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南シナ海で軍事的な緊張が高まっている。安倍晋三首相が2015年6月、赤坂の赤坂飯店で開かれた懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたというが、その海域だ。その安倍が先日会談したという中国の習近平国家主席は軍部に対し、南シナ海と台湾の監視を強め、戦争の準備をするように命じたと伝えられている。 本ブログでは何度も書いてきたように、南シナ海は中国が進める一帯一路の東端にある海域。そこをアメリカ軍と海上自衛隊は支配し、中国の海運をコントロールしようとしている可能性が高い。当然、沖縄へも影響がおよんでいる。沖縄の基地建設は戦争の準備にほかならない。 アメリカやイギリスの基本戦略は遅くとも19世紀から海上封鎖。ユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸部を締め上げていこうというものだ。長い間、物流の中心は海運であり、この封じ込め政策は効果的だった。そこで内陸国は高速鉄道を計画したわけである。 ワシントン・イグザミナー紙によると、アメリカのライアン・ジンケ内務長官はロシアのエネルギー資源輸送を軍事的に妨害する可能性があると語り、ロシア上院の情報政策委員会に所属するアレクセイ・プシュコフはロシアに対するアメリカ海軍の海上封鎖は戦争行為に等しいと非難した。この戦略は中国にも向けられているはずだ。 アメリカの支配層は1991年12月にソ連を消滅させることに成功して以来、民主主義風の装いを脱ぎ捨て、露骨な侵略戦争を始めた。その基本プランが1992年2月に国防総省のDPG草案という形で作成されている。この草案は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツを中心に作成されたことから、ウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。 ソ連消滅後、アメリカの支配層はアメリカが「唯一の超大国」になったと思い込み、潜在的ライバルを潰して「パクスアメリカーナ」を実現しようとした。。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、ウォルフォウィッツは1991年の段階でイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしていた。(3月、10月)実際、イラクは先制攻撃でサダム・フセイン体制が破壊され、シリアへはジハード傭兵を送り込み、アメリカ/NATO軍の直接的な軍事介入を目論んでいた。イランに対しては手先の武装勢力を使うほか、西側の有力メディアを使ったプロパガンダ攻撃を続け、今は経済戦争を仕掛けている。 ソ連消滅後、ロシアはウォール街やシティの手先だったボリス・エリツィンが大統領を務め、ロシア国民の資産を外国の巨大資本や自分たちで略奪し、巨万の富を築いた。その一方で国民は貧困化している。 つまりロシアは米英支配者の属国になったのだが、21世紀に入るとウラジミル・プーチンが再独立に成功する。それに対してジョージ・W・ブッシュ政権は2002年にABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約から脱退、中国の北京でオリンピックが開幕した2008年8月にはジョージア軍を使って南オセチアを奇襲攻撃させたが、これはロシア軍の反撃で惨敗に終わった。 オバマ政権は2010年7月、ポーランドと地上型SM-3(イージス・アショア)の設置で合意、ロシアの目と鼻の先まで軍事的な縄張りを広げた。2014年2月にはロシアの隣国、ウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターをアメリカ政府は成功させた。ドナルド・トランプ大統領によるINF(中距離核戦力)全廃条約の破棄はこうした流れの中での出来事だ。 核戦争という脅しでロシアや中国を屈服させ、再び「唯一の超大国」になろうとしているのだろうが、INF全廃条約を破棄すればヨーロッパが戦場になるとプーチン露大統領は警告した。アメリカの国印は白頭鷲が足でオリーブの枝と矢をつかんだ図柄なのだが、プーチン大統領はジョン・ボルトン国家安全保障補佐官に対し、アメリカの鷲はオリーブを全て食べてしまい、矢しか残っていないのかとからかっている。 アメリカ/NATO軍とロシア軍が通常兵器で衝突した場合、部隊の規模が同じ程度ならロシア軍が完勝することは南オセチアやシリアでの戦闘で明白になった。兵器の能力もロシアが優れている。実際の戦闘に使われないことを前提に開発され高額兵器が役立たずだということをアメリカの「同盟国」も認識しているようで、アメリカは核兵器依存を強めていくしかないのだろう。
最終更新日
2018.10.30 23:32:15
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