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《櫻井ジャーナル》

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2017.09.18
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シリアの戦況は新たな段階へ入った。戦略的に重要な場所と認識されているデリゾールはこれまでも政府軍が押さえていたが、周囲をダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)に囲まれていた。その孤立した状況が解消されたのである。アメリカはシリアやイラクにいるダーイッシュの戦闘員をデリゾールへ集中させていたので、ここでの敗北は決定的だと言えるだろう。今後、政府軍/ロシア軍とクルド勢力/アメリカ軍が対峙する展開になる。





アメリカもデリゾールを重要だと考えていた。昨年9月17日、アメリカ主導軍のF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機がデリゾールでシリア政府軍を攻撃、80名以上の政府軍兵士を殺害した理由もそこにあるのだろう。「誤爆」ではない。

アメリカ軍が空爆した7分後にダーイッシュの部隊が地上でシリア政府軍に対する攻撃を開始していることから、両者は連携していた可能性が高い。その後、28日には2つの橋を、30日にも別の橋2つをそれぞれ爆撃、シリア政府軍がユーフラテス川を渡る手段を破壊した。

当時、ロシア政府のマリア・ザハロワ広報官はデリゾールでの空爆について「ホワイトハウスはダーイッシュを守っているのだ。疑いようがない。」と語っているが、その通りである。そのダーイッシュが使い物にならなくなったことからクルド系戦闘集団のSDFへ切り替えたのだ。勿論、アル・カイダ系武装勢力やダーイッシュは「タグ」にすぎず、クルド系の戦闘集団SDFにも合流している可能性がある。

この頃、バラク・オバマ政権は特殊部隊をシリア北部にある7つの基地へ派遣、今年に入って第11海兵遠征部隊がシリアで戦闘態勢を整えたと報道されているほか、アメリカの特殊部隊がクルド軍とラッカへ入ったとも言われている。トルコ政府によると、アメリカはシリア領内に10カ所以上の軍事基地を建設済みだという。

国家安全保障補佐官のH. R. マクマスターはネオコンとして有名で、ヒラリー・クリントンにも近いデビッド・ペトレイアスの子分だ。そのマクマスターはユーフラテス川の周辺へ数万人とも15万人とも言われる規模の軍隊を送り込もうとしていたと言われている。ネオコンはシリア、イラク、イラン、トルコをまたぐクルドの「満州国」をでっち上げるつもりだろう。

今年5月18日、6月6日、そして6月8日にシリア南部のアル・タンフでアメリカ主導軍はシリア政府軍を攻撃、6月18日にシリアの要衝ラッカ近くでシリア政府軍のSu-22戦闘爆撃機がアメリカ主導軍のF/A-18E戦闘機に撃墜されている。こうしたシリア政府軍側に対する攻撃にもかかわらず、ダーイッシュの敗北は確定的。アメリカ軍はデリゾールにいた反シリア政府軍の幹部をヘリコプターで何度か運び去ったとも伝えられている。態勢立て直しのためだけでなく、その中にはアメリカが知られたくない人々も含まれているのだろう。

イラクにもクルド系の武装勢力が存在しているが、この勢力とシリアのクルドは別だと考えられている。イラクのクルドは1960年代からイスラエルの勢力下へ入り、サダム・フセイン体制を揺さぶる道具として機能してきた。

アメリカ軍はイラクの北部もクルド勢力を使って居座るつもりで、サウジアラビアもクルドの支配地に影響力を及ぼそうとしている。イラクの前首相で現在は副大統領を務めているノウリ・アル・マリキはイラク北部に「第2のイスラエル」が出現することを許さないと語っている。

しかし、シリアのクルドもアメリカの影響下に入った。シリアでは政府軍がユーフラテス川を渡り、北からトルコ軍が攻め込んでくることも予想される。クルドの「満州国」をアメリカ軍は守りたいだろうが、彼らにとってロシア軍の空爆や巡航ミサイルのカリバルは脅威。建設済みの基地は破壊されてしまうと見られている。そうした中、アメリカ軍はロシア軍がSDFを空爆していると主張しているが、これは自分たちが行ったことを相手にぶつけるというアメリカの得意技だ。ロシアの姿勢を和らげるために「交渉」、つまり、また騙そうとしているのだろうが、ロシア軍はアメリカ側の主張を否定、最近、SDFとダーイッシュは戦っていないとも指摘している。





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最終更新日  2017.09.18 15:44:50



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