 1991年1月にアメリカ軍はイギリスやフランスなどの部隊を率いてイラクを攻撃しているが、その際、ジョージ・H・W・ブッシュ政権はサダム・フセインを排除しないまま停戦、フセインの排除を第1目標にしていたネオコン/シオニストは激怒した。

 そうしたネオコンの大物で国防次官だったポール・ウォルフォウィッツはシリア、イラン、イラクを殲滅すると語っていたという。これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官の話だ。

 この経験はネオコンを強気にもした。イラクを攻撃してもソ連が何もできなかったからである。当時のソ連は国内が混乱、軍事力を行使できる状況ではなかったのだが、ネオコンはそれを特殊なケースとは考えなかったようだ。

 西側支配層の傀儡だったボリス・エリツィンが大統領だった時代はともかく、21世紀になってウラジミル・プーチンが実権を握った後は状況が一変したのだが、それをネオコンは受け入れていない。それだけに、昨年9月にロシア軍が軍事介入してきたときには驚いたようだ。

 そして11月24日にトルコ軍のF-16がロシア軍のSu-24を待ち伏せ攻撃して撃墜している。内部告発支援グループのWikiLeaksによると、この撃墜は10月10日にエルドアンが計画しているが、アメリカ政府の許可を受けずにトルコ政府がロシア軍機を撃墜することはできないと考えるのが常識的。それだけに、24日から25日にかけてポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問し、トルコ軍の幹部と会談していたことは興味深い。

 撃墜時にギリシャを拠点とするアメリカ/NATOのAWACS(早期警戒管制)機、そしてサウジアラビアもAWACS機が飛行、両機はトルコとシリアの国境付近で何が起こっているかも監視していたはず。トルコ軍機を指揮管制していた可能性もある。こうしたことからも、ロシア軍機の撃墜にアメリカ/NATOが関与している可能性は高い。クーデター未遂後、トルコではロシア軍機を撃墜したふたりのパイロットが拘束されたという情報も伝わっている。

 キッシンジャーがロシアを訪問した後、3月にトルコで興味深い情報が流れた。傭兵会社のブラックウォーター(現在の社名はアカデミ)を創設したエリック・プリンスがトルコを訪れてエルドアン大統領と会談したというのだ。本ブログですでに指摘したことだが、トルコ軍が対応できない事態が生じているのか、その軍を大統領が信用できない状況が生まれているのかもしれないと推測する人もいた。つまり、軍がクーデターを目論んでいるのではないかということだ。

 こうしたことを考えると、エルドアン政権はクーデターに対する準備を進めていた可能性は高い。さらに、今回のクーデターが失敗した大きな理由として挙げられているのはロシアの動きだ。武装蜂起の数時間前にロシアの情報機関からトルコ政府へ警告があったからだとする情報が早い段階からイスラム世界では流れていた。イランも軍事蜂起が始まった2時間後にはクーデターを批判している。ロシアもイランもクーデターが中東をさらに不安定化させると考えたようだ。

 クーデター計画の情報を最初につかんだのはシリアの北部に駐留しているロシア軍の通信傍受部隊で、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が滞在しているホテルへ数機のヘリコプターを派遣、大統領を拉致、あるいは殺害しようとしていることもトルコ側へ伝えたとも言われている。

 サウジアラビアから流れてきた情報によると、同国の副皇太子で国防相でもあるモハンマド・ビン・サルマンがクーデターに関与している。この副皇太子と連携しているひとりがアラブ首長国連邦のモハンマド・アル-ナヒャン皇太子はアメリカへ亡命しているフェトフッラー・ギュレンと関係があり、クーデターを始めるために2億ドルを提供したと主張する人がいる。エルドアン政権はクーデターの首謀者だとしている人物がこのギュレンだ。

 クーデターが企てられた理由として、エルドアンがロシアに接近していたことが挙げられている。まず6月下旬にエルドアン大統領はロシアのプーチン大統領に対してロシア軍機撃墜を謝罪、武装蜂起の直前、7月13日にトルコの首相はシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆していた。こうしたこともロシアがトルコ政府へクーデターが迫っていると警告した一因だろう。






最終更新日  2016.07.31 21:09:01
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