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《櫻井ジャーナル》

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2017.02.13
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ナルド・トランプ政権の旅行規制の対象になった7カ国から2001年9月11日以降に入国して逮捕された人はいないとアメリカの連邦判事のジェームズ・ロバートは主張したようだが、実際はソマリア20名、イエメン19名、イラク19名、シリア7名、イラン4名、リビア2名、スーダン1名の合計72名がテロ容疑で有罪判決を受けているのだという。これは昨年6月、上院の「移民と国益に関する小委員会」が公表した報告書に書かれている。もう少し慎重に発言するべきだった。

 ところで、裁判所とトランプ政権との対立を見て「三権分立」だと言う人もいるようだが、それは疑問だ。問題はその背景である。例えば、1932年の大統領選挙で当選したフランクリン・ルーズベルト大統領がNIRA(全国産業復興法)で生産調整を図って労働者の権利を拡大しようとした際、最高裁は生産調整を違憲だと判断して阻止したのである。同じ理由でAAA(農業調整法)も葬り去られた。ルーズベルトが率いるニューディール派と対立していたウォール街の意向を受けてのことだと考えられている。

 もっとも、下級裁判所の場合、個人的に公正な判決を出す判事もいる。例えば、INSLAWという民間企業が開発した不特定多数のターゲットを追跡、情報を収集、蓄積、分析する先進的なシステムPROMISを司法省が開発会社を倒産に追い込んで手に入れてしまった事件では、1988年2月にワシントン破産裁判所のジョージ・ベイソン判事は司法省が横領したと認める判決を出している。

 しかし、判決後、ベイソン判事は再任を拒否され、後任判事にはこの裁判で司法省側の弁護士を務めた人物が納まっている。支配層の意向に反して「三権分立」を実践しようとしたなら、報復されるということだ。アメリカのシステムは民主的と言えないが、民主主義を実践しようとする個人は存在してきた。そうした個人に対する締め付けが1970年代後半から強まり、2001年9月11日以降、ファシズム化が一気に加速したのだ。

 INSLAW事件では連邦地裁も破産裁判所と同じ判決を出したが、控訴裁判所は「破産裁判所と連邦地裁に裁判権がない」という理由で原判決を破棄させ、1997年8月に最高裁判所は司法省の言い分を認める判決を言い渡した。イラン・コントラ事件で偽証して有罪になったり、証券詐欺や銀行詐欺などでロサンゼルスの連邦地裁で有罪の評決を受けた人物を「信頼できる証人」だとして逆転判決を言い渡したのだ。

 この事件では下院の司法委員会が1992年9月に出した報告書では、破産裁判所や連邦地裁と基本的に同じ判断を示している。その際、司法省は調査に抵抗、相当量の書類が「行方不明」になっていた。司法省の元職員によると、INSLAW事件に関する書類を司法省職員がシュレッダーにかけて違法に廃棄していたと通報している。

 本ブログでも書いたことがあるように、このPROMISの優秀さを日本の法務省も認識していた。この問題に一切、関心を示さなかった日本の「ジャーナリスト」とは違う。会社側に接触していたのは後に名古屋高検検事長になる敷田稔、その時の駐米日本大使館一等書記官は事務次官を経て検事総長に就任する原田明夫だ。





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最終更新日  2017.02.13 12:52:08



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