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《櫻井ジャーナル》

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2016.11.13
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 ロシア海軍の重航空巡洋艦(空母)クズネツォフ提督を中心とする艦隊がシリア沖に到着した。戦闘の準備が整い、すでにミグ29やスホイ33といった戦闘機が偵察飛行を開始しているようだ。

 攻撃のターゲットはシリアを侵略しているアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ。トルコはクルド勢力を攻撃するとしてシリアを侵略しているが、トルコから伸びている侵略軍の兵站線をトルコが閉鎖するという噂もある。これが事実なら、侵略戦争は終わるだろう。

 この侵略部隊をバラク・オバマ政権は「過激派」と「穏健派」に分け、支援の口実にしているが、これは単なるタグにすぎない。2011年3月に戦闘が始まって以来、「穏健派」と呼べるような戦闘集団は存在しない。アメリカ/NATO、サウジアラビアなどペルシャ湾岸産油国、イスラエル、トルコなどに支援された傭兵部隊が侵略の中心だ。

 2012年8月にDIA(国防情報局)の作成した文書でも、シリアにおける反乱の主力をサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI(アル・カイダ系武装集団)だとしているが、アル・カイダ系武装集団の戦闘員はサラフ主義者/ワッハーブ派やムスリム同胞団が中心だ。そのメンバーを雇い、送り出している主体がサウジアラビアだが、DIAはそれ以外にも西側やトルコの支援を受けているとホワイトハウスに報告している。つまり、バラク・オバマ大統領もこの事実を承知している。そのうえで支援してきたわけである。

 勿論、アル・カイダとは1997年から2001年までイギリスの外相を務めたロビン・クックが書いたように、CIAから訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイルが元々の意味。アル・カイダはアラビア語で「ベース」を意味、「データベース」の訳としても使われている。現在もアル・カイダ系武装集団やダーイッシュにCIAの破壊工作人脈が関係している可能性は非常に高い。

 アメリカやその同盟国とダーイッシュとの関係はアメリカの副大統領や軍の元幹部も指摘してきた。例えば2014年9月、空軍のトーマス・マッキナニー中将はアメリカがダーイッシュを作る手助けしたとテレビで発言マーティン・デンプシー統合参謀本部議長(当時)はアラブの主要同盟国がダーイッシュに資金を提供していると議会で発言、同年10月にはジョー・バイデン米副大統領がハーバーバード大学で中東におけるアメリカの主要な同盟国がダーイッシュの背後にいると語り、2015年にはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官もアメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと述べている。

 そして2015年8月、マイケル・フリン元DIA局長はアル・ジャジーラの番組で、自分たちの任務は提出される情報の正確さをできるだけ高めることにあり、情報に基づく政策の決定はバラク・オバマ大統領が行うと指摘している。つまり、オバマ政権の決定がダーイッシュの勢力を拡大させたというわけだ。

 2011年10月から15年9月まで統合参謀本部議長を務めたマーチン・デンプシー陸軍大将もアル・カイダ系武装集団やダーイッシュを危険視、オバマ政権の許可を得ずに武装集団に関する情報を2013年秋からシリア政府へ伝えはじめたとシーモア・ハーシュは書いている。国防長官だったチャック・ヘーゲルもデンプシーと同じようにそうした武装勢力を危険だと考えていた。

 ところが、ヘーゲルが2015年2月に国防長官を退任、デンプシーも同年9月に議長を辞めている。ヘーゲルの後任長官に選ばれたアシュトン・カーターは2006年にハーバード大学で朝鮮空爆を主張した人物で、デンプシーの後任議長であるジョセフ・ダンフォードはロシアをアメリカにとって最大の脅威だと発言していた。

 アメリカ政府は好戦的な布陣になったわけだが、そこで状況を一変させる出来事があった。9月末にロシア軍がシリア政府の要請に基づいて空爆を開始、侵略軍に大きなダメージを与え、戦況が大きく変化したのである。

 次期大統領に選ばれたドナルド・トランプもデンプシーやフリンと同じで、敵はダーイッシュであり、バシャール・アル・アサド大統領の排除を目指すべきではないという立場。ロシアやシリアと戦うべきでなく、「穏健派」への支援を止めるべきだとしている。今回の大統領選挙の結果を受け、ヘイゲルもロシアとの関係を修復すべきだと主張している。

 ところで、シリアを侵略している勢力との戦いでは、中国も加わろうとしている。先日、アレッポの南西部でカフカス(黒海とカスピ海との間にある地域)や中国の新疆ウイグル自治区から来た少なからぬ戦闘員が死亡したようだが、中国にとってもシリア情勢は人ごとでないということだろう。






最終更新日  2016.11.13 14:17:22

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