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《櫻井ジャーナル》

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2016.10.08
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 アメリカの石油生産量が減少しているようだ。2015年6月のピーク時は日産960万バーレルだったが、今年は9月9日時点では11%減の日産850万バーレル。原油価格の大幅な値下がりで生産コストの高いシェール・ガス/オイル業界が壊滅的なダメージを受けているはずでこうしたことも影響しているだろう。

 原油価格の下落を仕掛けたのはアメリカとサウジアラビアだと言われているが、サウジアラビアの経済も危機的な状態。政府から巨大建設企業へ支払われるべきものが支払われず、兵士や労働者の中には賃金を7カ月にもわたり、受け取っていない人もいるという。この兵士はインド、パキスタン、スリランカの出身者が多く、労働者の大半も出稼ぎ。賃金の支払いは国際問題につながる。

 石油に依存しているサウジアラビアだけでなく、アメリカも経済基盤は弱く、現在の状態が続けば遠くない将来に崩壊する。アメリカの場合、ベトナム戦争の終盤、1971年にリチャード・ニクソン大統領はドルと金の交換を停止すると発表、73年から世界の主要国は変動相場制へ移行しているが、この段階でアメリカ経済は身動きのとれな状態になっていたと言える。

 基軸通貨のドルを発行する特権を利用、生き延びるしかなくなったのだが、単純に大量発行すればドルの価値が暴落、ドルは基軸通貨の地位から陥落してしまう。そこで考えられたのがペトロダラーの仕組みだった。

 アメリカは産油国に対して決済をドルにするように求め、集まったドルでアメリカの財務省証券や高額兵器などを購入させ、だぶついたドルを還流させようとしたのだ。このシステムでは、例えば、石油が欲しければドルの発行量を増やし、産油国へ流れたドルを回収するだけのこと。日本や中国が財務省証券を大量に購入してきたのも同じ理由だろう。一種のマルチ商法だ。

 その代償としてニクソン政権がサウジアラビアに提示したのは、同国と油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の売却、イスラエルを含む中東諸国からの防衛、そしてサウジアラビアを支配する一族の地位を永久に保障するというもので、この協定は1974年に調印されたという。これと基本的に同じ内容の取り決めを他のOPEC諸国も結んだという。

 1970年代に始まったドル回収システムのひとつは投機市場の拡大。現実世界に流通するはずのドルを投機市場へ流し込もうということだ。そのために規制緩和が推進され、「金融ビッグバン」ということになる。新自由主義をアメリカやイギリスの支配層が拡大させた一因はそこにあるだろう。

 アメリカに限らず、資本主義世界の巨大企業はため込んだ儲けを社会に還流させようなことはしない。そこで「カネ余り」になり、経済活動は行き詰まる。その滞留した資金の受け皿として投機市場が用意され、「バブル」になる。

 投機市場では実際に流れ込んだ資金量を遙かに上回る数値が表示され、大儲けした気になる人もいるが、それは幻影にすぎない。市場へ流入する資金量が減れば相場は下がり、幻影は消えていく。例えば、2008年9月にリーマン・ブラザーズが破産法第11条(日本の会社更生法、あるいは民事再生法に相当)の適用を申請、つまり倒産したのもそうした結果だ。

 通常はそれで幻影が消え、本来の姿が現れるのだが、この時、アメリカの当局は「大きすぎて潰せない」として巨大金融機関を救済、「大きすぎて処罰できない」ということで責任者が適正に処罰されることはなかった。現実を幻影に合わせることにしたのだが、それには資金が必要になる。当然、尻ぬぐいは庶民に押しつけられた。

 新自由主義の仕組みは残り、同じことを繰り返すことになる。安倍晋三首相は日銀の黒田東彦総裁と組んで「量的・質的金融緩和」、いわゆる「異次元金融緩和」は推進、資金を世界の投機市場へ流し込んだが、目的は投機市場へのテコ入れ。日本経済を立て直すことなど不可能だ。これは政府も日銀も承知しているだろう。

