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《櫻井ジャーナル》

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2017.12.08
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アメリカの情報機関と治安機関、つまりCIAとFBIをドナルド・トランプ大統領はコントロールできていない。こうした機関はヒラリー・クリントンを担いでいた勢力の手先として動いていると言え、大統領は信用していない。そこで​トランプは私的な情報機関を編成しようと計画​していうとする情報が伝えられている。

2017年12月5日付けのインターセプトによると、1997年に傭兵会社のブラックウォーター(2009年にXE、11年にアカデミへ名称変更)を創設したエリック・プリンスにトランプの私的情報機関を作らせようとしているという。プリンスの姉、ベッツィ・デボスはトランプ政権で教育長官を務め、夫のディック・デボスは「アムウェイ」の創設者だ。

エリックは海軍の特殊部隊SEAL出身で、熱心なキリスト教原理主義者。今は未公開株を取り引きするフロンティア・リソース・グループを経営、軍事的サービスを提供するフロンティア・サービス・グループの会長を務めている。いずれもアフリカをビジネスのターゲットにしているようだ。

歴史的に見て、イギリスやアメリカの情報機関、つまりMI6やCIAは金融機関と関係が深い。例えばアメリカの場合、第2次世界大戦の際に創設されたOSSの長官、ウィリアム・ドノバンはウォール街の弁護士。ドノバンの友人で、その当時から戦後にかけて破壊活動を統括、CIA長官にもなったアレン・ダレスもウォール街の弁護士。ダレスの側近で、大戦後に破壊活動を指揮したフランク・ウィズナーもウォール街の弁護士。

やはりOSS時代からダレスの側近だったリチャード・マクガラー・ヘルムズの母方の祖父にあたるゲーツ・マクガラーは国際決済銀行の初代頭取であり、ジェラルド・フォード政権でCIA長官と務めたジョージ・H・W・ブッシュの父親プレスコット・ブッシュ、その妻の父親であるジョージ・ハーバート・ウォーカーは大物銀行家で、ウォール街からナチへ資金を流す重要なパイプのひとつだったと言われている。ジョージ・H・W・ブッシュのHはハーバート(Herbert)、Wはウォーカー(Walker)のイニシャル。それだけウォーカーはブッシュ家にとって大きな存在だと言える。

CIA長官に就任した際、ジョージ・H・W・ブッシュを情報の素人であるかのように言う人がいたが、エール大学に在学中、CIAのリクルート担当だった人物と懇意で、もし彼がCIAに入っていなければ驚きだ。ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された7日後の1963年11月29日に作成された大統領暗殺に関係したFBIの文書に、「中央情報局のジョージ・ブッシュ氏」という表現があることをジョセフ・マクブライドがネイション誌の1988年7月16/23日号で明らかにした。

これに対し、CIAのスポークスパーソンはAPの記者に対し、「その人物は1963年当時、本部にいたジョージ・ウイリアム・ブッシュに間違いない」と話したのだが、その後、マクブライドは「ジョージ・ウイリアム・ブッシュ」が文書の登場するブッシュでないことを確認している。

また、有力メディアと同様、FBIや軍の内部にはカネと地位で懐柔された人物が少なくないと見られている。少なくとも今回の件でFBIの幹部が公正でないことは再確認されている。

司法省も信頼できなことを示す出来事が1980年代に発覚している。ある私企業が開発した不特定多数の情報を収集、蓄積、分析するシステムを司法省が不公正な手段で手に入れて情報機関へ渡し、そのシステムにトラップ・ドアを組み込んで各国政府、国際機関、大手金融機関などに売っていた疑いが強まったのだ。

この件は裁判になり、1988年2月にワシントン破産裁判所のジョージ・ベイソン判事は司法省が不正な手段を使って会社を破産させ、システムを横領したと認め、翌年の11月にはワシントン連邦地裁のウィリアム・ブライアント判事も破産裁判所を支持する判決を言い渡している。1992年9月には下院の司法委員会が破産裁判所の結論を支持する内容の報告書を公表した。下院の調査により、相当量の重要書類が「行方不明」になっている事実も明らかになっている。

破産裁判所のベイソン判事は判決後に再任を拒否された。後任の判事は裁判で司法省側の弁護士が就任する。また控訴裁判所は「破産裁判所と連邦地裁に裁判権がない」という理由で原判決を破棄、1997年8月に最高裁判所は司法省の言い分を認める判決を言い渡した。イラン・コントラ事件で偽証して有罪になったロバート・マクファーレン、あるいは証券詐欺や銀行詐欺などでロサンゼルスの連邦地裁で有罪の評決を受けるアール・ブライアンを「信頼できる証人」だとしての逆転判決だった。

こうした事情はあるが、勿論、私的な情報機関を大統領が編成することは問題が大きい。1970年代に議会が情報機関の秘密工作にメスを入れたことから議会の目を避けるため、80年代には私的情報機関が作られ、活動した。実際にはCIAと連携していたが、形式的に別組織だとされたわけだ。ちなみに、イスラエルも「元情報機関員」が多くの「私的企業」を創設し、情報活動を行っている。

アメリカやイギリスの支配層は現在、巨大資本が国を支配する体制を築き上げようとしている。TPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)はそのための協定。ISDS(投資家対国家紛争解決)条項によって、各国の立法府も司法府も無力化されてしまう。この条項によって巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制を政府や議会が作ったなら企業は賠償を請求できることになり、健康、労働、環境など人びとの健康や生活を国が守ることは難しくなる。

法律家の話を聞くと、この問題には法律体系の問題があるという。TPPの場合、アメリカのほかオーストラリア、カナダ、ニュージーランドは判例法を基本とする英米法の国であるが、日本は国会で制定された法律を基本とする大陸法を採用している。統一した法体系を作りあげることは不可能だ。そして、問題が起こって仲裁になると出てくる法律家は英米法の人間だろう。日本が主導権をとることはできない。米英の巨大資本が日本を支配するということだ。

フランクリン・ルーズベルト大統領は1938年4月29日、ファシズムについて次のように定義している。

「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」

私的情報機関は傭兵組織と同様、そうした体制の暴力装置になるだろう。





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最終更新日  2017.12.08 04:02:26



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