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《櫻井ジャーナル》

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2018.04.25
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 ロシアがシリアへS-300という防空システムを配備するという報道があった。情報源はロシア軍内部の人間だという。ただ、セルゲイ・ラブロフ露外相はまだ決定されていないとしている。このタイミングでアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官が急遽、イスラエルを訪問した模様だ。

 2016年7月にトルコでクーデター未遂があったが、その背後にはボーテル司令官やジョン・キャンベル元ISAF司令官がいたとトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は主張している。ボーテルとはそういう人物。実行グループの責任者として名指しされているのはアメリカに亡命中でCIAの保護下にあるフェトフッラー・ギュレン。

 このクーデター未遂がトルコとアメリカとの関係を悪化させたことは間違いないが、アメリカ側がクーデターを企てたのはトルコがロシアに接近していたからだ。シリアに対する侵略戦争が長引いてトルコ経済が厳しい状況に陥ったこともあり、エルドアン大統領は2016年6月下旬にロシア軍機撃墜を謝罪、7月にはトルコ首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆していた。武装蜂起があったのはその直後だ。このクーデター計画を失敗に終わらせた一因はロシアからの情報提供にあったと言われている。

 ところで、S-300が実戦配備されたのは1970年代後半、つまりソ連時代。新型とは言い難いのだが、イスラエル政府は神経質になっている。すでにロシア軍の基地を守るためとしてシリアへは運び込まれているが、バシャール・アル・アサド政権がS-300を手にしたら、そのミサイルを破壊するとイスラエル側は宣言している。射程距離が150から200キロメートルのため、イスラエル軍機がレバノン上空からのシリア攻撃も制限されてしまうことが理由なのだろう。ボーテル司令官あたりから軍事的な支援の約束を取り付け、強気に出た可能性もある。

 イスラエル軍による一方的な攻撃でシリア政府軍だけでなく、イラン人も犠牲になってきた。ロシア軍によると、4月8日にはホムスにあるT4空軍基地をイスラエル軍の2機のF-15がミサイルで攻撃している。これに対し、イラン側はイスラエルに「罰」を与えるとしている。その6日後にアメリカ、イギリス、フランスの3カ国の軍隊がシリアに対して100機以上の巡航ミサイルを発射した。

 ​アメリカ国防総省の発表​によると、攻撃のターゲットはバルザー化学兵器研究開発センター(76機)、ヒム・シンシャー化学兵器貯蔵施設(22機)、ヒム・シンシャー化学兵器(7機)。ミサイルは合計105機で、すべてが命中したとしている。

 しかし、シリアの化学兵器はOPCWが立ち会って廃棄済み。シリア側の説明によると、破壊されたのは抗癌剤の製造工場だという。さして大きくない施設のこれだけ多くのミサイルを撃ち込むのも不自然。有毒ガスが漏れたという事実もなく、アメリカ側の説明には説得力がない。

 ロシア国防省によると、攻撃されたのはダマスカス国際空港(4機。全て撃墜)、アル・ドゥマイル軍用空港(12機。全て撃墜)、バリー軍用空港(18機。全て撃墜)、サヤラト軍用空港(12機。全て撃墜)、メゼー軍用空港(9機。うち5機を撃墜)、ホムス軍用空港(16機。うち13機を撃墜)、バザーやジャラマニの地域(30機。うち7機を撃墜)。そのほかターゲット不明の2機があるようだ。

 また、迎撃に使われたのはパーンツィリ-S1が25機(23機命中)、ブク・システムが29機(24機命中)、オサ・システムが11機(5機命中)、S-125が13機(5機命中)、クバドラートが21機(11機命中)、S-200が8機(0機命中)など。このほかECM(電子対抗手段)が使われた可能性がある。

 その後の情報から判断しても、ロシア軍の説明は基本的に正しいようだ。そのロシア軍はアメリカなどの横暴にうんざりしているが、ウラジミル・プーチン大統領は慎重な姿勢を崩していない。それを見て西側の好戦派は図に乗っている。今回、ロシア軍の内部から実際にリークがあったとするならば、プーチン大統領に対する不満が高まっているのかもしれない。







最終更新日  2018.04.25 04:11:34



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