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《櫻井ジャーナル》

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2018.11.30
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 2009年1月に大統領はバラク・オバマへ交代になるが、そのオバマは10年8月にPSD-11を出し、ムスリム同胞団を主力とする体制転覆プロジェクトを始める。それが2011年春に顕在化したわけだ。リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が2011年10月に倒れると傭兵や武器/兵器はシリアへ運ばれた。翌年に入ってシリアでの戦闘が激化したのはそのためだが、デイエムの嘘はばれてしまった。

 そこで現れてきたのがSCD(シリア市民防衛)、いわゆる「白いヘルメット」だ。この団体は2014年10月に創設されたことになっているが、前年のはじめにはジャームズ・ル・メシュリエが訓練を始めている。この人物はイギリス軍の元将校で、傭兵会社のブラックウォーター(後にXe、さらにアカデミへ名称変更)で働いた経験がある。

 西側では「善玉」として描かれるSCDだが、その実態はアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の医療部隊。SCDとジハード傭兵のメンバーは重なっている。

 こうした個人や団体だけでなく、イギリスのトニー・ブレア政権もアメリカ支配層の侵略戦争を実現するため、偽情報を発信してきた。その一例が2002年9月にイギリス政府から発表された「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」、いわゆる「9月文書」だ。作成された文書はすぐにリークされ、イギリスのサン紙は「破滅から45分のイギリス人」という扇情的タイトルの記事を掲載した。

 アメリカのコリン・パウエル国務長官も絶賛していたが、これはある大学院生の論文を無断引用したもの。内容もイラクの脅威を正当化するために改竄されていたことが後にわかる。

 この文書が作成される半年前に​パウエルが書いたメモ​の存在が判明している。その中で、ブレア首相がパウエルに対してイギリスはアメリカの軍事行動に加わると書かれている。つまり開戦の1年前にでブレアは開戦に同意していた。ブッシュ政権は当初、2002年春に攻撃を始める予定で、その攻撃にイギリス軍も参加すると言うことだ。

 しかし、アメリカの統合参謀本部の内部では反対が強く、開戦は延期された。当初からイラクは2001年9月11日の攻撃に無関係で、大量破壊兵器を保有していないことをアメリカ軍はCIAと同様、熟知していたはず。イラクに対する戦争攻撃には「大義」がないということだ。しかもネオコンの立てた計画は無謀で、戦争の泥沼化は不可避だと判断されていた。

 そうした反対の結果、半年から1年ほど開戦が遅れた可能性が高い。そしてブレア政権の報告書は発表された。開戦を正当化するために作成されたと考えるべきだろう。

 そして2003年3月にアメリカやイギリスはイラクを先制攻撃するが、BBCのアンドリュー・ギリガンは5月にラジオ番組に登場、「9月文書」は粉飾されていると語る。サンデー・オン・メール紙では、アラステアー・キャンベル首席補佐官が情報機関の反対を押し切って「45分話」を挿入したと主張した。

 ギリガンがこの話を語って間もなく、彼の情報源が国防省で生物兵器を担当しているデイビッド・ケリーだということがリークされる。実際、2003年5月にギリガンとケリーはロンドンのホテルで会っていた。

 そのためケリーは7月15日に外務特別委員会へ呼び出されるのだが、その2日後に死亡する。公式発表では「自殺」ということになっているが、疑問は多く、今でも他殺説は消えていない。

 その後、「9月文書」が正しくないことはイギリスの外務大臣だったジャック・ストローが認めているが、その嘘を伝えたBBCでは粛清があり、執行役員会会長とBBC会長が辞任、ギリガンもBBCを離れた。政府に屈服したBBCはそれ以降、単なるプロパガンダ機関になる。

 アメリカの有力メディアは外部の個人や組織が流した情報を伝える傾向が強まっているように感じられる。支配層の好戦派にとって都合の良い話、つまり嘘を伝える役割を負っている彼らだが、その責任を回避するため、こうした手法を採用しているのかもしれない。(了)






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最終更新日  2018.11.30 00:00:18



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