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《櫻井ジャーナル》

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2018.07.31
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 ​ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は7月30日、アメリカとその西側同盟国が抱いているロシアに対する敵対的な軍事的計画に気づいていると公の席で口にした​。アメリカはロシアの玄関先(ウクライナやポーランド)、バルト諸国、そして日本を含む包囲網を築いていると指摘している。こうした戦略は以前から指摘されていたが、それをロシアの閣僚が認めたことは興味深い。

 この包囲戦略を最初に公表したのは「地政学の父」とも言われるハルフォード・マッキンダー。1904年のことだ。

 マッキンダーは世界を3つに分けて考える。第1にヨーロッパ、アジア、アフリカの世界島、第2にイギリスや日本のような沖合諸島、そして第3に南北アメリカやオーストラリアのような遠方諸島。世界島の中心がハートランドで、具体的にはロシアを指す。

 沿岸地域を支配し、内陸部を締め上げていくのだが、そのために西ヨーロッパ、パレスチナ、アラビア半島、インド、東南アジア諸国、朝鮮半島をつなぐ内部三日月帯と、その外側の外部三日月地帯をマッキンダーは想定した。

 日本は外部三日月地帯の一部に位置づけられているが、内部三角地帯の東端とみることもできる。イギリスの植民地があった東南アジアやインドもその三日月上の地帯にあり、アラビア半島では1932年にサウジアラビアが、48年にはパレスチナにイスラエルが作られた。

 インドでイギリス(東インド会社)は占領軍としてセポイと呼ばれた傭兵を使っていた。この傭兵を中心にして1857年から58年にかけてイギリスに対する反乱があったことはよく知られている話だ。そうした傭兵をイギリスが使った理由は、戦力不足。

 その前、1840年から42年にかけてイギリスは清(中国)に対して侵略戦争を仕掛けている。アヘン戦争だ。経済で清に敗北したイギリスは軍事力を使って麻薬を売りつけたわけである。1856年のアロー戦争も同じ構図だ。

 この戦争でイギリス艦隊は清の艦隊を粉砕、主要な港を制圧したが、内陸部を支配することはできなかった。それだけの戦力がなかったからだ。その中国へ地上軍を送り込んだのはイギリスが軍事同盟を結んでいた日本にほかならない。

 言うまでもなく、中国大陸を侵略した当時の日本は薩摩や長州を中心とする体制。1872年に琉球国を併合、74年に台湾へ派兵、75年には李氏朝鮮の首都を守る要衝、江華島へ軍艦が派遣して挑発、日朝修好条規を結ばせることに成功した。清国の宗主権を否定させ、無関税特権を認めさせ、釜山、仁川、元山を開港させたのだ。

 1894年に朝鮮半島で甲午農民戦争(東学党の乱)が起こって体制が揺らぐと、日本政府は「邦人保護」を名目にして軍隊を派遣、日清戦争につながった。この戦争に勝利した日本は1895年4月、下関条約に調印して大陸侵略の第一歩を記すことになる。

 清の後ろ盾を失った王妃の閔妃がロシアへ接近することを明治政府は懸念、1895年10月に三浦梧楼公使たちが閔妃を含む女性3名を惨殺している。日本で三浦たちは「証拠不十分」で無罪になっているが、この判決は政府が実行した暗殺だということを対外的に宣伝しただけだった。その後、三浦は枢密院顧問や宮中顧問官という要職につく。

 惨殺事件から4年後、中国では義和団を中心とする反帝国主義運動が広がり、この運動を口実にして帝政ロシアは1900年に中国東北部へ15万の兵を派遣する。こうした動きを見てイギリスは危機感を抱くが、自らが乗り出す余力がない。そこで1902年に日本と同盟協約を締結した。

 その日本は1904年2月8日に仁川沖と旅順港を奇襲攻撃、10日に宣戦布告して日露戦争が始まる。日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シフ。日本に対して約2億ドルを融資、その際に日銀副総裁だった高橋是清はシフと親しくなっている。

 明治体制のアジア侵略にイギリスの外交官だったアーネスト・サトー、麻薬業者のジャーディン・マジソンが送り込んだトーマス・グラバーやウィリアム・ケズウィックが深く関与しているが、それ以外にも興味深い人物がいる。厦門のアメリカ領事だったチャールズ・リ・ジェンダーだ。外務卿だった副島種臣に台湾への派兵を勧めたのはこの人物である。廃藩置県を実施したあとに琉球藩を設置するという不自然なことが起こったのは、こうした外国人の働きかけが影響した可能性がある。

 日本は今でも米英の手先として動いているが、大陸では状況が大きく変化している。2014年にアメリカがウクライナでクーデターを実行してから中国とロシアが戦略的な同盟関係に入り、韓国も手を組んでいる。

 中露が東アジアの経済発展を目論んでいるのに対し、アメリカはロシアや中国を制圧するため、朝鮮半島での戦争も辞さない姿勢。戦争になれば韓国も朝鮮も破壊と殺戮で国が消滅することも考えられる。アメリカ離れしようとするのは合理的な判断だ。

 アメリカは包囲作戦の一環としてミサイルを配備している。勿論、防衛を目的としているという口実はできの悪い戯言。アメリカは韓国にTHAAD(終末高高度地域防衛)を強引に導入、日本は自らがイージス・アショアの導入を決めた。経済的にみると日本は中国やロシアなしに存続することは難しいが、「エリート」たちはアメリカの支配層に従属することで自分の地位と収入を保証してもらっている。







最終更新日  2018.07.31 19:10:30

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