《櫻井ジャーナル》

2018/04/24(火)00:13

先週末にリヤドの王宮周辺で銃声が聞こえ、クーデターが噂されたサウジの状況

​ サウジアラビアのリヤドにある王宮周辺で4月21日から激しい銃声が聞こえたとする情報が流れている。おもちゃのUAV(無人機)を警備兵が銃撃したとされているが、銃撃戦の可能性も否定できない。サルマン・ビン・アブドゥラジズ国王とモハメド・ビン・サルマン皇太子の親子は市内にあるアメリカ軍が守る空軍基地の掩蔽壕へ逃れたとも伝えられている。 リヤドでの銃声の真相は不明だが、昨年(2017年)10月7日にも似た出来事があった。ジッダにある宮殿近くで宮殿への侵入を図った人物と治安部隊との間で銃撃戦があったという未確認情報が流れたのだ。その前、6月に皇太子が国王の甥にあたるムハンマド・ビン・ナーイフから息子のビン・サルマンへ交代、ナーイフは自宅軟禁になったと言われている。8月にはビン・スルタン皇太子の暗殺未遂が伝えられた。 ジェッダの銃撃に関する未確認情報が流れて間もなく、ドナルド・トランプの義理の息子にあたるジャレッド・クシュナーがサウジアラビアを秘密裏に訪問、11月4日から大規模な粛清が始まった。ジャレットの父親はドナルド・トランプの同業者仲間というだけでなく、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と親しい。そのネタニヤフと緊密な関係にあるカジノ経営者のシェルドン・アデルソンは大統領選挙でトランプ陣営に対する最大の寄付者。ネタニヤフ首相の父親はウラジミール・ジャボチンスキーの秘書を務めていた人物だ。 昨年11月の粛清では、48時間に約1300名が逮捕され、その中にはサウジアラビア国家警備隊を率いていたムトイブ・ビン・アブドゥッラー、衛星放送のMBCを所有するワリード・ビン・イブラヒム・アル・イブラヒム、ロタナTVを含むエンターテイメント会社のロタナ・グループの大株主であるアル・ワリード・ビン・タラル王子、ネットワーク局ARTを創設したサレー・アブドゥッラー・カメル、そしてバンダル・ビン・スルタンも含まれていた。 バンダル・ビン・スルタンはジョージ・H・W・ブッシュと親しく、「バンダル・ブッシュ」という渾名がついている。情報機関のトップとしてアル・カイダ系武装集団を動かしていたことでも知られている。つまりビン・サルマン皇太子はサウジアラビアの情報機関を敵に回し、CIAを怒らせた。少なくとも一部の軍幹部も皇太子に反発したはず。つまり、クーデターがあっても不思議ではない。それに対し、イスラエルのネタニヤフ政権は粛清の支援者だ。 このネタニヤフ政権との緊密な関係をビン・サルマン皇太子は隠していない。パレスチナ人を邪魔者扱いしている。支配階級はともかく、イスラム世界の庶民を怒らせ、敵に回したということを意味し、何らかの原因でそうした怒りに火がつくと収拾がつかなくなるだろう。サウジアラビアの体制が揺らげばドル体制の崩壊は加速する。サウジアラビアで偽旗作戦を実行、それを口実にシリアやイランと本格的な戦争をはじめるというシナリオもありえるが、アメリカにとってリスクが大きすぎる気がする。​

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