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《櫻井ジャーナル》

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2016.12.15
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 「特定複合観光施設(IR)」を整備する、つまり日本で賭場を開帳できるようにしようという「カジノ解禁法案」が12月15日未明に衆議院本会議で可決、成立したという。日本はアメリカの後を追ってファシズム化を急ピッチで進めているが、そのひとつの結果がここでも見られた。

 この法案を推進してきた母体は、2010年4月に発足した「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」。2013年11月にはカジノを経営するシェルドン・アデルソンがこの議連で会長を務める細田博之に対し、日本におけるカジノ構想を説明していた。アデルソンのカジノはアメリカのラスベガス(ネバダ州)、ベスレヘム(ペンシルベニア州)、さらにマカオ(中国)、マリナ湾(シンガポール)にもある。

 博奕で儲かるのは胴元だけだと昔から相場は決まっていて、客は損をすることになっている。つまり、客はカモだ。カモを集めるため、日本ではショッピングモール、レストラン、劇場、映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温泉施設、国際会議場、展示施設などと一体化させるそうだ。

 ラスベガスやマカオと並んで有名なカジノ所在地がモナコ。フランスの南東部にあり、地中海に面している。こうした場所はタックス・ヘイブン(租税回避地)としても有名。カジノとタックス・ヘイブンは親和性が強いのだ。カジノとマネーロンダリングは不可分の関係にある。

 有毒な化学物質で汚染されている豊洲に作られた新しい東京都中央卸売市場をカジノやタックス・ヘイブン関連の施設へ転用できるのかどうか不明だが、タイミング的には結びつけて考えられなくもない。

 アメリカはタックス・ヘイブン化を進めてきた。本ブログでも触れたことがあるが、ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーは昨年9月、税金を払いたくない富豪は財産をアメリカへ移すように顧客へアドバイスするべきだと語っている。富裕層や巨大企業にとってアメリカは最も有利な資金の隠し場所だということだ。アメリカのタックスヘイブン化はドルをアメリカへ還流させ、それをアメリカの支配層が管理する仕組みでもある。

 アメリカのタックス・ヘイブン化は2010年から加速した。この年にFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が発効し、アメリカ以外の国の金融機関はアメリカ人の租税や資産に関する情報をアメリカ側へ提供する義務を課す一方、アメリカは自分たちが保有する同種の情報を外国へは提供しないことにしたのだ。この結果、アメリカは強大なタックス・ヘイブンになり、ロンドンの存在意義は薄らいだ。

 生産を軽視するアメリカは基軸通貨のドルを発行する特権なしに存続することはできない。そのシステムを機能させるカギはドルをいかに効率よく回収できるかというところにある。

 1971年8月にリチャード・ニクソン大統領は金とドルの交換を停止、ドルの流通量を減らすためにペトロダラーの仕組みを作り上げた。サウジアラビアをはじめOPEC諸国に石油の決済をドルにするように求め、そのドルでアメリカの財務省証券や高額兵器を購入させようとしたのだ。その代償としてニクソン政権が提示したのは、そうした国々の防衛だけでなく、支配階級の地位を永久に保証するというものだった。(Marin Katusa, “The Colder War,” John Wiley & Sons, 2015)

 その後、ドルを吸収する仕組みが作り上げられた。投機である。そこで金融の規制緩和が推進され、人びとが生活する実際の社会からドルが投機市場へ流れ込んでいく。ハイパーインフレをバブルに転換させるのだ。

 そのバブルがリーマン・ブラザーズの倒産という形で2008年9月に収縮する。本来なら投機の仕組みを利用して私腹を肥やしていた人びと、つまり富裕層、巨大企業、あるいは犯罪組織が責任をとらなければならないのだが、ツケは無関係の庶民に回された。

 富裕層、巨大企業、犯罪組織などは支配階級を形成、富の独占を効率的に進める仕組み(ファシズム)を作り上げつつある。アメリカの真似をして日本もタックスヘイブンにしようと目論んでいる人たちがいるはずだ。TPP(環太平洋連携協定)を推進したがっているのも同じ理由からであり、「カジノ解禁法案」もそうした欲望によって生み出された。





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最終更新日  2016.12.15 15:14:03



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