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ドナルド・トランプ米大統領は中国との経済戦争へ突入するという話が流れている。数週間前からこうした動きは指摘されていたが、アメリカでの報道(例えばココやココ)によると、週明け後の8月14日に大統領はUSTR(米通商代表部)のロバート・ライトハイザー代表に対し、通商法301条に基づいて中国の違法行為を調べるよう指示するようだ。この動きはロシアに対する「制裁」と同じで、アメリカ支配層の戦略に沿うもの。朝鮮問題はせいぜい出しにされているだけだろう。
中東や北アフリカ、最近では東南アジアでサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とする戦闘集団、つまりアル・カイダ系武装勢力やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)をターゲット国へ送り込んで戦乱へ導き、それを口実にして軍事侵略しているが、その手口と基本的に同じだ。1960年代から80年代にかけてアメリカはイタリアでグラディオ(NATOの秘密部隊)を使った爆弾攻撃など「テロ」を繰り返し、アメリカ支配層にとって好ましくない勢力にダメージを与え、治安体制を強化したが、それとも似ている。 ロシアに対する経済戦争で最も大きなダメージを受けるのはEU。その目的のひとつはロシアからの天然ガス購入を止め、アメリカの高いエネルギー源を買わせることにあるとも指摘されている。アメリカのシェール・ガス/オイルは高いだけでない。生産を維持できるのは4、5年程度で、7、8年経つと8割程度下落すると言われているのだ。 つまり、こうしたエネルギー源に頼ることは自殺行為だが、アメリカ自身にとってもシェール・ガス/オイルの生産は危険。この採掘方法は地下水を汚染するが、そうなると地下水に頼っているアメリカの農業は壊滅的な影響を受ける。勿論、アメリカに食糧を頼っている国にとっては深刻な事態だ。 ところで、ライトハイザー代表は巨大企業を顧客にする弁護士で、特に鉄鋼産業と強く結びついていることで知られている。今年3月、このUSTR代表は中国について、「国家の支えがなければ生き残れないほどの膨大な生産能力を抱えており、とりわけ鉄鋼とアルミニウムではアメリカへのダンピングにつながった」とし、「貿易法を強化することが必要だ」と主張している。日本との関係も浅くはなく、1980年代の日米貿易摩擦では、USTR次席代表として日本に鉄鋼製品の輸出自粛を認めさせ、その後は中国との鉄鋼をめぐる争いに関わっている。 しかし、中国との経済戦争はアメリカにもダメージを与える。例えば、アップルのように生産拠点を中国に置き、その中国を重要なマーケットにいている企業。大豆を扱うアグリビジネスや航空機産業にとっても厳しい状況になる。 こうしたアメリカと中国との経済的なつながりから両国の関係が悪化することはないと言う人もいたが、そうしたことを無視してロシアや中国を威圧、核戦争も辞さない姿勢を見せてきたのがネオコンを含むアメリカの好戦派だ。その好戦派の意向に沿う形でバラク・オバマも動き、ヒラリー・クリントンの支持母体もそうした勢力。そして、その宣伝機関が有力メディアにほかならない。その勢力にトランプは大統領に就任して間もない頃から引きずられている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.08.13 16:48:15
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