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《櫻井ジャーナル》

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2017.11.10
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ネオコンをはじめとするアメリカの好戦派が目論んだ中東支配計画は破綻したと見る人が少なくない。その計画は1992年2月に国防次官だったポール・ウォルフォウィッツを中心に作成されたDPG草案、いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンに含まれている。

1991年にそのウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていた。これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官が2007年に明言している。(​3月​、​10月​)

2007年3月5日付けのニューヨーカー誌に掲載されたシーモア・ハーシュの記事によると、その当時、​アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始した​と主張、この工作にはムスリム同胞団やサラフィ主義者が使われることも示唆している。

そのターゲットに含まれるレバノンをイスラエルやサウジアラビアは攻撃しようとしていると言われているが、自力で軍事侵攻してヒズボラに勝つことは難しいと見られている。そのひとつに理由は、イスラエルが誇るメルカバ4戦車がヒズボラも使っている対戦車兵器、例えばRPG-29、AT-14コルネット、メティスMで破壊されていると伝えられているからだ。地上での戦闘でイスラエルは優位と言えなくなっている。

それだけでなく、イスラエルは空でも優位でなくなっている可能性がある。例えば、今年(2017年)3月17日未明にイスラエル軍のイスラエル軍戦闘機4機がシリア領空を侵犯して空爆を実施したのだが、​シリア軍によると、防空システムS-200で反撃して4機のうち1機を撃墜、別の1機に損傷を与えたという​。イスラエル側は否定しているが、その後、イスラエル軍機の越境攻撃にブレーキがかかったようだ。S-200は旧型で、シリア側の説明が事実なら、新しいタイプのS-400はイスラエルにとって大変な脅威になる。

最近では、イスラエルが保有するF-35がコウノトリと衝突して数日間、飛行できないという話が流れた。​シリア軍が保有する防空システムS-200で何らかの損傷を受けたのではないかという疑われている​。

F-35は高額だが、性能には問題があるとされ、2015年1月にカリフォルニア州のエドワード空軍基地近くで行われたF-16戦闘機との模擬空中戦で完敗したと伝えられている。F-35のステルス性能を強調、相手に気づかれないで敵に近づいて攻撃するのでドッグファイトは必要ない(つまり専守防衛には適さない)とする声も聞くが、S-200で損傷を受けたという推測が正しいなら、そのステルス性能も怪しいということになる。そうなると、レバノンを侵略するためにはアメリカ軍、あるいはNATO軍を巻き込まなければならなくなりそうだ。そうなると、中東全域が火の海になり、最悪の場合は全面核戦争になりかねない。

イラクのクルドを率いてきたマスード・バルザニは父親のムラー・バルザニと同様、イスラエルの指揮下にある。この関係は1960年代から続くものだ。そのマスードは今年9月25日に独立の是非を問う住民投票を強行、圧倒的多数の賛成を得たとされたが、その反動は大きかった。

イラクを含む周辺国がクルドが制圧している油田地帯からの石油搬出を拒否、マスードにとって重要な油田があるキルクークはクルドの反マスード派とイラク軍によって制圧されてしまった。その一方でロシアの石油会社がその石油を購入することを決める。これまでクルドが支配していた石油はイスラエルへ運ばれ、同国が消費する77%を賄ってきた。ロシアはイスラエルに対する大きな影響力を手にしたと言えるだろう。

イラクのクルドとシリアのクルドでは言語も文字も違い、一体と考えることはできないが、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の壊滅が決定的なってからアメリカは手駒を両クルドへ切り替えようとした。

途中までアメリカの思惑通りに進んでいたように見えたのだが、シリアのクルド軍は制圧した油田をロシア軍へ引き渡したと伝えられている。しかも​「独立」ではなく「連邦」を望むと言い始めた​という。イラク、イラン、シリア、トルコをまたぐクルドの「満州国」を創り出すというアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの目論見は崩れた。クルドの独立国が実現した場合、イスラエルは20万人ほどをそこへ移住させ、サウジアラビアは軍事基地を建設する意向をそれぞれ示してが、それは夢想に終わりそうだ。

サウジアラビア政府は自国民に対してレバノンへの旅行を取りやめ、レバノンにいる場合はすぐに出国するように警告している。





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最終更新日  2017.11.10 00:51:19



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