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《櫻井ジャーナル》

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2018.12.22
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 アメリカ軍のシリアからの撤退は事実のようだ。2010年8月にバラク・オバマ大統領がPSD-11を出して始まった中東から北アフリカにおける体制転覆作戦。シリアの場合、2011年3月からサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を傭兵として使った侵略戦争という形だった。

 2011年2月に始まったリビアにおける侵略戦争ではNATO軍とアル・カイダ系武装集団のLIFGが連携してムアンマル・アル・カダフィ体制を倒し、カダフィ自身は惨殺、現在のリビアは暴力が支配する破綻国家だ。

 アメリカはリビアと同じようにシリアも破壊しようとしたが、その前に立ちはだかったのがロシア。

 オバマ政権はDIA局長としてダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の出現を警告していたマイケル・フリン中将を2014年8月に、戦争に消極的だったチャック・ヘイゲル国防長官を2015年2月に、アル・カイダ系武装集団を危険だと認識していたマーチン・デンプシー統合参謀本部議長を2015年9月にそれぞれ解任し、アメリカは戦争体制に入った。

 NATO/アメリカ軍の直接的な軍事介入への道が敷かれたと見られたのだが、デンプシー解任の5日後にシリア政府の要請を受けたロシアが軍事介入、アメリカなどが送り込んだ傭兵を敗走させる。アメリカ主導軍と違い、ロシア軍は本当にダーイッシュやアル・カイダ系武装集団を攻撃したのだ。

 この軍事介入で戦況は一変し、ダーイッシュやアル・カイダ系武装集団の支配地域は急速に縮小していった。そこでアメリカはクルドを懐柔し、新たな傭兵にしたのだが、トルコがアメリカから離反した影響もあり、アメリカの好戦派が思い描くようには進んでいなかった。

 そうした中、イスラエル軍はシリアに対する空爆を続けてきたが、今年(2018年)9月にシリア沖でロシア軍の電子情報支援機Il-20が撃墜され、その責任はイスラエルにあるとしてロシア政府は防空システムのS-300 PMU-2をシリア政府軍へ引き渡した。それ以来、イスラエル軍機はシリアを攻撃していない。領空外からミサイルを発射する戦闘機の撃墜をシリア軍にロシア政府は認めたと言われている。

 シリア軍は6基から8基のS-300を受け取り、そのうち2基はユーフラテス川沿いのデリゾールに配備されたと言われている。アメリカはこの地域にジハード傭兵を集め、ロシア軍事顧問団の幹部、バレリー・アサポフ中将が戦死している。アメリカ軍機による空爆で少なからぬシリア軍兵士も殺された。

 今後、アメリカ軍機から攻撃を受けたならシリア軍はS-300で反撃する可能性が高く、そうなるとアメリカ側に犠牲が出る可能性が高い。イスラエル軍と同じで、アメリカ軍は軽々しく動けなくなった。これもアメリカ軍が撤退する一因だと見られている。

 ただ、アメリカ軍は中東全域から撤退するわけでなく、再派兵もあり得るのだが、とりあえず撤兵は良いニュース。ロシアや中国に対する好戦的な姿勢を隠そうとしないジェームズ・マティス国防長官が来年(2019年)2月一杯で辞任するという話もとりあえず悪くない。







最終更新日  2018.12.22 12:11:51



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