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《櫻井ジャーナル》

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2019.02.20
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 ユーフラテス川沿い、シリアとイラクの国境に近いハジンでアメリカ主導軍はダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を攻撃した際、自分たちのリスクを下げるために戦闘を長引かせ、その結果として住民の犠牲を増やし、インフラを破壊することになったと​フランス軍のフランソワ-レジス・レグリエル大佐が報告​、懲罰の対象になった。

 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ダーイッシュやアル・カイダ系武装集団はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とする傭兵で、士官クラスは侵略勢力の訓練を受けている。

 侵略勢力には1970年代末から連携しているアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリスとフランスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、そしてオスマン帝国の再興を夢見るトルコなどが含まれる。それぞれ配下の傭兵が存在するが、最大の雇い主は三国同盟だ。

 2015年9月末にロシア軍がシリア政府の要請で介入してから侵略勢力が分裂、その頃から傭兵間の対立が伝えられている。ハジンにおけるアメリカ主導軍のダーイッシュ攻撃もそうした背景があるのだろうが、何ヶ月も前からアメリカ軍は武装グループの幹部をヘリコプターで救出してきた。現在、残っている戦闘員は救出の対象外なのかもしれない。

 アメリカ主導軍がシリアを攻撃し始めたのは2014年から。この年の1月にダーイッシュがイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはモスルを制圧、その際にトヨタ製の真新しい小型トラック「ハイラックス」を連ねてパレードして存在をアピールした。

 当然、そうした動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、偵察機、通信傍受、地上の情報網などでつかんでいたはず。それにもかかわらず傍観していた。

 しかし、​こうした展開になることを2012年の段階でアメリカ軍の情報機関DIAは予測​し、バラク・オバマ政権に警告していた。

 同政権はシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すために武装勢力を支援、それは「穏健派」だと弁明していたのだが、DIAは武装勢力の主力をサラフィ主義者やムスリム同胞団、そしてアル・ヌスラ(AQIと実態は同じだと指摘されていた)だとしていた。ちなみにアル・ヌスラ(現在はジャブハト・アル・シャム)の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団だ。

 ​こう警告した報告書​には、オバマ政権の政策がシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるともしていた。この予測通り、ダーイッシュは出現、それを口実としてアメリカ主導軍はシリアに対する空爆をはじめたのである。

 アメリカ軍機によるシリアに対する最初の空爆は2014年9月だが、その様子を現地で取材していたCNNの中東特派員、アーワ・デイモンは翌朝の放送でダーイッシュの戦闘員は空爆の前に極秘情報を入手し、攻撃の15から20日前に戦闘員は避難して住民の中に紛れ込んでいたと伝えていた。破壊された建物は蛻の殻だったというのだ。その後、アメリカ主導軍の攻撃は市民を殺傷、住宅やインフラを破壊、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュ、つまりジハード傭兵は支配地域を拡大していった。そうした展開はロシア軍の介入まで続く。

 そうしたシリアに対する侵略戦争の一端をレグリエル大佐は明らかにしたのだが、当然のことながら、それはアメリカ主導軍のタブーだった。






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最終更新日  2019.02.20 00:15:06



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