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アメリカの上院情報特別委員会の公聴会にジェームズ・コミー前FBI長官が登場した。6月8日のことだ。ドナルド・トランプが国家安全保障補佐官だったマイケル・フリンへの捜査を中止するように指示したというストーリーを期待していた人は少なくないだろうが、そうなったとは言い難い。
コミーによると、フリンはロシア側との電話会談で何か悪いことをしたわけでなく、副大統領を騙したたことにあるとしたうえで、トランプは彼にこの件をやり過ごして欲しいと語ったという。この発言がFBIが影響を与えていないようで、司法手続きも始まっていない。 コミー本人はまだFBI長官だった5月3日、上院司法委員会で宣誓の上で証言しているが、その際、捜査を打ち切るように圧力を受けた経験はないと述べている。その発言から5日後に彼は解任され、アンドリュー・マッカビ副長官が長官代理になった。解任されたときにコミーは寝耳に水で驚いたようで、解任を予想させるような出来事は事前になかったということだろう。 6月8日の証言で興味深いのはむしろ、ヒラリー・クリントンの電子メールに関するロレッタ・リンチの電子メールに関する発言に関するもの。リンチはバラク・オバマ政権で司法長官を務めた人物で、コミーによると、彼女はヒラリーの電子メールに関するスキャンダルを小さく扱うように頼んだという。この問題に近づきすぎると辞任しなければならなくなると確信したとも語っている。ヒラリーの電子メールの問題ではリンチとビル・クリントンが空港で会っていたことが発覚して批判されたが、コミーもこの会談を知って不安になったようだ。 コミーの証言が正しいなら、彼はトランプよりリンチから圧力を感じていたことになるが、メモを作成したのはトランプのケースだけだという。アメリカでは今回のコミー証言について、トランプへの援護射撃だと言う人もいる。そう解釈されても仕方のない証言だったとは言える。 相変わらずロシア話は話にならないのだが、その話を有力メディアが宣伝し始める切っ掛けはヒラリー・クリントンの電子メールが外部へ漏れ、民主党の大統領候補選びで不正があることが発覚したこと。 民主党幹部たちが2015年5月26日の時点でヒラリー・クリントンを候補者にすると決めていたことを示唆している電子メールの存在している。その年の6月11日から14日かけてオーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合にヒラリーの旧友であるジム・メッシナが参加していたことから欧米支配層はバラク・オバマの次はヒラリーを大統領すると決めたと推測されていたが、その推測が正しかったことを裏付けるものだと解釈された。 しかし、血まみれのヒラリーを脅かす人物が登場してきた。バーニー・サンダースだ。WikiLeaksが公表したメールの中には、サンダースが候補者に選ばれることを妨害するよう求める電子メールも存在する。 昨年7月10日に民主党全国委員会(DNC)でコンピュータを担当していたスタッフのセス・リッチが背中を2度撃たれて殺された時、WikiLeaksに電子メールを渡したのはこのリッチではないかと推測する人がいた。 警察は強盗で処理したが、リッチのガールフレンドによると、顔、手、膝に擦り傷があって争った形跡はあるのものの、金目のものは盗まれていない。警察の発表に納得できなかったリッチの両親は元殺人課刑事の私立探偵リッチ・ウィーラーを雇って調査を始めたのだが、その探偵はセスがWikiLeaksと連絡を取り合っていたことを確認、しかも警察の内部で捜査打ち切りが指示されていたと語っている。 事件の翌月、WikiLeaksのジュリアン・アッサンジはリッチについてDNCの電子メールを提供した人物だと示唆、射殺事件に関する情報提供者に2万ドルを提供するとツイッターに書き込んでいる。 ヒラリー・クリントンは機密情報の取り扱いに関する法規に違反した可能性があり、またそうした情報をきわめて軽率に扱っていたことを認めたとFBIのジェームズ・コミー長官は認め、その上で彼女を不起訴にしている。リッチが殺される5日前のことだ。 ヒラリーの件にメスを入れると、リビアやシリアへの軍事侵攻、あるいはホンジュラスのクーデターに関連した情報が噴出してくる可能性がある。ここにきてサウジアラビアがカタールを兵糧攻めにしているが、この両国はともにダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)やほかのスンニ系過激派(アル・カイダ系武装集団)を資金や物資の秘密援助をしていることをヒラリーが2014年8月の時点で知っていたことを示すメールもある。本当のスキャンダルだが、アメリカでは司法省もFBIも有力メディアも、そして「リベラル派」も見て見ぬ振りだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.06.09 14:48:27
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