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《櫻井ジャーナル》

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2018.11.04
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 シリアの東部、ユーフラテス側沿いにある油田地帯の​デリゾールでアメリカ主導軍が11月3日に住居用ビルを空爆、女性や子どもなど15名以上の市民が死亡​、多くの負傷者が出たと伝えられている。10月29日にアメリカ主導軍が白リン爆弾で攻撃したのはこの地域だ。9月8日の攻撃でも白リン爆弾が使われた。ちなみに、白リン爆弾は化学兵器に分類されている。

 こうした攻撃を正当化する理由として使われているのはダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)だが、実態は違うようだ。クルドによると、アメリカ軍はダーイッシュを攻撃していない。

 2011年春にシリアへの侵略戦争が始まった当時と違い、侵略勢力はばらばらになってきている。
当時はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの「ジハード3国同盟」、イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定コンビ、パイプライン建設を目指していたカタール、オスマン帝国の復活を夢想するトルコが手を組み、サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とする「ムジャヒディン」、いわばジハード傭兵を使ってバシャール・アル・アサド政権を倒そうとしていた。

 リビアの場合と同じように、侵略勢力はシリアでも地上軍のジハード傭兵をNATO軍が空爆で支援しようとしたが、ロシアの抵抗で実現しない。そこで2014年に売り出されたのがダーイッシュ。残虐性を演出、アメリカ主導軍が空爆を始めるが、その主なターゲットはシリアのインフラやシリア政府軍だった。

 バラク・オバマ政権は2015年に閣僚を好戦的な人間に変える。つまり、2月に国務長官をチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、9月に統合参謀本部議長をマーティン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させたのだ。ロシア軍がシリア政府の要請に基づいて軍事介入したのは統合参謀本部議長交代の5日後、9月30日だ。

 シリア政府の承認を受けずに空爆を始めたアメリカ軍はジハード傭兵を攻撃せず、アル・カイダ系武装勢力やダーイッシュの支配地域は拡大していた。それに対してロシア軍は本当にジハード傭兵を攻撃、その支配地域は急速に縮小していく。

 侵略勢力のうちトルコとカタールはすでに離脱、フランスもアメリカ主導軍との距離が広がりつつある。支配勢力の結束力が弱まった結果、武装勢力の対立が生じている。そうした中、アメリカ軍はジハード傭兵の幹部を救い出す一方、新たな手先としてクルドを使い始めた。

 ところが、ここにきてアメリカ軍とクルドとの関係が微妙になっている。クルドとアメリカが手を組んだ当初はクルドとジハード傭兵は連携していたのだが、最近は対立関係にある。デリゾール周辺でクルド勢力はダーイッシュと戦っていたのだが、アメリカ軍はダーイッシュ攻撃に協力しない。そこでクルドの武装勢力はデリゾールから撤退し、トルコ軍との戦闘が続くシリア北部へ移動しているようだ。その北部地域でアメリカ軍はNATOの一員であるトルコとの戦闘を避けるため、クルドに協力していない。

 アメリカ軍はデリゾールの油田地帯支配を優先しているのかもしれないが、クルドとの関係悪化はアメリカによるユーフラテス側北部の占領を困難にするだろう。「満州国」の建国がこれまで以上に難しくなるということだ。






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最終更新日  2018.11.04 13:07:42



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