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《櫻井ジャーナル》

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2019.04.10
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 リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が「民主化」という旗印の下で破壊されたのは2011年のことだった。それを西側では「アラブの春」と名づけたが、その実態はアメリカ、イギリス、フランスをはじめとする国々による侵略にほかならなかった。リビアの内部対立を利用、地上部隊としてのアル・カイダ系武装集団と連携したNATO軍による侵略したのである。

 侵略によって破綻国家と化したリビアでは現在、トリポリを拠点し、国連を後ろ盾とするGNA(政府)が存在している。そのトリポリにベンガジを拠点とする武装勢力のLNAが迫っている。

 LNAを指揮しているハリファ・ハフタルとは1960年からCIAに保護され、アフタルに従う武装グループはアメリカで軍事訓練を受けてきた。この武装勢力は2011年の侵攻作戦へも参加している。

 アメリカなどの侵略国はリビアより1カ月遅れてシリアに対しても同じような侵略戦争を始めたが、シリアはリビアと違って深刻な内部対立はなく、政府軍も強かった。

 それに対し、侵略勢力はサラフ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とする傭兵をシリアへ集中させ、武器/兵器も供給する。マイケル・フリン中将を局長とするDIA(国防情報局)が​2012年8月にホワイトハウスへ提出した報告書​の中で、バラク・オバマ大統領が主張するような穏健派は存在せず、主力はサラフ主義者やムスリム同胞団だと指摘している。

 武装勢力としてはアル・ヌスラ(AQIと実態は同じだと指摘されていた)の名前を挙げているが、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。ダーイッシュの出現を見通していたと言える。

 ダーイッシュが売り出されたのは2014年。その件でオバマ政権内は揉め、フリン局長は退役を余儀なくされる。

 退役後の2015年8月、アル・ジャジーラの番組に出演したフリンは司会者からダーイッシュの出現を阻止しなかった責任を問われたが、自分たちの任務は提出される情報の正確さをできるだけ高めることにあり、​その情報に基づいて政策を決定するのはバラク・オバマ大統領の役目​だと答えている。オバマ政権の政策がダーイッシュを作り上げたと言える。

 そのダーイッシュは残虐さを演出、それを口実としてアメリカ軍は2014年からシリアに対する空爆を開始、シリア国民を殺すと同時にインフラを破壊していく。その間、ダーイッシュは勢力を拡大していった。

 オバマ大統領は2015年に戦争体制を強化する。つまり2015年2月に国防長官がチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、また統合参謀本部議長が同年9月にマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代になった。

 オバマ大統領が新議長としてダンフォードを指名したのは2015年5月。ロシアがシリア政府の要請で軍事介入したのはダンフォードが新議長に就任した直後の9月30日だ。ロシア軍はアメリカ軍と違い、侵略勢力を本当に攻撃、ダーイッシュの支配地域は急速に縮小していった。

 ロシア軍か介入しなかったリビアは殺戮と略奪が横行する破綻国家になったが、カダフィ時代はヨーロッパを上回る生活水準を維持していた。

 カダフィ体制では教育、医療、電力料金が無料、農業は元手なしで始めることができた。リビアが産油国だということもあるが、石油価格は1リットル0.14ドルにすぎなかった。欧米の食い物になってきたアフリカを自立させるために独自の通貨、ディナールという金貨を導入しようとした。これが欧米支配層を恐怖させ、軍事侵略に踏み切らせたと言われている。

 シリアでダーイッシュなど傭兵集団が敗走していた2016年、LNAのハフタルはロシアを訪問、軍事的な支援を求めた。門前払いにはしなかったが、すでに破綻国家と化しているリビアに対する本格的な支援をロシアは約束していない。

 アメリカのマイケル・ポンペオ国務長官はリビア情勢について「軍事的な解決はない」と発言しているが、軍事的にリビアを破壊したのはアメリカをはじめとする勢力だった。まさに笑止千万。

 ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2015年9月28日、シリアへ軍事介入する直前に国連の安全保障理事会で演説し、その中で「民主主義や進歩の勝利ではなく、暴力、貧困、そして社会的惨事を我々は招いてしまった。生きる権利を含む人権を少しでも気にかける人はいない。こうした事態を作り上げた人びとに言いたい:あなたは自分たちがしでかしたこと理解しているのかと。」そして「うぬぼれ、自分は特別で何をしても許されるという信念に基づく政策は捨てられなかった。」と語っている。

 言うまでもなく、この「あなた」はアメリカをはじめとする西側の好戦派を指している。







最終更新日  2019.04.10 13:00:18

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