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《櫻井ジャーナル》

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2018.08.14
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 ロシア政府のドル離れ政策が進んでいる。同国の金融大臣はドルを貿易の決済に使うことは危険だとし、石油の取引にドルは使わないと発言したのもその一例。ロシアとトルコの関係は緊密になってきたが、両国の貿易も決済にドルを使わないとしている。トルコはロシアだけでなく、中国、イラン、ウクライナなどともドル以外の通貨で決済する準備をしているとレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は発言した。こうしたドル離れはすでにロシアや中国を中心に始まっていたが、それが加速する可能性がある。

 ロシア政府はアメリカの財務省証券を処分している。​今年(2018年)3月にロシアが保有していた総額は961億ドルだったが、4月には487億ドル、5月には149億ドルへ減少​、上位保有国のリストから消えた。ロシア政府が買い戻す可能性は小さいと見られている。


 ドル決済を受け入れている国がアメリカからの経済攻撃に脆弱であることは言うまでもなく、ドル離れは合理的な判断。そういう流れになるとアメリカは厳しい状況に陥る。現在のドルを中心とする通貨システムが崩れるとドルを発行して物を買うという錬金術が機能しなくなり、アメリカは財政赤字に押しつぶされてしまうだろう。生活に必要な物を買うことができなくなり、現在のような侵略戦争を続けることも不可能になる。

 こうした展開になることを避けるため、つまりドル体制を維持するため、アメリカ支配層にはふたつの戦略を同時並行的に進めている。世界有数のエネルギー資源国であり、アメリカに対抗できる軍事力を持つロシアを再属国化するか、ドル体制を維持する中心的な仕組みであるペトロダラーを守る(サウジアラビアを守る)ということである。

 2014年にネオコンはロシアを弱体化するため、ウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行したが、これはロシアを中国へ接近させることになり、現在、ロシアと中国は戦略的な同盟国だ。ネオコンが行った力尽くの政策が裏目に出たわけである。

 ロシア政府はアメリカの財務省証券を売り始める前の月、3月からアメリカに対して厳しい姿勢を見せている。例えば、ロシア参謀本部は3月17日、​アメリカ海軍が艦隊を紅海、地中海、そしてペルシャ湾に配置、シリアを攻撃する準備が整えられたと警告​、同じ日にセルゲイ・ラブロフ露外相はアメリカ、イギリス、フランスを含む国々の特殊部隊がシリア国内へ侵入、すでに「代理戦争」の段階ではなくなっていると語った。アメリカなどはこうした主張を否定したようだが、2011年3月にシリアへの侵略が始まった直後から西側諸国は特殊部隊を潜入させていると言われている。

 その直前、​3月1日にウラジミル・プーチン露大統領はアメリカとその同盟国がロシアやその友好国に対して存亡の機を招くような攻撃を受けたなら反撃するとロシア連邦議会で演説​している。ウクライナの東部やクリミア、シリア、イランなど攻撃すればロシア軍との戦争になるという警告だ。

 その演説でプーチンは反撃用の兵器をいくつか紹介した。原子力推進の低空で飛行するステルス・ミサイル、海底1万メートルを時速185キロメートルで航行して射程距離は1万キロに達する遠隔操作が可能な水中ドローン、2000キロメートルの距離をマッハ10で飛行して正確に目標を捉えられるミサイルのキンザル、マッハ20で飛行する大陸間ミサイルRS-26ルビエシュだ。レーザー兵器の存在も明らかにした。ロシアの反撃をアメリカの防空システムは阻止できず、アメリカ本土も安全ではないことを示したのである。

 マティス国防長官は3月10日、プーチン大統領が語った兵器の実戦配備は何年も先だと主張したが、その日にロシアはミグ31がキンザルを発射する映像を公表している。このミサイルは昨年12月に発射実験を成功させていると言われ、これが事実ならアメリカを含む西側の軍や情報機関はその時点である程度の性能を把握していただろう。そしてアメリカの財務省証券を売り始めた。

 今後、アメリカの置かれた状況はさらに悪化する可能性が高く、アメリカ支配層に従属することで自分の地位と収入を維持している日本の「パワー・エリート」たちは危機感を持っているだろう。弱体化した権力者は統制を強め、暴力的に被支配者を弾圧する。自分たちに刃向かう者には容赦しないだろう。安倍晋三政権は焦っているはずだ。






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最終更新日  2018.08.14 07:00:06



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