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《櫻井ジャーナル》

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2019.04.07
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 東京地検特捜部は2019年4月4日に日産自動車の前会長、カルロス・ゴーンを特別背任の疑いで再逮捕した。ゴーンは2018年11月に逮捕され、長期拘留を経て19年3月6日に保釈されていた。

 4月2日にツイッターのアカウントを開設、「何が起きているのか真実をお話しする準備をしています。4月11日木曜日に記者会見をします」と発表していたことから、口封じのために再逮捕したと見る人もいる。

 しかし、テレビが使っている元検事の弁護士、いわゆるヤメ検は「再逮捕は無罪にしないという検察の強い意志の表れ」だとか、「そもそも、余罪の捜査中に保釈したのがおかしいですよ。今回の逮捕が異例なのではなく、保釈の方が異例だった」と検察側を代弁するようなことを口にしたようだ。

 ゴーンの事件にはふたつの問題が含まれている。ひとつはアメリカ主導で進められた新自由主義によって社会の富が1%に見たいない人びとへ集中し、大多数の庶民が貧困化している現実。「身分の高い者は、それに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務がある」というような理念は存在しない。ゴーンはそのシステムを象徴する人物のひとりだ。

 もうひとつは新自由主義の仕組みの中におけるゴーンへの攻撃が不自然だということ。ゴーンの強欲さを批判するなら、新自由主義の強欲さも批判しなければならず、それは疑惑が目白押しの安倍晋三政権の批判にもつながる。安倍政権と検察が敵対関係にあるとは到底思えない。

 新自由主義はフリードリッヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンの「理論」に基づいている。ハイエクは株式相場が暴落した後の1930年代に私的な投資を推進するべきだと主張、政府の役割を重視したジョン・メイナード・ケインズと対立していた。

 ケインズの主張を採用したのがフランクリン・ルーズベルトをはじめとするニューディール派。一方、ハイエクに学んだ学生の中にはデイビッド・ロックフェラーが含まれている。本ブログでは繰り返し書いてきたが、ウォール街はニューディール派の政策を嫌い、ルーズベルトが大統領に就任した直後の1933年から34年にかけてファシズム体制の樹立を目指すクーデターを計画、その準備をしていた。

 新自由主義が実際の政策として採用されたのはチリ。1973年9月11日にCIAを後ろ盾とするオーグスト・ピノチェトの軍事クーデターで民主的に選ばれたサルバドール・アジェンデ政権は倒され、アジェンデ大統領はその際に死亡した。

 後に設置される「チリ真実と和解委員会」によると、軍事政権の時代に殺されたり「行方不明」になった人は少なくとも2025名、一説によると約2万人が虐殺され、新自由主義の導入に反対するであろう勢力は壊滅状態になる。ピノチェトは議会を閉鎖、憲法の機能を停止、政党や労働組合を禁止、メディアを厳しく規制した。こうした弾圧によって新自由主義が導入される下地が作られたのである。そうした政策を実行したのはフリードマンの弟子たち、いわゆるシカゴ・ボーイズだ。

 ピノチェト政権は大企業/富裕層を優遇する政策を実施、社会や福祉の基盤を私有化し、労働組合が弱体化、低賃金で輸出型の小さな国を目指した。1979年には健康管理から年金、教育まで、全てを私有化しようと試みている。

 1979年から82年にかけてチリ政府は輸入を奨励、チリの通貨ペソが過大に評価されたことで贅沢品の消費ブームが起こるが、その一方で国産製品が売れなくなり、国内の生産活動は破綻。1980年代の後半になると人口の45%が貧困ラインの下に転落した。

 一連の規制緩和でチリの銀行は外国の金融機関から多額の資金を調達、1982年にラテン・アメリカで債務危機が起こると倒産を防ぐために外国の金融機関は銀行の「国有化」を要求、彼らの債券は私有化された国有企業の株券と交換され、チリの年金、電話会社、石油企業など重要な企業を格安なコストでアメリカなど国外の巨大資本の手に入れてしまった。チリは欧米の巨大資本に乗っ取られたということだ。これを「チリの奇跡」と呼ぶ日本人もいた。

 日本へ新自由主義を導入したのは中曽根康弘政権。1982年のことだ。この政権には田中角栄の懐刀と言われた後藤田正晴が内閣官房長官や総務庁長官として入っていたので自由にはできなかったようだが、それでも国鉄や電電公社の私有化などは進められた。

 日本という社会が本格的に「ぶっ壊された」のは小泉純一郎政権からだろう。その後継者のひとりが安倍晋三にほかならない。新自由主義者という点で、安倍晋三も、検察も、日産の日本人重役も、ゴーンも違いはない。皆強欲だ。

 日本の大企業は優位な立場を利用して中小企業から富を奪ってきた。それが下請けシステム。大企業の重役は会社を自分の財布のように使っていたことも秘密ではない。彼らが会社から離れたがらない理由はそこにあった。官僚も大企業に寄生している。検察や警察の裏金も指摘されているが、取り締まる仕組みは存在しない。







最終更新日  2019.04.07 02:04:47



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