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エマニュエル・マクロン仏大統領からの招待という形でサード・ハリリはフランスを訪問した。サウジアラビアで軟禁されているという情報が流れる中、フランス政府はサウジアラビアへの批判を和らげようとしているのかもしれない。家族同伴と伝えられているが、ふたりの子どもはサウジアラビアに残っていることから人質ではないかとも噂されている。
ハリリの解放をサウジアラビア側へ求め、招待したというマクロンは2006年から09年まで社会党に所属しているが、その間、08年にロスチャイルド系の投資銀行へ入り、200万ユーロという報酬を得ていたといわれている。2014年に経済産業デジタル大臣に就任すると巨大資本のカネ儲けを支援する新自由主義的な政策を推進したが、その背景を考えれば必然だろう。ロスチャイルドの操り人形だと見る人は少なくない。 アメリカ政府の侵略政策にも加わったマクロンのボス、フランソワ・オランドが国民から憎悪されるようになるとオランドの元から離れて2016年4月に「前進!」を結成、今年5月7日に実施されたフランス大統領選挙の第2回目の投票で大統領に選ばれた。 レバノンの首相だったハリリは11月4日、サウジアラビアに滞在している際にテレビを通じて辞任を発表している。その中でイランやヒズボラを非難し、それを利用してサウジアラビアはヒズボラに対する戦争を煽っているのだが、ハリリは10月中旬にヒズボラとの連合政府へ参加する意向だということをイタリアのラ・レプブリカ紙に語っていた。 こうした流れから、サウジアラビアで強制的に辞任させられたと言われるようになる。ハリリが辞任を発表した11月4日にはサウジアラビアで大規模な粛清が始まっている。その中心にいるのが国王の息子で皇太子のモハメド・ビン・サルマン。イスラエルやアメリカのネオコンと緊密な関係にあることで知られている。9月にもイスラエルを訪問していたようだ。イスラエルと粛清について協議していた可能性がある。 拘束されたのは王族、閣僚や元閣僚、軍人などビン・サルマンのライバル、あるいはライバルの配下だと見られる人々のようで、サウジアラビア国家警備隊を率いていたムトイブ・ビン・アブドゥッラー、衛星放送のMBCを所有するワリード・ビン・イブラヒム・アル・イブラヒム、ロタナTVを含むエンターテイメント会社のロタナ・グループの大株主であるアル・ワリード・ビン・タラル王子、ネットワーク局ARTを創設したサレー・アブドゥッラー・カメル、ブッシュ家と関係が深いバンダル・ビン・スルタンなども含まれている。現在、皇太子側は富豪たちに対し、資産の70%をよこせば釈放すると持ちかけているようだ。誘拐の次は身代金。やっていることは犯罪者と替わらない。 粛清の際に死亡した王子もいる。そのひとりがアブドゥル・アジズ・ビン・ファハド。今年6月21日に皇太子の座を追われたムハンマド・ビン・ナーイフのグループに属し、ハリリと緊密な関係にあったことで知られている。 ハリリはサウジアラビアでオゲルという会社を経営していたが、その会社を通じてアジズ・ビン・ファハドはつながっていたようだ。その会社はビン・サルマンから金融面で締め上げられ、今年の夏に活動停止を余儀なくされたという。 本ブログでは何度も書いてきたが、ネオコンは1991年の時点でイラク、シリア、イランを殲滅する計画を立てていた。(ココやココ)イラクではCIAと関係の深いサダム・フセイン体制を倒したものの、イスラエルの傀儡体制樹立には失敗し、今ではイランと連携している。シリアでもイラクと同じように破壊と殺戮を展開したが、送り込んだ傭兵部隊、つまりアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)は壊滅寸前で、新たな手先にしようとしたクルドはアメリカの思惑通りに動いていない。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年3月5日付けのニューヨーカー誌に書いたレポートによると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟はシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始している。すでにイラクを破壊していたので、こうした国や組織がターゲットになったわけだ。 前にも書いたが、カタールで1992年1月から2013年6月まで外務大臣、2007年4月から2013年6月まで総理大臣を務めたハマド・ビン・ジャッシムはBBCに対してシリア侵略の内情を語ったが、その中で2006年7月から8月にかけて行われたイスラエルによるレバノンへの軍事侵攻に失敗したことを受け、2007年から対シリア工作が始まったと説明している。 シリア侵略に失敗したネオコン、イスラエル、サウジアラビアはターゲットをレバノンへ切り替え、アメリカ軍を侵略に使おうと目論んでいると推測する人もいる。そのシナリオを実現するために選ばれた人物がハリリだということになるだろう。 (追加) アブドゥル・アジズ・ビン・ファハドが死亡したとする情報をサウジアラビア政府は否定、数カ月前から拘束されているとする話も伝えられているが、真相は不明。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.11.22 15:39:07
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