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《櫻井ジャーナル》

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2017.01.21
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ドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任した。その最中、街中では反トランプの抗議活動が展開され、暴力的な光景も見られた。投機家のジョージ・ソロスやその影響下にあるヒラリー・クリントンたちは「パープル革命」を仕掛けると見られていたので、驚きではない。昨年11月に実施された大統領を選ぶ投票でトランプの勝利が決まった直後、ヒラリーは夫のビルと紫をあしらった衣装で集会に登場している。

 いわゆる「カラー革命」をアメリカ支配層は体制を自分たちにとって都合良く作り替える(レジーム・チェンジ)ために使ってきた。そのスポンサーと言われているのがソロスにほかならない。

 2004年から05年にかけてのオレンジ革命でウクライナの政権乗取りに成功した西側支配層は、2013年11月から14年2月にかけてもクーデターを実行している。この時はネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)が前面に出て来た。

 勿論、このクーデターは憲法の規定を無視したもので、新政権に合法性はない。国民の支持を受けていたならまだしも、排除されたビクトル・ヤヌコビッチ大統領の支持基盤である東部や南部では反発が強まり、ウクライナから離脱する意思を示した。ところが、西側では政府や有力メディアだけでなく、リベラル派や革新勢力を名乗っている人びとも民意を否定した違憲の政権を支持している。

 このクーデターはウクライナで事前に警告されていた。2013年11月、オレグ・ツァロフ議員が議会で同国を内戦状態にするプロジェクトについて演説しているのだ。それによると、プロジェクトの中心はジェオフリー・パイアット米大使で、計画は11月14日と15日に話し合われ、NGOがその手先として動くことになっていたという。議員が演説した翌日にユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で抗議活動は始まる。クーデターの際、デモを演出するのはアメリカ支配層の常套手段である。

 イランでナショナリストのムハマド・モサデク政権を倒した1953年のクーデターの場合、アメリカとイギリスのクーデター計画を知った国民が抗議デモを始めるとアメリカ大使だったロイ・ヘンダーソンが抗議して止めさせ(William Blum, "The CIA," Zed Books, 1986)、その一方でツデー党員(コミュニスト)を装ったデモを開始、モサデクの勝利はコミュニストの勝利を意味すると宣伝し始める。その2日後にはCIAが手配した反モサデクのデモが始まり、その日の午後にモサデクの自宅が国王派の将校が指揮する戦車部隊に包囲され、モサデクは内戦を避けたことからクーデターは成功裏に終わった。

 1973年9月11日にオーグスト・ピノチェトが率いる部隊のクーデターで合法政権が倒されたチリの場合、その前年9月にアメリカ政府は労働組合にストライキを実行させて経済混乱や社会不安の深刻化を図った。労働組合は革新勢力だと思われがちだが、CIAは組合に浸食、組合幹部の中にはCIAのネットワークが作られていることが少なくない。このクーデターから2年後、CIAはオーストラリアの労働党政権を崩壊させたが、この時も労働組合を使って政権を揺さぶっている。1990年代からCIAはNGOを盛んに使うようになるが、NGOがCIAとつながる組織だということではなく、CIAがNGOを利用するようになったということだ。

 アメリカ支配層は労働組合やNGOだけでなく、メディアを自分たちの道具として使ってきた。CIAと有力メディアとの関係がいかに強いかは本ブログで何度も書いてきた通りである。そうした傾向は巨大資本によるメディア支配が強まった1980年代からひどくなっている。

 有力メディアが支配層に取って都合の良い幻影を見せているだけだということは多くの人が気づいているだろうが、気づかぬふりをしている人は少なくない。映画『マトリックス」的に言うなら、痛みを伴う真実を知ることのできる「赤いピル」ではなく、支配層が提供する幻影の中に浸ることができる「青いピル」を選ぶ人が多いということだが、ここにきて世界的に「赤いピル」を選ぶ人が増えてきたことも確かだ。そうした傾向が日本では弱いが、それでもそうした方向へ動いていくだろう。






最終更新日  2017.01.21 06:26:40


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