|
カテゴリ:カテゴリ未分類
アメリカの支援を受けているクルド系軍事組織のSDF(シリア民主軍)は10月22日、デリゾールの東にあるオマールの油田地帯をほぼ損害なしに制圧したと発表した。この地域はダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)が支配してきたが、すでにダーイッシュやハーヤト・ターリル・アル・シャム(アル・ヌスラ、AQI)などはSDFと協力関係にあり、戦闘がなくても不思議ではない。何しろ、両者の後ろ盾はともにアメリカだ。
ただ、制圧の際に撮影されたとされて流されている映像は古いものだと指摘されている。SDFが無傷で支配できたのは南から迫るシリア政府軍とダーイッシュが戦っている隙を突いたのだとする説明も流れているが、事実かどうかは不明。オマールを制圧したとする情報を流すことでシリア政府軍の進撃にブレーキをかけようとしているとする見方もある。 アメリカが手先をジハード勢力からクルドへ切り替えた結果、トルコがアメリカからの離反を加速、イランやロシアとの関係を強めている。アメリカ、イスラエル、サウジアラビアを中心とした勢力によるシリア侵略が長引いてトルコ経済が疲弊、2016年6月にはロシアとの関係改善に乗り出し、7月にはシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆している。トルコで武装蜂起があったのはその直後だ。 レジェップ・タイイップ・エルドアン政権はこのクーデター計画の背後にアメリカへ亡命中でCIAの保護下にあるフェトフッラー・ギュレンがいると指摘、アメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官が黒幕だとしていた。当然、計画の拠点はアメリカ大使館だと見ている。 2003年にアメリカ主導軍が先制攻撃、破壊と殺戮の場になったイラクでも反米感情は強い。侵略当初、アメリカは親イスラエル体制を樹立させようとしたが、失敗。首相に選ばれたヌーリ・アル・マリキは2014年3月にアメリカの同盟国であるサウジアラビアやカタールが反政府勢力へ資金を提供していると語り、ロシアへ接近する姿勢を見せた。その年の4月に実施された議会選挙でマリキが党首を務める法治国家連合が第1党になるものの、マリキは首相になれなかった。アメリカ政府が介入したと見られている。 2014年はダーイッシュが売り出された年でもある。1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルを制圧した。その際にトヨタ製の真新しい小型トラックのハイラックスを連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が配信されたことも有名になったのだが、こうした行動は格好の攻撃目標だったが、アメリカ軍は動いていない。 パレードを含め、ダーイッシュの行動をアメリカの軍や情報機関はスパイ衛星、偵察機、通信傍受、人から情報を把握していたはずだが、攻撃せずに静観していた。ダーイッシュ的な武装集団の勢力拡大を2012年8月の段階で警告していたマイケル・フリンDIA局長はそのときにバラク・オバマ政権から追い出されている。シリアやイラクにダーイッシュを広めたのはアメリカなのである。 その後、ハイデル・アル・アバディ首相もアメリカに背く。2015年9月30日にロシアがシリア政府の要請で空爆を始め、その成果を見た彼はイラクもロシアに空爆を頼みたいという意思を示したのだ。そこでジョセフ・ダンフォード米統合参謀本部議長がイラクへ乗り込み、ロシアへ支援要請をするなと恫喝したと見られている。 今年9月25日にイラクのクルド勢力は独立を問う住民投票を実施、圧倒的な90%以上が賛成したとされているが、この住民投票を実施したクルドのリーダー、マスード・バルザニは反対派を暗殺してきたと指摘され、問題は多い。その住民投票をアメリカなど西側が認めている理由はバルザニ、その父親であるムスタファ・バルザニと同じようにイスラエルの情報機関モサドとつながっている、あるいはそのオフィサーだと言われている。そこで、クルドの国は第2のイスラエルになると指摘されているのだ。中東に「満州国」が作られるとも言える。 アメリカはイラクで活動していた戦闘員の少なからぬ部分をシリアのデリゾール周辺へ移動させたと言われている。そうしたこともあってイラクではダーイッシュの支配地が縮小したと言える。 そうした中、アメリカのレックス・ティラーソン国務長官は全ての外国人戦闘員は帰国すべきだと発言した。イランの戦闘員をイラクから追い出せということだろうが、問題になったPMU(人民動員軍)についてイラク人だとアル・アバディ首相はティラーソン長官に反論、イラク憲法は外国の軍事勢力が駐留することを認めていないとも主張した。アメリカ軍の撤退を求めたのだろう。PMUのカイス・アル・ハザリ司令官はアメリカ軍に対し、撤退の準備をすべきだと語った。 中東ではシリア、イラン、イラク、ロシアが連携を強め、そこへトルコやカタールも加わった。そして最近ではアメリカのドルを支えてきたサウジアラビアがロシアへ接近している。かつての同盟国、友好的体制を自分たちの都合で切り捨ててきたアメリカに対する不信感がその根底にはあると見られている。それに対し、ロシアは約束を守り、しかも軍事的にアメリカよりも優位にあることを示してきた。しかも、ここにきてイラクのクルド勢力内でもイスラエルの手先であるバルザニを隅へ押しやり、イラク政府と話し合いを始める動きも報告されている。イラクのクルドよりアングロ・シオニストとの関係が希薄なシリアのクルドも今後、アメリカに従い続けるとは言えない。 中東でアメリカは厳しい状況に陥っている。現在、ロシアと中国は戦略的な同盟国になっていると言われている。そのうち軍事的に弱いのは中国。ここにきてアメリカは東アジアで戦争を始めるのではないかと懸念する声が強まっている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.10.25 04:09:14
|