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《櫻井ジャーナル》

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2017.05.23
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ドナルド・トランプ米大統領は訪問先のサウジアラビアで5月21日に演説、その後イスラエルへ向かった。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)などを撲滅する必要があると語ったと報道されているが、ダーイッシュやアル・カイダ系武装集団と呼ばれているサラフィ主義者/ワッハーブ派やムスリム同胞団を中心とする武装勢力の戦闘員を雇い、戦費を負担してきたのはサウジアラビアやカタールといったペルシャ湾岸産油国だ。この関係はトランプも2014年9月にツイッターで書いている。



アメリカの「同盟国」がアル・カイダ系武装集団やダーイッシュと連携していることはトランプだけがいっている話ではない。アメリカの政府高官や軍人も認めてきた事実だ。

例えば、2014年9月にトーマス・マッキナニー空軍中将はアメリカがダーイッシュを組織する手助けをしたと発言、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長(当時)はアラブの主要同盟国がダーイッシュに資金を提供していると議会で語っている。同じ年の10月にはジョー・バイデン米副大統領がハーバーバード大学で中東におけるアメリカの主要な同盟国がダーイッシュの背後にいると述べた。2015年にはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官もアメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと語っている。

そしてフリン元DIA局長は2015年8月、アル・ジャジーラの番組へ出演した際にダーイッシュが勢力を拡大できたのはバラク・オバマ政権の政策があったからだと指摘しているのだが、その発言はフリンが局長時代、2012年8月にDIAがバラク・オバマ政権へ出した報告書に絡んで質問を受けて出てきた。

その中で、反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIだと指摘している。オバマ政権が主張するところの「穏健派」は存在しないと指摘しているのだ。さらに、オバマ政権が政策を変更しなかったならば、シリアの東部(ハサカやデリゾール)にはサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があるとも警告していた。

オバマ政権で国務長官だったジョン・ケリーもアメリカが反シリア政府軍に武器を提供し、戦闘員を訓練していることも認めている。その発言は2016年9月のもので、その音声が後にインターネット上へアップロードされた。

シリアやリビアに対する侵略戦争が顕在化する4年前の段階で、アメリカ、サウジアラビア、そしてイスラエルがシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始したと指摘されている。同年3月5日付けニューヨーカー誌で調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが書いた、そうした内容の記事が掲載されたのだ。

その中で、ジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院のディーンで外交問題評議会の終身メンバーでもあるバリ・ナスルの発言をハーシュは引用、「サウジは相当な金融資産があり、ムスリム同胞団やサラフ主義者と深い関係がある」としたうえで、「サウジは最悪のイスラム過激派を動員することができた。一旦、その箱を開けて彼らを外へ出したなら、2度と戻すことはできない。」と警告している。言うまでもなく、外交問題評議会は欧米支配層と深い関係にある団体で、支配層の内部にもネオコン、サウジアラビア、イスラエルの侵略計画を懸念する人がいたということだ。

イスラエル政府は自分たちのアル・カイダ系武装集団に対する好意的な見方を隠していない。例えば、2013年9月には駐米イスラエル大使だったマイケル・オーレンはシリアのアサド体制よりアル・カイダの方がましだと語っている。またモシェ・ヤーロンは2016年1月19日、INSS(国家安全保障研究所)で開かれた会議で、イランとダーイッシュならば、ダーイッシュを選ぶと発言したと伝えられている。

アメリカをはじめとする侵略国とアル・カイダ系武装集団との関係を象徴する光景が2011年10月、リビアのムハンマド・アル・カダフィ体制が倒された直後に見られた。反カダフィ勢力の拠点だったベンガジで、裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられたのだ。その様子はYouTubeにアップロードされ、デイリー・メイル紙も伝えている。

ダーイッシュは2014年1月にファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはイラクのファルージャやモスルを制圧し、トヨタ製の真新しい小型トラック「ハイラックス」を連ねた「パレード」を行って広く知られるようになった。

当然、そうした動きをアメリカの軍や情報機関は知っていた。彼らは偵察衛星、無人機、通信傍受を保有、人間による情報活動のネットワークもある。小型トラックのパレードは格好の攻撃目標だったはずだが、何もしていない。

イラクの首相だったヌーリ・アル・マリキは2014年3月、サウジアラビアやカタールを反政府勢力へ資金を提供していると批判、ロシアへ接近する姿勢を明確にしていた。アメリカ政府も反政府武装勢力の仲間だと認識していたということだ。

イラクでは2014年4月に議会選挙があり、マリキを支えるシーア派聯合が328議席のうち157議席を獲得している。マリキが首相を続ければ、イラクはロシアへ接近する。そうした状況の中、フアード・マアスーム大統領はマリキを首相に指名することを拒否、アル・アバディが9月から首相を務めることになった。アメリカ政府からの圧力があったということだろう。

1997年から2001年までイギリスの外相を務めたロビン・クックも指摘しているように、アル・カイダとはCIAがアフガニスタンでロシア軍を潰すために雇い、訓練した数千名に及ぶムジャヒディン(聖戦士)のコンピュータ・ファイル。アラビア語でアル・カイダとは「ベース」を意味し、「データベース」の訳として使われる。戦闘集団にはさまざまなタグが付けられるが、その実態は同じ。「アル・カイダ」からピックアップされた戦闘員が中心になった武装集団にすぎない。

そうしたアル・カイダ系武装集団やダーイッシュに最も大きな影響力を持っていると言われているのがサウジアラビアの副皇太子で国防相でもあるモハンマド・ビン・サルマン。そのサルマンは今年3月にホワイトハウスでトランプと会談、アメリカのインフラを整備するために400億ドルを投資する計画だと語ったという。

今回の演説でトランプはイランに対する軍事的な圧力を強める発言をする一方、サウジアラビアがアル・カイダ系武装勢力やダーイッシュのスポンサーだという事実、あるいは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンにある国防総省本部庁舎に対する攻撃にサウジアラビアが関係している疑惑には触れなかったようだ。シリアやイエメンへの侵略で苦境に立ち、自らが仕掛けた原油相場の暴落で自国の財政が厳しい状況に陥っているサウジアラビアとしては、軍事的な緊張の高まりで原油価格が上昇することを願っているとも推測されている。





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最終更新日  2017.05.23 00:34:59



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