 投機市場へのテコ入れにはETF(上場投資信託)やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も利用され、庶民がリスクを負うことになった。大損することは最初から見通されていたはずだ。

 アメリカにしろ、日本にしろ、支配層が目指している方向は一貫している。世界を支配し、富を独占することだ。国という仕組みは庶民の意思も反映されるようになっているので、彼らは破壊したがっている。ファシズムを欧米の巨大資本が支援していた理由もそこにある。

 フランクリン・ルーズベルト大統領は1938年4月29日、ファシズムについて次のように語っている。

「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」

 1932年の大統領選挙でウォール街はハーバート・フーバー大統領の再選を目指していた。この人物はスタンフォード大学を卒業した後、鉱山技師としてアリゾナにあるロスチャイルドの鉱山で働き、利益のためなら安全を軽視するタイプだったところを見込まれて「出世」している。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013)

 ところが、このフーバーが1932年の大統領選挙でニューディール派のルーズベルトに負けてしまう。そこで、JPモルガンを中心とする巨大金融資本は1933年から34年にかけて反ニューディール派のクーデターを計画している。バトラーの知り合いで、クーデター派を取材したジャーナリストのポール・フレンチによると、彼らはファシズム体制の樹立を目指すと語っていたという。この計画はスメドリー・バトラー海兵隊少将らが議会で証言で明らかになっている。

 このJPモルガンは日本の支配層とも深い関係がある。切っ掛けは関東大震災。復興資金を調達するため、日本側はJPモルガンに頼り、それ以降、日本の政治経済はこの金融機関の影響下に入ったのだ。

 1932年にジョセフ・グルーが駐日大使として日本へ来るが、この人物のいとこはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥と結婚している。それだけの大物を送り込んできた理由のひとつは対日投資にあるだろう。グルーは日本軍が真珠湾を攻撃した後も日本に滞在、1942年に帰国する直前、岸信介からゴルフを誘われている。(Tim Weiner, "Legacy of Ashes," Doubledy, 2007)

 JPモルガンと最も近い関係にあった日本人は井上準之助と言われている。三井財閥の大番頭を務めていた団琢磨はアメリカのマサチューセッツ工科大学で学んだ人物で、アメリカの支配層と太いパイプを持っていた。

 新自由主義に食い荒らされた国々は死が間近に迫っている。支配層はその国を放棄し、直接投資に乗り出そうとしている。そして考えた仕組みがTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)の3点セット。これは明らかにファシズムであり、第2次世界大戦の前から彼らが目論んでいたことだ。

 この長期計画を巨大資本が放棄するとは思えない。安倍晋三政権の動きを見ていると、強引にヒラリー・クリントンを大統領にさせ、屁理屈を使って3点セットを実現するとアメリカ側から言われているようにも思える。

 金融システムを巨大資本が支配する仕組みがアメリカに出現したのは連邦準備法が制定された1913年だが、これにはJPモルガンの創設者であるジョン・ピアポント・モルガンが関係している。

 ニッカー・ボッカー信託が破綻、その救済をモルガンが拒否したことから連鎖倒産が始まって相場が暴落、それを口実にしてセオドア・ルーズベルト大統領が国家通貨委員会を設立、巨大金融機関の代表がジキル島にあるモルガンの別荘に集まって秘密会議を開催、そこで連邦準備制度の青写真が作り上げられたのだ。この法律によってアメリカの通貨政策は民間の銀行が支配することになり、ドルが基軸通貨になってからは、そうした銀行を世界の金融を支配することになる。

 ドルが基軸通貨でなくなると、この仕組みが破綻してしまう。そうした動きの震源地は中国とロシアであり、その意味でもアメリカの巨大資本は中国やロシアを破壊しようと躍起になっている。アメリカの軍部は懸念しているようだが、ヒラリーの周辺にいるネオコンたちはロシアとの核戦争を辞さないという姿勢だ。彼らがその意味を理解しているかどうかは不明だが。





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最終更新日  2016.10.08 23:23:51
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