15101326 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2016.09.16
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 東京都中央卸売市場を築地から移転させる先の豊洲が大きな問題を抱えていることは当初から指摘されていた。ベンゼン、シアン化合物、ヒ素を含む有害物質に汚染され、ベンゼンの場合、2008年当時、環境基準の最大4万3000倍に達していた。しかも床の耐荷重が弱く、仲卸店舗の1区画の間口が狭くてマグロ包丁が使えないうえ、交通アクセスが貧弱で円滑な輸送は望めそうにないといったことが指摘されている。汚染対策として盛り土をすることになっていたのだが、実際はコンクリートで囲まれた空間になっていたことが明らかにされ、移転を予定通りに行うことは不可能だろう。

 盛り土するべきだと2008年5月19日に決定したのは専門家会議。その決定から11日後に石原慎太郎知事(当時)は定例会見で、「海洋工学の専門家がインターネットで『もっと違う発想でものを考えたらどうだ』と述べていると紹介。土を全部さらった後、地下にコンクリートの箱を埋め込み『その上に市場としてのインフラを支える』との工法があると『担当の局長に言った』と説明していた。」

 市場を築地から豊洲へ移転させると石原が強引に決めたのは2001年と言われているのだが、この年、臨海副都心開発の赤字を誤魔化すために「臨海副都心事業会計」を黒字の「埋立事業会計」や「羽田沖埋立事業会計」と統合、帳簿の上で赤字と借金の一部を帳消しにするという詐欺的なことを東京都は行っている。勿論、地方債と金利負担がなくなるわけではない。築地の土地を叩き売っても問題は解決できそうにない。

 都の財政にとって大きな負担になっている臨海副都心開発は鈴木俊一知事の置き土産である。1979年に初当選した鈴木は巨大企業が求める政策を打ち出し、新宿へ都庁を移転させて巨大庁舎を建設したほか、江戸東京博物館や東京芸術劇場も作り、臨海副都心開発の検討を開始、1989年には臨海副都心で建設を始めている。

 ちなみに、この臨海副都心に含まれる台場エリアにカジノを建設しようと目論んでいる人物がいる。イランを核攻撃で脅すべきだと2013年に主張していたシェルドン・アデルソンだ。日本にもカジノを合法化したいと考える人びとが昔からいて、2010年4月には超党派でカジノ議連(国際観光産業振興議員連盟/IR議連)が設立された。

 アデルソンは日本でカジノ・ビジネスを展開するため、2013年11月にIS議連の細田博之会長にプレゼンテーションを行い、東京の台場エリアで複合リゾート施設を作るという構想の模型を披露しながらスライドを使って説明、自民党などは、カジノ解禁を含めた特定複合観光施設(IR)を整備するための法案を国会に提出した。「順調に手続きが進めば、カジノ第1号は2020年の東京オリンピックに間に合うタイミングで実現する可能性がある。」とも言われた。

 そして2014年2月にアデルソンは来日、日本へ100億ドルを投資したいと語る。世界第2位のカジノ市場になると期待、事務所を開設するというのだ。そして5月、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は日本政府高官に対し、アデルソンへカジノのライセンスを速やかに出すよう求めたとイスラエルのハーレツ紙が今年2月5日付け紙面で伝えている。臨海副都心にはネオコンやイスラエルも食い込もうとしている。

 中央卸売市場の移転問題で中心的な役割を果たしたのは石原だが、問題を知りながら黙認していた都庁の役人や都議会の議員、そしてマスコミも責任を免れない。今回、この件を問題にした小池百合子も東京を地盤とする自民党の有力議員だったわけで、彼女を「正義の味方」として扱うべきではない。

 関係者は豊洲が危険だと思っても私的な利益を優先して推進したわけだが、原発や日米軍事同盟でも日本の「エリート」たちは高を括り、同じようなことをしている。原発の場合、東電福島第一原発が2011年3月11日に大事故を起こし、今でも環境を汚染し続けている。

 今年7月、同原発の2号機の原子炉圧力容器内を「ミュー粒子」を使って東電は調査、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の大部分が圧力容器の底に残っているとみられるとする報道があった。原子炉底部に存在する物質の総量は推計で200トン前後と判明したという。1号機と3号機は確認できなかった、つまり地中に潜り込み、地下水がそれを冷却している状態。チャイナ・シンドローム状態になっているということだろう。

 そのデブリを回収することは至難の業。イギリスのタイムズ紙は廃炉までに200年という数字を出しているが、数百年はかかると見るのが常識的だ。その間のコストは膨大で、リスクは高い。今後、健康、環境への影響も顕在化し、人類の存続が問題になることも考えられる。

 事故の引き金になった地震は11日の14時46分に発生、全電源喪失になり、メルトダウン、翌12日の15時36分に1号機で爆発、14日11時1分には3号機で爆発、15日6時10分に2号機で「異音」、そして6時14分に4号機の建屋で大きな爆発音があったという。状況から判断すると、最も損傷が激しかったのは3号機、次いで1号機。2号機は比較的、損傷は少なかったように推測できる。その2号機でさえ、核燃料の大半が原子炉の底部へ落下していたということだ。

 原発の元技術者であるアーニー・ガンダーセンによると、福島のケースでは燃料棒を溶かすほどの高温になっていたわけで、原子炉が健全な状態ならば99%の放射性物質を除去することになっている圧力抑制室(トーラス)の水は沸騰状態で、ほとんどの放射性物質が外へ放出されたはずだと指摘する。(アーニー・ガンダーセン著『福島第一原発』集英社新書)

 また、水が存在したとしても、解けた燃料棒や機械が気体と一緒に噴出、水は吹き飛ばされていたとも推測でき、圧力容器内の放射性物質はダイレクトに放出された可能性が高い。ガンダーセンは、少なくともチェルノブイリ原発事故で漏洩した量の2〜5倍の放射性物質を福島第一原発は放出したのではないかとしているが、10倍と考えることもできる。こうした状況であるにもかかわらず、安倍晋三首相は「アンダー・コントロール」と主張したわけだ。

 ところで、この地震が起こる3日前、つまり2011年3月8日付けのインディペンデント紙に掲載された記事の中で、石原慎太郎は日本が「1年以内に核兵器を開発することができる」と主張、外交力とは核兵器なのだと語っている。彼によると核兵器を日本が持っていれば中国は尖閣諸島に手を出せないだろうという。脅せば屈すというネオコン的な発想。2012年4月に石原は「東京都が尖閣諸島を購入することにした」と発言、日本と中国との関係悪化を加速させている。

 中央卸売市場の移転で問題を引き起こし、東京の財政悪化を促進しただけでなく、日本と中国との関係を壊して軍事的な緊張を高め、日本経済に大きなダメージを与えたのが石原。その石原を大半の都議会議員、役人、そしてマスコミは長い間支えてきたということを忘れてはならない。東京の有権者も、そうした人物を支持してきた責任がある。






最終更新日  2016.09.16 16:49:54

Copyright (c) 1997-2020 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.