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《櫻井ジャーナル》

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2018.09.09
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 ギリシャに対するESM(欧州安定メカニズム)の第3次金融支援が終了し、8年間におよぶ支援を脱却したのだと報道された。が、予定通り進んでも債務の返済にはあと半世紀は必要だとされている。支援の過程で経済は4分の1に縮小、若者や専門技術を持つ人びとを中心に約40万人のギリシャ人が国外へ移住、メンテナンスを放棄したことからインフラを含む700億ユーロ相当の資産が失われた。ギリシャ危機が終わったのではなく、ギリシャという国が終わったのだと言う人は少なくない。

 欧米の巨大金融資本はさまざまな国で甘い汁を吸ってきた。金融の仕組みを利用することも少なくない。巨大銀行がターゲット国へ融資、その国が破綻するとIMFが「支援」に乗り出して融資、その資金は欧米の銀行へ流れ、IMFへの債務が残る。IMFの取り立てはヤミ金並みだ。

 国の経済を破綻させるひとつの手法は融資と為替レートの操作。例えば、ドル安の状態でドル建ての融資を行い、頃合いを見計らってドル高にする。レート変動への対策を怠っていると返済額は大幅に増えてしまう。アメリカの支配層が通貨戦争を始める理由のひとつはそこにある。

 そもそも、ギリシャの財政危機を招いた大きな原因は第2次世界世界大戦や軍事クーデターによる国の破壊であり、もうひとつは欧米巨大資本の商売。年金制度や公務員の問題などが急に悪化したわけではない。ギリシャの人びとを地獄へ突き落とす直接的な原因になったのは通貨の変更だ。2001年にギリシャは通過をドラクマからユーロへ切り替えたのだが、財政状況の問題から本来はできないことだった。

 そこに登場したのがゴールドマン・サックス。財政状況の悪さを隠す手法をギリシャ政府に教え、債務を膨らませたのだ。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などを使い、国民に実態を隠しながら借金を急増させ、投機集団からカネを受け取る代償として公共部門の収入を差し出すということが行われていたという。借金漬けにした後、「格付け会社」がギリシャ国債の格付けを引き下げて混乱は始まった。ヤミ金の手口にほかならない。

 そうした操作が続けられていたであろう2002年から05年にかけてゴールドマン・サックスの副会長を務めていたマリオ・ドラギは06年にイタリア銀行総裁、そして11年にはECB(欧州中央銀行)総裁に就任する。ECBが欧州委員会やIMFと組織する「トロイカ」がギリシャへの「支援』内容を決めてきた。

 トロイカの基本スタンスは危機の尻拭いを庶民に押しつけ、債権者、つまり欧米の巨大金融資本を助けるというもの。それが緊縮財政だ。

 そうした理不尽な要求をギリシャ人は拒否する姿勢を示す。2015年1月に行われた総選挙で反緊縮を公約に掲げたシリザ​(急進左翼進歩連合)に勝たせ、7月の国民投票では​61%以上がトロイカの要求を拒否した。トロイカの要求に従うと年金や賃金がさらに減額され、社会保障の水準も低下し続け、失業者を増やして問題を深刻化させると考えたからだ。選挙で勝ったシリザはアレクシス・チプラス政権を成立させる。

 それに対し、バラク・オバマ政権はネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補を2015年3月に派遣した。その前年の2月にアメリカ政府はウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させたが、その際に現場で指揮していたのはヌランドだ。

 この次官補はチプラス首相に対し、NATOの結束を乱したり、ドイツやトロイカに対して債務不履行を宣言するなと警告、さらにクーデターや暗殺を示唆したとも言われている。イギリスのサンデー・タイムズ紙は7月5日、軍も加わったネメシス(復讐の女神)という暗号名の秘密作戦が用意されていると伝えていた。

 ギリシャ政府にはもうひとつの選択肢があった。ロシアのサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムでチプラス首相はロシアのウラジミル・プーチン大統領と会談、天然ガス輸送用のパイプライン、トルコ・ストリームの建設に絡んで50億ドルを前払いすると提案されているのだ。これを含め、ロシアと手を組む方がギリシャにとって有利だと指摘する人もいた。

 また、地中海の東岸、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っているとUSGS(アメリカ地質調査所)は推定している。しばらく踏ん張れば、国は復活する可能性があったのだが、そうなると欧米支配層は困る。その資源を自分のものにできなくなるからだ。

 結局、チプラス首相はギリシャ国民を裏切り、欧米支配層の利益へ奉仕することになった。そして結果は予想通り。

 






最終更新日  2018.09.09 13:00:53



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